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「俺の通算勝利数を超えたら…」来季への宿題になった後輩・内海哲也と交わした約束

上原浩治元メジャーリーガー
かつては日本代表に選出された内海投手。18年目の来季に期待したい。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 うれしいニュースだった。巨人時代の2004~08年、そして18年に一緒にプレーした西武の内海哲也投手が契約を更改し、来季も現役を続行することが決まった。今季は1勝にとどまったが、その9月2日の勝利で通算勝ち星が「134」。私の日米通算数に並んだ。このときにツイッターに「次回で抜くことを期待してるで」と投稿したが、135勝目の〝宿題〟は来季に持ち越しになった。少し毒を吐くと、減額制限いっぱいの1875万円減とはいえ、年俸が5625万円(いずれも金額は報道ベースの推定)。貰い過ぎだ(笑)。

 2018年。10年ぶりにメジャーから古巣の巨人に復帰したとき、投手陣の顔ぶれもすっかり様変わりしていた。チームや投手陣のことなど、わからないことを聞きたいとき、頼りにしたのがテツ(内海投手)だった。エースは菅野智之投手だったが、2011、12年に最多勝のタイトルも手にしたベテラン左腕の頼もしさは変わっていなかった。

 全盛期のような成績は残せなくなっていた。それでもきちんと練習メニューをこなし、与えられた登板に備えて準備をする姿勢は後輩であっても尊敬できた。ロッテに移籍し、オフにフリーエージェント宣言した沢村拓一投手もそうだけど、どんな状況でも投げやりの態度をいっさい見せず、練習に取り組む選手というのは好感が持てる。応援したくなる。

20年も現役をやってきた私からすれば、「もういいや」って投げだす選手を何人も目にしてきたから。

 私がタイトルを手にしたとき、チームの先輩だった桑田真澄さんから高級時計をプレゼントされた。

桑田さんは恐縮する私に「いつか、後輩に同じことをしてあげて」と言われ、テツが奪三振のタイトルを獲得したときに時計を贈った。内海も後輩に同じことをしたと聞いて、うれしかった。

 西武に移籍後も、けがに苦しみながらも努力を怠らない。後輩からも慕われている姿はベテランとしてグラウンドのプレー以外での評価にもつながっているはずだ。ここからは1年、1年が勝負になる。135勝目を通過点にして、もっともっと勝ち星を積み重ねてほしい。実は18年に古巣に復帰したときに勝ち星で抜いたら、プレゼントする約束をしている。何を贈るかは秘密だけど、約束はしっかりと覚えている。「現役が華」。1年でも長く、テツがマウンドで投げている姿を見ていたい。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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