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ジャイアンツでメジャー昇格を勝ち取れるか!? "逆襲"の山口俊に期待すること

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米大リーグのブルージェイズを自由契約になっていた山口俊投手がジャイアンツとマイナー契約を結び、メジャーの春季キャンプに招待選手として参加することになった。

 「アリゾナに行ってきます」。本人がわざわざ連絡をくれた。実力的にはメジャーで十分に戦えると思っている。メジャー昇格を勝ち取ってほしい。

 メジャー1年目の昨季はチーム状況もあって、本来の先発ではなかった。メジャー初登板からタイブレークというイレギュラーな状況での登板だった。スタミナもある俊は尻上がりに調子を上げていく先発タイプだと思っていたので、長いイニングで勝負ができる機会があればと思っていた。

 昨季はコロナ禍でレギュラーシーズンも大幅に短縮。メジャー仕様に慣れる間もなく、シーズンが終わったというのが心境だったかもしれないが、メジャーは層が厚く、下(マイナー)にはいくらでも有望な選手がいる。2年契約でも、途中で打ち切る容赦がないサバイバルの実力社会でもある。

 勝負の2年目。春季キャンプこそメジャーで迎えることができるが、マイナー契約は厳しい立場でもある。現役時代のキャンプ中、前日まで一緒にいた選手がマイナー落ちを宣告され、翌日にはクラブハウスのロッカーから荷物が消えていることは茶飯事だった。一方で、ジャイアンツに所属することが決まった以上、ここからはマイナーだろうが、契約は関係ない。結果を出せば、生き残るチャンスはある。先発ローテーション争いに加わってほしい。

 日本人投手のレベルは本当に高くなった。抜群の制球力など細かな技術ではメジャーよりも優位にある部分もある。いまやメジャーは「夢」ではなく、現実的なプレー環境の選択肢になっているのも事実だ。もちろん、ボールやマウンドの違い、環境へのアジャストなど様々な要因があり、日本で結果を出したから、メジャーで通用するとは限らない。それは逆もしかりである。俊の〝逆襲〟を楽しみにしている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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