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「三高」は古い?プロゲーマー炎上で、婚活の「高身長」の優先度を考える

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:イメージマート)

eスポーツプレイヤーの女性が、ライブ配信のなかで「身長170センチメートル以下の男性は人権がない」という旨の発言をしたことが物議を醸しました。同日中に謝罪を発表したものの、所属するeスポーツチームは「差別的な言動」として契約を解除。コミュニティ内では毒舌なキャラクター性でも人気だったとのことですが、国内外で活躍を期待される存在として、本人が思っている以上にその発言が注目を集めてしまったのかもしれません。

今回はこの話題に関連し、婚活現場で「男性の身長」がどう捉えられてきたか? 過去と現在の移り変わりを含めて、お伝えしていきます。

■婚活女性の理想が「170cm以上」のワケ

結論から言うと、バブル期には高身長の男性が人気傾向でしたが、現代の婚活女性にとって「男性の身長」はやや優先度が下がっている条件のひとつです。とはいえ、婚活女性にお相手男性の身長も希望の一つとしてお聞きすると、「170cm以上」と記入されるケースが多いのは確か。なぜ170cm以上なのかと聞くと「自分よりも高いほうがいい」とおっしゃることが多いです。

令和3年4月に文部科学省が公表した「令和2年度体力・運動能力調査(速報値)」によると、初婚の平均年齢に当たる30~34歳の日本人男性の平均身長は約172cmですから、平均=一般的な身長と捉えられているのです。

身長以外でも「平均以上の条件」を求める方は多いですが、これは「平均以下を切り捨てる」のと同じです。

例えば、158cmの女性にとって、168cmの男性は10cmも身長が高い方になります。しかし、条件指定の場面で「170cm以上」と設定すれば、168cm~169cm

の方が含まれなくなります。実は、170cm 未満の男性は狙い目とも言えます。

現場では「求める条件が必要以上に多いと、本当に相性の良い相手を取りこぼしてしまう」とアドバイスしていますが、本当に大事な条件を3つ程度に絞っていくと、身長は後回しになることは少なくありません。

また、170cm以上を希望する理由として、俳優やモデルのプロフィールをイメージされている方もいます。男性がグラビアやアイドルのプロフィールを信じるのと同じでしょう。

結婚生活の経験がある女性は、あえて身長は問わない、条件がよくて身長が低めの方にアプローチして、好条件の方とマッチングする方もいらっしゃいます。

確かに、結婚式の記念写真の見栄えは良いかもしれませんが、実際に結婚したら、結婚は日常生活です。キッチンにならんだり、家の中でダイニングに向かい合ったり、ベビーカーを押したりするときに、お相手の身長を気にする機会はあまりないのが現実です。

■90年代以降、男性の高身長は優先度が下落…「三高」が廃れた背景

とはいえ、1980年代末のバブル景気全盛期には、「三高」という言葉が流行語となるほど重視されていました。「三高」とは「高学歴・高収入・高身長」がそろった男性のことで、当時の女性が結婚相手にこの条件を求めたというものです。

これは、当時の「バブル世代」以前の女性たちが、権力や体格の良さなど、男性にわかりやすい男らしさ・頼りがいを求める価値観があったからです。

一方、1990年以降~現代の女性たちは、男性に対して「安定感・性格の良さ・将来性・家事力」など、現実的で、生活感にあふれた、“地に足がついた”理想を挙げることが増えてきました。

この背景にはバブル崩壊後の失われた10年から不景気が続き、約30年間も会社員の給料がほとんど上がらず、同時に女性の社会進出も推し進められてきたという事情があります。

また、バブル期はボディコン・スタイルに必須の10cm近いピンヒールも流行。女性の足元が盛られた結果、並んで見栄えのいい身長差20cm以上の高身長男性を求めがちでした。それが今ではスニーカーやバレエシューズなど高さのない靴が流行しているのも理由のひとつでしょう。

また、都心部のマンション価格は上がり続け、狭いキッチンで家事分担するライフスタイルが主流に。モノを持たない時代になり、男性に日曜大工や配線などを求めることも少ないですから、マンションも家電も、そして男性についても「コンパクトだと機動性が高い」と捉えられ始めているのかもしれません。

■「こだわりや好み」も「コンププレックス解消」も個人の自由

どうしても身長にこだわりがある人は「180cm以上の方なら、年収は問わない」というふうに、優先順位を絞ってみるのがよいでしょう。

マッチングアプリなどでは身長などをごまかす方も多いので、結婚相談所のデータはそれよりも正確ですから、条件で探したい方には好適といえるでしょう。

お父様が高身長で、どうしてもこだわりがあるという方もいましたし、まれな例では、ご自身がスポーツ選手やモデル業という仕事柄、遺伝を考えてパートナーにもそれを求める方もいらっしゃいました。

一方、低身長の男性は、モデルのようなスラっとした高身長の女性を好まれるケースが多い印象です。ですが、もし男性自身が女性よりも高身長でいたい、自分のほうが低身長だと気にしてしまう……という場合、まずはファッションの工夫でカバーし、それ以外の条件を見てくれる方を探されることをお勧めしています。

ある163cmの婚活男性のお見合い写真を撮影する際、スタジオで靴を脱いでもらうと急に身長が縮んで見えたことがありました。常時、シークレットブーツを履きこなしていらっしゃったのです。靴を脱がなければ、何度か対面してお話してもわかりません。ほかにも、髪を立てたり、スーツのシルエットを工夫したりして、全身のバランスをよく見せるコツはたくさんあります。

多くの女性たちは日々ヘアメイクで研究していますから、男性もコンプレックスで自信を失うのではなく、前向きに対処していただきたいと思います。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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