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藤浪晋太郎の適正ポジションはどこか?1回2失点だったオープナーを上原浩治が分析

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米大リーグ、アスレチックスの藤浪晋太郎投手が2日(日本時間3日)、短いイニング限定で先発する「オープナー」として初登板した。

 4月22日以来となる先発マウンドに上がり、1回2失点で降板。最初の2人を打ち取ったが、中前打の後に一発を浴びて2安打2失点だった。19球を投げたが課題の制球は安定していたのではないだろうか。

 オープナーは立ち上がりが不安定なタイプの先発に代わって、本来は中継ぎの投手が上位打線を抑えて、先発投手にバトンを託す役割を担う。この日の藤浪投手は、結果だけを見れば2点ビハインドを背負ったので成功とは言えないが、私はオープナーとして藤浪投手は適正があるとみている。

 理由は中継ぎに配置転換したときのコラムでも書いたが、「立ち上がりが安定している」という点だ。緊張感などもあって試合の立ち上がりは簡単ではない。この点、藤浪投手はメジャーで先発をしていたときも、立ち上がりはうまく切り抜けている印象だ。試合の入り方がうまいのは大きな利点といえる。

 さらにまっすぐに球威もあるので、2番手が特に変化球主体の投手の場合には相手打線に「緩急」の効果をもたらすこともできる。本来は先発タイプでもあり、スタミナがあることも魅力だ。

オープナーは1~2イニングが降板の目安とされているようだが、藤浪投手の場合はより長く「打者1巡」まで投げても抑える可能性があると思う。もちろん、イニング途中で本来の先発へ交代するというのはリスクもあるだろうから、現実的には2イニングまでになるかもしれないが、9人を完全に抑えるつもりで「3イニング」を投げきれば、オープナーに「新風」を吹き込むこともできるはずだ。

 藤浪投手の現状では、首脳陣も、おそらく本人もまだメジャーで生き抜くための「適正」をはかりかねているように思う。先発なのか、中継ぎでもロングがいいのか、短いイニングで勝負したほうがいいのか。そこにオープナーという新たな選択肢も加わった。

 先発投手は試合前に30球くらいをブルペンで投げるのに対し、中継ぎ投手は試合の状況を見ながら肩を作り、登板前には15球程度で調整する。オープナーの調整方法を藤浪投手がどうしているのかは聞いてみたいが、自分に合った調整方法を見つけることもメジャーで生き残るには必要になってくるだろう。

 アスレチックスはチーム成績が低迷している。藤浪投手にとっては、このことが色んな可能性を試す起用につながっていて、「追い風」になっている。彼が置かれている立場上、どんな場面でもチャンスをもらったら挑むしかない。「適正」はどこにあるのか。答えを結果で示してくれることを期待したい。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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