レノファ山口:2カ月ぶり黒星。シーズン前半戦を2位で折り返す

「こんな日もある」=1日、山口市(筆者撮影。この記事の他の写真も)

 J2レノファ山口FCは7月1日、山口市の維新みらいふスタジアムで横浜FCと対戦し0-3で敗れた。攻撃陣はハードマークで牙を抜かれて無得点。守ってもカウンターで次々と被弾し、2カ月ぶりの黒星となった。順位は2位のまま。

明治安田生命J2リーグ第21節◇山口0-3横浜FC【得点者】横浜FC=野村直輝(前半1分)、レアンドロ・ドミンゲス(後半5分)、イバ(後半17分)【入場者数】1万2927人【会場】維新みらいふスタジアム

先発メンバーは変わらず
先発メンバーは変わらず

2カ月ぶりの敗戦。無得点も久々

 厳しい結果となった横浜FC戦。試合は早い時間から動き、レノファは自分たちのペースに相手を引きずり込むことができなかった。

 立ち上がりからレノファは相手に攻め込まれると、1分とたたないうちに野村直輝に仕留められてしまう。その後もレノファはボールを敵陣深くに運ぶことができない。焦ったようなボール回しが続いて、パスやポジショニングのクオリティーが低下。ボールを前向きに動かせなかった。「両サイドのスピードのある選手を使って攻撃できた。落ち着いて試合を運ぶことができた」(タヴァレス監督)という横浜FCとは対照的な内容。わずかながらも落ち着きを取り戻したのは前半30分を過ぎてから。同39分に高い位置でFKを獲得すると、池上丈二がクロスバーを叩くシュートを放つ。さらには古巣戦の小野瀬康介がカウンターからゴールに迫るなど、流れを引き寄せかける。

小野瀬康介(中央)はドリブルやパスでかき回したが、ゴールは遠かった
小野瀬康介(中央)はドリブルやパスでかき回したが、ゴールは遠かった

 前半を0-1で終えてのハーフタイム。霜田正浩監督は「ワンタッチでパスを出す判断を増やそう」「冷静にプレーしよう」と指示を送る。

 ただ、前半で起きた現象は後半も再発。質の上がらないパス回しで相手にボールを渡し、何度となくカウンターを浴びてしまう。後半5分にレアンドロ・ドミンゲス、同17分にイバにいずれもカウンターから失点。レノファは追いつくどころか、0-3となって勝負は難しいものとなった。

 レノファはレアンドロ・ドミンゲスに決められた直後に、左サイドバックの鳥養祐矢を下げて岸田和人を投入。岸田は小野瀬や池上のクロスからゴールを見定め、「前節は自分らしさを出せずに(シュートではなく)切り返したりしていたので、今日は自分らしく」と積極的にシュートを放つ。また、レノファはさらなる手として、センターバックの坪井慶介から攻撃的MFの清永丈瑠へと思い切った交代を断行。「カウンターにケアしつつ、相手を張り付けて相手陣地でボールを回す。ペナルティーエリアの中に人を増やす」(霜田監督)というパワープレーに出る。

岸田和人はシュート3本を放った
岸田和人はシュート3本を放った

 交代して入ってきた選手の勢いを生かして、終盤はほぼ一方的に攻め込むが、後半だけで13本を放ったシュートはゴールネットを揺らすには至らなかった。オナイウ阿道のヘディングシュートはGK南雄太の手中に収まり、高木大輔の鋭いシュートもわずかに枠を捉えられなかった。

 結局、レノファは4月14日の第9節アビスパ福岡戦(●0-2)以来の無得点。カウンターでの失点を引きずったまま、0-3で敗れた。

カウンター被弾を覚悟も、得点できず

 レノファが最後に喫した黒星は4月28日のアルビレックス新潟戦(●1-2)で、今節は約2カ月ぶりの敗戦。昇格圏内を快走していたチームにあっさりと土が付いた。

 直接的な敗因はカウンターだ。ポゼッションしている中で相手に引っ掛けられてカウンターを食らうシーンは、今節に限らず何度も見てきた。改善はなかなか進まない。だが、レノファの現首脳陣はカウンターを恐れて攻撃に出られないほうをリスクと捉える。「相手の2トップの質が高くても、後ろにブロックを作ってスペースを消してという守り方ではなく、前からボールを奪いに行って、攻撃と守備の境目をなくすというサッカーにチャレンジしている」。霜田監督はそう言い切り、「カウンターを防ぐための経験やしたたかさがまだ足りない」としながらもハイライン、ハイプレスを続ける構えを示した。

終始厳しいマークを受けた三幸秀稔(中央)。左は最年長出場記録を更新した横浜FC・三浦知良。霜田正浩監督と同じ1967年2月生まれだ。
終始厳しいマークを受けた三幸秀稔(中央)。左は最年長出場記録を更新した横浜FC・三浦知良。霜田正浩監督と同じ1967年2月生まれだ。

 より一層の課題は、カウンターを覚悟して攻めながらゴールを奪い取れなかったことだろう。フィニッシュの質が一朝一夕に高まることはないが、連係の質を高めたり、試合途中から入った選手がいっそうのこだわりを持ってプレーしたりする必要がある。

 前半に限ればフィニッシュのずっと前にも問題があった。球離れが悪く、あっという間に相手に囲まれてアタッキングゾーンまで行き着かなかった。特に横浜FCはアンカーの三幸秀稔を徹底してマークし、その組織的な囲い込みは三幸自身が「常に相手がミユキ、ミユキと言っていた」と耳で感じ取るほど。後半は佐藤健太郎の投入で負担が分散するが、前半は動きを封じられているにも関わらず、三幸をパスワークの経由地点にしていた。先に立った「焦り」を振りほどいて、視野を広く持れば展開は変わっただろう。最終ラインまで下がって作り直したり、サイドチェンジや、中盤を省いた大きな展開を入れても良かったかもしれない。

前半戦順位「2位」に成長の証

 J2リーグは折り返し地点となる第21節が終わった。レノファは前半戦を11勝6分4敗と大きく勝ち越し、勝ち点39の2位で戦い終えた。得点数37もリーグ2位で攻撃力が際立つ。

 一方で失点が多い状態も続き、失点数31は最下位の愛媛FCよりも悪い数字。失点を減らそうとするあまり攻撃がおろそかになるのは避けたいが、賢いゲーム運びも身につけていきたい。

 2位という現在地は十分に誇れる順位表の高地。ただ、決して首位ではないし、後ろを振り返れば強豪チームがレノファを引きずり下ろそうと手を伸ばしている。

 「9戦負けてないというところでどこかに隙があったと感じている。甘くはない。トップに立つのはまだ早いというのを感じさせられたし、考えさせられた試合だった」。胸に手を当てたのはGK藤嶋栄介だ。「カウンターでやられている場所も、やられ方も一緒。どう改善していくかが後半戦のキーになってくる」と話し、順位表に踊らされることなく次戦に向けて気持ちを切り替えていた。

霜田正浩監督。「チームが少しずつ強くなってきているという実感はある」と話した
霜田正浩監督。「チームが少しずつ強くなってきているという実感はある」と話した

 指揮官も「途中経過はあまり関係ない。最後にこの順位にいられればいい」と一喜一憂を避ける。しかし、「予想もしていなかった」という順位に立てていることを、選手の成長の証とした。「選手が頑張った結果。若い選手が成長しながらここまで上がってきた。まだ未熟で、経験もしたたかさも足りないが、3月から試合を重ねるごとに選手たちが成長してくれた」。

 レノファは次戦はアウェー戦。後半戦1発目として7月7日に石川県でツエーゲン金沢と対戦する。また、同11日には維新みらいふスタジアムにJ1ジュビロ磐田を迎え、天皇杯3回戦を戦う。

 成長著しいイレブンに、「傲るなよ」と言わんばかりに冷や水を浴びせた7月初戦。内容も結果も持ち帰れなかったが、成長への糧はたっぷりと持ち帰れたはずだ。若き挑戦者集団にとって、恐れるものもなければ、守るべきものもない。緊張感を保ち、上昇の野心を抱いたまま、勝負の後半戦をスタートする。