鈴鹿で初開催の喧嘩レース、WTCR。415日ぶりに復帰したティアゴ・モンテイロを全ドライバーが祝福!

怪我から復帰したモンテイロをライバルが祝福【写真:FIA WTCR】

スーパーフォーミュラをメインレースに開催される「JAF鈴鹿グランプリ」が10月26日(金)、鈴鹿サーキット(三重県)で開幕した。今年はスーパーフォーミュラと併催で、注目のツーリングカーレース「WTCR」が日本で初めて開催される。喧嘩レースとして知られた「WTCC(世界ツーリングカー選手権)」とTCR規定の車両を使った「TCR International Series」が統合した新シリーズで、コース上での激しいぶつかり合いが魅力だ。

鈴鹿のピットロードで出走を待つWTCRのマシン
鈴鹿のピットロードで出走を待つWTCRのマシン

クラッシュを乗り越え復帰したモンテイロ

全10戦で争われる「WTCR」の第9戦として開催される鈴鹿でのレースに、元F1ドライバーでWTCCに長く参戦したポルトガル人、ティアゴ・モンテイロがホンダ・シビックで参戦する。モンテイロは昨年までWTCCに参戦していたが、スペインでのテスト中に大クラッシュを喫し、頭部に大きな怪我を負った。

ティアゴ・モンテイロ【写真:FIA WTCR】
ティアゴ・モンテイロ【写真:FIA WTCR】

復帰に向けたリハビリを行うも2017年のWTCC復帰は叶わなかった。12月にツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing THANKS DAY」でモンテイロは来日したが、彼の顔つきは事故の影響の大きさを誰もが感じざるを得ないものだった。動体視力の回復も含めて、復帰はかなり難しいと想像できた状況の中、モンテイロはサーキットに帰ってきた。

ティアゴ・モンテイロは懸命に治療を続けた。そして、競技に参加できる目処が立ち、彼が復帰戦に選んだのはホンダのホームコースである鈴鹿サーキットでのレースだった。実はモンテイロにとって鈴鹿は思い出の地でもある。2012年に鈴鹿で開催されたWTCCのレースでホンダワークスに加入することになったのだ。彼にとって鈴鹿はホンダドライバーとしての原点でもある。

ライバル、仲間から花道で祝福

鈴鹿ラウンドよりホンダ・シビックTCRで参戦することになったティアゴ・モンテイロには仲間たちからの温かい歓迎が待っていた。最初の走行となるフリープラクティス1回目で、コース上ではライバルでもある全ドライバーがピットロードにマシンを並べ、彼のためにマシンで花道を作り、モンテイロにその花道を作って、彼の復帰を歓迎したのだ。

ライバルたちから花道を作られ、復帰を歓迎されたモンテイロ【写真:FIA WTCR】
ライバルたちから花道を作られ、復帰を歓迎されたモンテイロ【写真:FIA WTCR】

明るいキャラクターの持ち主でジェントルマン。家庭では優しい父親としても知られるモンテイロ。誰からも愛されるトップドライバーの415日ぶりの復帰をライバルたちも祝福。そして、緊張感溢れる練習走行へと各ドライバーが入っていった。

とてもエモーショナルな時間だった。僕はプラクティスに集中しようとしていたんだ。でも、そこにはたくさんの感情が溢れて、目が潤んでしまったよ。WTCRのファミリーによるアンビリーバブルな歓迎を受けたんだ。ここに帰ってくる時を待っていた。そして僕は今、ここにいるんだ。これだから僕はこのスポーツを愛し、WTCCを愛しているのさ」と感情を高ぶらせたモンテイロ。

ホンダ・シビックTCRのコクピットに収まるティアゴ・モンテイロ
ホンダ・シビックTCRのコクピットに収まるティアゴ・モンテイロ

久しぶりのレーシングマシンのドライブということもあり、なかなかタイムをあげられず、予選1回目は2分13秒020で25台中20番手のタイムとなったが、予選2回目には2分12秒454までタイムアップに成功して16番手のタイムを獲得した。まだまだ万全とは言えない状況だが、無理をしていないながらも着実にタイムを縮めてくるあたりはさすが。14ヶ月のブランクがあっても、彼の中のレーシングマインドの灯火は全く消え去っていなかった。

とはいえ、一度レースが始まれば、幅寄せ、プッシング、半ば無理やりのオーバーテイクなどありとあらゆる鉄拳が飛んでくる「喧嘩レース」のWTCR。怪我からの復帰だからといってライバルたちは容赦しない。モンテイロはそんな猛者たちの中で、10月27日(土)に開催されるレース1(=9周)を18番手のグリッドからスタートする。怪我を乗り越えて復帰するモンテイロにコースサイドのファンもぜひ大きな拍手を送ってもらいたい。