Yahoo!ニュース

【F1】2020年のドライバーが確定!ホンダ&フェルスタッペンの王座獲得に期待がかかる。

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
マックス・フェルスタッペン(写真:ロイター/アフロ)

2019年の「F1世界選手権」は12月1日(日)決勝のアブダビGPで閉幕する。最終戦を前に「ウィリアムズ」がニコラス・ラティフィ(カナダ)の起用を発表したことで、2020年シーズンのドライバーラインナップが確定した。

キーマンはフェルスタッペン

2020年のF1ラインナップは上位チームに大きな移籍などの動きはない。今季も「メルセデス」が開幕から8連勝を飾る圧勝ぶりで、コンストラクターズタイトルを獲得したのはもちろん、ルイス・ハミルトンが自身6回目のチャンピオンを獲得した。

しかし、今季は王者ハミルトンの圧勝だったかと言えば決してそうではない。ハミルトンはシーズンが折り返しを迎えてからは優勝数が減少。逆に「フェラーリ」が躍進した。そして、何と言っても今季を面白くした立役者といえば、ホンダのパワーユニットを積む「レッドブル」のマックス・フェルスタッペンだろう。

フェルスタッペンは開幕戦・オーストラリアGPでホンダを3位表彰台へと導き、第9戦・オーストリアGPでは今季初優勝。そして、第11戦・ドイツGP、第20戦・ブラジルGPでも優勝を果たした。しかし、チャンピオンの「メルセデス」にはまだ完全に追いつけていない状況は明らかで、フェルスタッペンは他チームへの移籍を匂わせながら、ホンダにさらなる進化を要求してきた。

ホンダはブラジルGPで「トロロッソ」のピエール・ガスリーと共に初の1-2フィニッシュを達成。ルイス・ハミルトンの猛追を抑え込んだことでホンダの進化は証明された。「レッドブル」とホンダのパートナーシップ1年目は期待通りの結果になったと言っていいだろう。

しかし、フェルスタッペンはもちろんそれ以上を求めていた。最年少でF1デビューを果たし、勝てるポテンシャルを十分に持ちながらも最強チーム「メルセデス」の後塵を拝することになってきたフェルスタッペンにとって2020年は勝負の年となる。もちろん「レッドブル」にとってもフェルスタッペンは絶対に敵陣営に渡したくない存在であり、フェルスタッペンと「レッドブル」そしてホンダの進化は今後のF1が大きく動く鍵となる。それと同時に来季のF1が面白いシーズンになるかどうかも彼らの躍進にかかっている。

「レッドブル」はシーズン途中に「トロロッソ」から移籍してきたアレクサンダー・アルボンをフェルスタッペンのチームメイトとして継続させる。アルボンもルーキーながらフェルスタッペンと互角の走りを見せ、表彰台獲得まであと一歩のところまできた。来季が2年目のアルボンが優勝できるほどのポテンシャルを見せつけられれば、2020年シーズンは「メルセデス」を脅かす存在になれているだろう。

ウィリアムズに新人ラティフィ加入

「メルセデス」の対抗馬としてシーズン中盤に躍進した「フェラーリ」は6戦連続ポールポジションを獲得するなど予選で速さを見せたが、あまりの速さからパワーユニットのシステムに疑惑がかけられ、アメリカGPでは急激に失速。ブラジルGPではセバスチャン・ベッテルシャルル・ルクレールがまさかの同士討ちで無得点に終わるという苦い結末も生み出した。

来季もベッテルとルクレールのコンビとなる「フェラーリ」はブラジルで生まれた不協和音の種がこれ以上育たないように火消しに必死だ。躍進する「レッドブル」とホンダの進化についていくことができるか、2020年シーズンは「フェラーリ」にとっても大きな正念場だ。

やはり来季も「メルセデス」「レッドブル」「フェラーリ」の3強が中心となってシーズンが進んでいくのは確実だが、撤退が根強く噂される「ルノー」にはニコ・ヒュルケンベルグに代わってエステバン・オコンが加入。今季は「メルセデス」のリザーブ・ドライバーを務めたオコンが2年ぶりに正ドライバーとして復帰する。

32歳のヒュルケンベルグと共にF1を去ることになるのが、「ウィリアムズ」のロバート・クビサ。2011年のラリー事故で大怪我を負いながらも、9年ぶりに奇跡的なF1復帰を果たしたが、今季はチームがマシン開発に失敗したことで34歳のクビサはその才能を見せられぬままF1のシートを失うことになった(ドイツGPでは10位入賞)。

ウィリアムズ入りが発表されたニコラス・ラティフィ【写真:FIA F2】
ウィリアムズ入りが発表されたニコラス・ラティフィ【写真:FIA F2】

30代の中堅ドライバー2人がF1を去り、「ウィリアムズ」のシートを得たのが24歳のニコラス・ラティフィ。決して若くはない新人で、GP2/F2で4シーズンも過ごしたラティフィは今季のF2で前半戦に3勝を飾るなど活躍し、ランキング2位でF1昇格を果たした。なお、F2チャンピオンのニック・デ・ブリースはメルセデスからフォーミュラEに参戦している。

マシンのレギュレーションが大幅に変更される2021年シーズンに向け、現行規定下で最後のシーズンとなる2020年。ホンダは2021年の「レッドブル」「トロロッソ」へのパワーユニット供給を発表したが、他のパワーユニットサプライヤーはまだ未発表。2021年の新時代に向けてコース上の戦いだけでなく、ストーブリーグも色々と大きな動きがあるシーズンになりそうだ。

2020年 F1ドライバーラインナップ

【メルセデス】

ルイス・ハミルトン/バルテリ・ボッタス

【フェラーリ】

シャルル・ルクレール/セバスチャン・ベッテル

【レッドブル】(ホンダ)

マックス・フェルスタッペン/アレクサンダー・アルボン

【マクラーレン】(ルノー)

ランド・ノリス/カルロス・サインツ

【ルノー】

ダニエル・リカルド/エステバン・オコン

【トロロッソ】(ホンダ)

ダニール・クビアト/ピエール・ガスリー

【レーシングポイント】(メルセデス)

セルジオ・ペレス/ランス・ストロール

【アルファロメオ】(フェラーリ)

キミ・ライコネン/アントニオ・ジョヴィナッツィ

【ハース】(フェラーリ)

ロマン・グロージャン/ケビン・マグヌッセン

【ウィリアムズ】(メルセデス)

ジョージ・ラッセル/ニコラス・ラティフィ

※チーム名は略称

( )内はパワーユニットメーカー

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

辻野ヒロシの最近の記事