モリワキがKYBをパートナーに鈴鹿8耐にリベンジ!復帰2年目に体制強化で挑む!

カラーリングイメージ(細部は変更の可能性あり)【写真:モリワキエンジニアリング】

7月29日(日)に決勝レースを迎える「第41回・コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース」に参戦するモリワキエンジニアリング(三重県・鈴鹿市)が今季の参戦体制を発表した。2018年は「KYB MORIWAKI MOTUL RACING」というチーム名になり、ショックアブソーバーなどサスペンション部品のトップメーカーであるKYB株式会社が新たなスポンサーとなることも正式に発表された。

KYBのロゴがカウルに描かれた暫定イメージ【画像提供:モリワキエンジニアリング】
KYBのロゴがカウルに描かれた暫定イメージ【画像提供:モリワキエンジニアリング】

ライダーはリンフットを加えた3人に

かつて「モリワキ・モンスター」など独創性あふれるオリジナルマシンで鈴鹿8耐に参戦し、多くの熱狂的なファンを持つモリワキ。鈴鹿8耐での優勝経験こそないものの、その存在はこのレースに無くてはならないと誰もが認める名門中の名門チームだ。

昨年、9年のブランクを経て主戦場とも言える鈴鹿8耐に復帰したモリワキ。2017年は全日本ロードレース選手権・JSB1000クラスに高橋裕紀清成龍一という世界的知名度を持つ名ライダー2人を起用して戦い、鈴鹿8耐には3人目のライダーとして英国スーパーバイク世界選手権で活躍するダン・リンフット(イギリス)を起用してのカムバックだった。

2017年・鈴鹿8耐のスタート前
2017年・鈴鹿8耐のスタート前

鈴鹿8耐に向けた事前テストでは総合トップタイムをマークするなど復帰を長年待ちわびたファンのテンションを一気に高めたモリワキだったが、決勝レースではスタートから2時間経過時点で7位を走行するも61周目に清成が痛恨の転倒。ピットイン、修復を強いられるという厳しいレースになった(27位完走)。

今季も全日本・JSB1000では高橋裕紀、清成龍一の2台体制は継続。そして鈴鹿8耐の3人目のライダーにダン・リンフットという布陣に変更はないが、今年はリンフットも決勝レースを走る正ライダーの役割を果たすことになりそうだ。

昨年はリザーブ的な役割だったものの、高い評価を受けたダン・リンフット。
昨年はリザーブ的な役割だったものの、高い評価を受けたダン・リンフット。

昨年とは明らかに違うチーム

ライダーラインナップも昨年と同じ、マシンはホンダCBR1000RR SP2ベースのモリワキ特別仕様で変わらず、タイヤも同じピレリということで、KYBがチーム名にスポンサーとして加わったこと以外に2017年と大きな違いがないように見える。だが、今年のモリワキは昨年を大幅に上回る表彰台獲得の可能性を秘めていると言っても過言ではない。

2017年の鈴鹿8耐
2017年の鈴鹿8耐

2017年のモリワキは新型マシンのデリバリーが遅れたことから、旧型と新型を併用する形でJSB1000を戦った。全日本・JSB1000では開幕から2戦の成績が振るわずに鈴鹿8耐の出場権を掴めず、鈴鹿サーキットの地方戦レースで開催された「8耐トライアウトFINAL」でようやく正式に鈴鹿8耐の出場枠を確保するバタバタぶりだった。タイヤも全日本・JSB1000の実績がほとんどなかったピレリとの新たなパートナーシップとなり、何もかもが次から次へとやってくる課題をクリアしていくので精一杯の状態。「去年の8耐は春の開幕の時点で終わっていたようなものです」とエンジニアが半分冗談で語るほど、厳しい状況は目に見えていた夏の鈴鹿8耐だった。

しかしながら、今年はチーム内のコミュニケーションも進み、今季はJSB1000開幕戦(ツインリンクもてぎ)から清成龍一が3位表彰台を獲得。第3ラウンド(オートポリス)では天候不順のトリッキーなコンディションで高橋裕紀が3位表彰台を獲得。高橋裕紀はコンスタントにポイントを重ねて現在ランキング4位につける。今年はヤマハに加えて、ホンダもワークス体制となり、各メーカーの開発競争が例年以上に激化しているシーズンで、そんな中、中須賀克行(ヤマハ)、渡辺一馬(カワサキ)、高橋巧(ホンダ)というメーカーを代表するライダーに次いで高橋裕紀がランキング4番手の位置に居るのは驚異的だ。

全日本JSB1000での高橋裕紀
全日本JSB1000での高橋裕紀

モリワキはそのブランドとしての存在感、多くのスポンサーやパートナーを獲得していることからワークスに近い存在として見られがちだが、中身はモリワキエンジニアリングの従業員たちが自分たちでバイクに独自の味付けをし、KYB、MOTUL、ピレリといったモリワキの姿勢に共感するパートナーと力を合わせて作り上げるプライベート体制。近年台頭してきたワークス/ファクトリーチームとは人的にも予算的にも全く規模が異なる。極端な言い方をすれば、昔と変わらぬ「町工場チーム」である。鈴鹿8耐の第1回大会(1978年)の時代から何ら変わっていない姿勢には、人材のアウトソーシングやメーカーの協力などによって体制を強化することが当たり前の時代にあって、本当に驚かされる事実と言えよう。

熟成こそ最大の武器

長年のバイクレースファンには、他がやらない独自のアイディアでワークスを撃破する、というプライベーターの精神が名門モリワキの魅力として浸透している。しかしながら、近年はオリジナルマシンでの出場は不可能になっているし、バイクはメーカーの製品をベースにした素性に左右される。ましてやバイクのキャラクターを決定づける電子制御システムのウェイトが大きくなった昨今では、プライベーターがワークスをキャッチアップするのは昔以上に難しい。4連覇を狙うヤマハワークスはすでに2分6秒台をテスト走行で連発して走行している。昨年のモリワキの決勝レースでのベストタイムは2分8秒台後半だ。

そんな時代にあえて姿勢を変えずに挑戦し続けるモリワキ。スプリントレースではワークスを上回るのが難しいが、様々な要素が絡み合う耐久レースではその可能性が一気に広がる。出場権獲得の段階から厳しいシーズンを強いられた昨年も創業者でチーム総監督の森脇護(もりわき・まもる)は決定して弱音を口にしなかった。「絶対諦めない、悔いの残らないレースをすること」こそモリワキレーシングの精神であり、挑戦する姿勢なのだ。

ストップウォッチを手にタイムの推移を見る森脇護・総監督(左)
ストップウォッチを手にタイムの推移を見る森脇護・総監督(左)

今季は鈴鹿8耐もカワサキの「Team Green」がスーパーバイク世界選手権王者で鈴鹿8耐ウイナーのジョナサン・レイを起用するなどメーカートップチーム、ワークスチームによる威信をかけた争いがメインになる。しかし、ホンダワークス「Team HRC」はあと1ヶ月というタイミングまでライダーラインナップを発表できなかったし、それに伴ってプライベーターもライダー選定に苦労していたのが実情。そんな中で昨年と変わらない体制となるモリワキは、バイクの熟成に加えて、ライダー、メカニック、スタッフなど人的要素の熟成が非常にポジティブな要素となるだろう。全日本JSB1000、鈴鹿8耐というレースの理解を深めたピレリタイヤのパフォーマンスを含めて、昨年比でマイナス要素は一つも無い。復帰参戦2年目の今年のモリワキはレースを面白くしてくれるに違いない。