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「ル・マン24時間レース」100周年記念で、鈴鹿サーキットに歴代のル・マンカーが集結!

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
マツダ787B (写真:MOBILITYLAND)

モータースポーツシーズンの春を告げる恒例のイベント「鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デー」が2023年3月4日(土)5日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催される。

今年は今季から新しいエアロパーツを装着する「スーパーフォーミュラ」のニューマシン、ダラーラSF23の初走行が見られるほか、懐かしいフェラーリF1の走行、現役MotoGPマシンの走行などを通じ、今年のモータースポーツの見どころを紹介するコンテンツが目白押しの内容となっている。

2023年に新投入されるスーパーフォーミュラの新型マシン【写真:DRAFTING】
2023年に新投入されるスーパーフォーミュラの新型マシン【写真:DRAFTING】

中でも注目は今年100周年を迎えるフランスの「ル・マン24時間レース」のイベントだ。

ジャガーから最新のトヨタまで歴代のル・マンカーが登場

F1・モナコGP、インディカー・インディアナポリス500マイルレースと並んで「世界三大自動車レース」に数えられるフランスの「ル・マン24時間レース」は耐久レースの代名詞的存在として知られ、モータースポーツファンならずともクルマ好きなら一度は耳にしたことがあるレースだろう。

ル・マン24時間レースの歴代ポスター 【写真:DRAFTING】
ル・マン24時間レースの歴代ポスター 【写真:DRAFTING】

フランス西部のル・マンで24時間レースが初開催されたのが1923年。当時、日本は大正時代であり、同年には関東大震災が発生し、東京は壊滅的な打撃を受けた年だ。日本では関東大震災からの復興を機に自動車が海外から多数輸入されるようになった時代だが、当時の日本では自動車はまだ珍しい存在だった時代に、フランスではすでに24時間を走破するレースが開催されていたのだ。

ベントレー、ブガッティ、ジャガー、ポルシェなど今では高級スポーツカーブランドとして知られるメーカーはこのル・マン24時間レースでの勝利で名声を轟かせ、そのブランドイメージを強固なものにしていった。

耐久王と呼ばれたポルシェ 【写真:DRAFTING】
耐久王と呼ばれたポルシェ 【写真:DRAFTING】

日本では1971年にスティーブ・マックイーン主演の映画「栄光のル・マン」が公開されると多くの自動車ファンに知られる存在になり、1980年代以降は日本の自動車メーカーやプライベートチームがル・マンに挑戦。1991年にマツダがロータリーエンジン搭載車で日本車として初優勝を飾っている。

今回、鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デーで「100周年記念 ル・マン24時間レース Legends」と題して開催されるイベントには2022年の優勝車「トヨタGR010」、GTカーの「ホンダNSX GT2」、さらに1991年の優勝車「マツダ787B」などが走行を予定している(マツダ787Bは5日・日曜日のみ)。以上の3車種だけでなく、歴代のル・マンカーが20台近く鈴鹿に集結することになるという。

鈴鹿とル・マンの関係

鈴鹿サーキットはかつてル・マン24時間レースを含むシリーズだった「WSPC」(世界スポーツプロトタイプカー選手権)、「SWC」(スポーツカー世界選手権)などの世界選手権クラスの耐久レースを開催していた。夏の「鈴鹿1000kmレース」がその1戦に設定されるなど、ル・マンを走ったクルマが見れるレースとして人気を集めたのだった。

富士スピードウェイで開催されているWEC(世界耐久選手権)【写真:DRAFTING】
富士スピードウェイで開催されているWEC(世界耐久選手権)【写真:DRAFTING】

現在、シリーズ戦となっている「WEC」(世界耐久選手権)は富士スピードウェイで開催されている。にもかかわらず、鈴鹿が100周年を迎える「ル・マン24時間レース」をイベントでお祝いしようとするのには理由がある。

実は鈴鹿市とフランスのル・マン市は日本がモータースポーツブーム真っ只中だった1990年に友好都市提携を結んでいる。共に世界選手権レースを開催する都市であり、自動車メーカーの工場を有する工業都市であるという共通点もあったからだ。

互いの行政内部が代替わりし、実質的な交流が途絶えていた時期があったが、現職の末松則子・鈴鹿市長が就任し、ル・マンを訪れたことで交流が復活。末松市長もそれ以降、モータースポーツ振興を積極的に行い、鈴鹿サーキットのレースでスタートコールをするなど、モータースポーツをシティセールスに活用している。

現在、鈴鹿サーキットで開催される4輪・自動車レースではル・マン24時間レースと共通する部分はないが、2輪の方では鈴鹿8時間耐久ロードレースと2輪のル・マン24時間レースが同じEWC(世界耐久選手権)のシリーズ戦になっており、ル・マンのサーキットには鈴鹿サーキットの看板も掲示されている。鈴鹿にとって今もル・マンは大切な存在なのだ。

2輪と4輪の耐久チャンピオンは昨年もTSRとトヨタが獲得。今年も2&4コラボによるデモンストレーション走行が行われる【写真:MOBILITYLAND】
2輪と4輪の耐久チャンピオンは昨年もTSRとトヨタが獲得。今年も2&4コラボによるデモンストレーション走行が行われる【写真:MOBILITYLAND】

甲高いロータリーサウンドや名車の数々

1980年代、90年代にル・マン24時間レースを走った「グループCカー」と呼ばれるプロトタイプレーシングカーは鈴鹿サーキットでたびたび行われるデモンストレーション走行でも人気コンテンツとなっている。

特に人気が高いのが、1991年のル・マン優勝車「マツダ787B」の走行だ。ロータリーエンジン独特の耳をつんざくような甲高いサウンドは官能的であり、当時を知らないファンをも魅了する音色だ。近年の日本ではGTカーレースのSUPER GTがファンの人気を集めているが、シンプルでありながら存在感抜群のグループCカーのルックスは今も世代を超えて心を捉えている。今回は1988年のポルシェ962C、1985年のトヨタ・トムス85CL、1986年のニッサン・R86Vなど日本メーカーがポルシェを相手に奮闘した時代のマシンも鈴鹿サーキットにやってくる。

マツダ787B JSPC仕様 【写真:MOBILITYLAND】
マツダ787B JSPC仕様 【写真:MOBILITYLAND】

また、グループCカーに留まらず、1950年代から70年代のル・マンカーとしてポルシェ・カレラ6(906)やメルセデス・ベンツ300SLなど歴史を感じるマシンも登場予定。

今年、ライバルとしてフェラーリ、ポルシェなどを迎え撃つトヨタのハイパーカー、GR010のデモンストレーション走行が鈴鹿サーキットで楽しめる貴重な機会でもある。

トークショーにはゲストとして日本人初の優勝ドライバー、関谷正徳をはじめ、鮒子田寛、寺田陽次郎、土屋圭市などル・マンの生き地引とも言えるレジェンドが多数登場。現役ル・マンウイナーの平川亮とトークセッションも予定している。

鈴鹿サーキット モータースポーツファン感謝デー ウェブサイト

https://www.suzukacircuit.jp/msfan_s/

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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