Yahoo!ニュース

友達結婚から円満離婚へ…仲良し夫婦の意外な落とし穴

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■12年来の友達と結婚し、円満離婚を発表

俳優の柄本時生さん(32歳)と入来茉里さん(32歳)の離婚が報じられました。結婚を発表されたのは2020年、12年来の友人でお互いをよく知っていた仲であり、交際ゼロ日婚であったことを明かして話題になっていました。2年の結婚生活を経ての離婚後、入来さんのSNSにはハイセンスなモノクロ写真とともに、「友達12年、夫婦2年間。そして、友達13年目が再スタートしました」というコメントを掲載。夫婦関係を続けるよりも、友達としての関係をあえて選択した、円満離婚であることを表しています。

理由があってそれぞれの道を選ばれることは決して悪いことではありませんが、「男女の友情は成立するのか? そして、友達との結婚はアリなのか?」というのは永遠のテーマのひとつです。

今回は報道をもとに友人との結婚について、また、仲良し夫婦の離婚に学ぶ相手選びを、婚活現場の実例から考察します。

■あの有名人も。友達結婚のメリットデメリット

コロナ以降、長く友人関係で共演者や同業者の相手と結婚発表される芸能人が多数いらっしゃいました。2021年ですと、元AKB48・大島優子さんと俳優の林遣都さん、俳優の菅田将暉さんと小松菜奈さん、有吉弘行さんと夏目三久さん、新垣結衣さんと星野源さんも該当するかと思います。不安定な世の中を乗り切る相手として、仕事もプライベートも気心知れた間柄のパートナーを選びたくなるのは必然かもしれません。

友達の定義は広く、結婚したいと思えるような人は友達の中でも稀有な存在です。大切な友人として長い時間を過ごしてきた相手であれば、すでに信頼関係が成り立っていますから、恋愛感情を抜きにしても一緒にいることにメリットがあるはずです。恋愛感情に突き動かされた婚活をしてしまうと、結婚生活という日常に入ったときに、「こんなはずじゃなかった」というギャップに苦しみやすくなります。そういった意味で、友人関係だった相手は、確かに結婚向きともいえるでしょう。

しかし、友人関係だったことがデメリットになるケースもあります。

友人や恋人は楽しいときを共有する間柄ですが、夫婦となると楽しいだけではありません。いざ結婚となると、お金の話や家事育児の分担など、お互いの人生観や価値観がぶつかり合うことで新しい家庭を作っていきます。生活を共にする中で見えてくるネガティブな印象に、「こんなはずじゃなかった」「友達の方がよかった」と幻滅してしまうこともあり得るのです。

■友達結婚で離婚しないために必要なこと

ではどうすれば、仲のいい友人関係から結婚したにもかかわらず、「こんなはずじゃなかった」と離婚する事態を回避できるのでしょうか?

もともと友人でも普段から、相手の悪いところを指摘し合えたり、親兄弟や金銭の問題などプライベートな話を共有し、それでも理解し合える仲であれば、結婚しても良きパートナーでいられる可能性が高まります。

恋愛相談でよく聞くのは、元夫との離婚相談をしていた異性と再婚することになった、というもの。悩み相談を通してドロドロした内面をオープンマインドで話すことで、自分自身も前の夫とはこんなふうに向き合えなかったことに気づく方は多いものです。これにより人間として成長し、再婚相手と深いパートナーシップを築くことができた、という例はよくお聞きします。

私は結婚相談所の婚活を支援していますが、弊所の会員の皆さんはお見合いが初対面となり、そこから約3ヶ月~1年程度で結婚まで至ります。長年の友人関係で結婚する方とは真逆、と思うかもしれませんが実は「結婚前に確認すべきこと」には大きな違いはありません。

婚活、つまりスピード結婚を目指す場合に特に重視していただくのは、現在から過去へさかのぼって、人物のバックグラウンドを会話からリサーチすることです。まずは、相手の仕事先や年収、そして親兄弟についてお聞きします。さらに、小学校から大学卒業までの学歴や、塾通いや習い事を含めた学費事情も同様にリサーチします。人柄や内面には育ってきた環境や経済事情、家族関係、教育が大きく関係しますから、その後お互いの家族と会って、バックグラウンドを見極めることをお勧めしています。

ただ、バックグラウンドは必ずしも「同じ」である必要はありません。長い目で見ると、違うからこそ補い合える相手であるかどうかを見分けることのほうが重要です。そのためにも、自分の人生観や結婚観、働き方に共感してくれるか、自分は相手に何をしてあげられるか? をすり合わせておきましょう。

婚活でも、趣味や出身大学などの共通点から話が弾んだり、それをマッチングのきっかけにする方がいらっしゃいます。ただそれはきっかけに過ぎず、いつまでも楽しい話に興じるのではなく、バックグラウンドや結婚後の話に切り替えて、話を深めていただいています。

コロナ直後は、レジャーやお酒の場で楽しむ遊び友達としての立ち位置と、夫婦として向き合う立ち位置にギャップが生じやすかったとも言えます。現在は、夫婦が家で顔を突き合わせる時間が多くなることがわかっているケースが多いですから、覚悟が決めやすくなったはず。友人関係から夫婦へ進化するコミュニケーションを取ってみてください。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

植草美幸の最近の記事