「鈴鹿10時間耐久」テストでD’stationポルシェが首位!本戦ではワークスドライバー起用も?

テスト走行でトップタイムの「 D'station Racing」

今年、8月24日(金)~26日(日)に鈴鹿サーキット(三重県)で初開催される「鈴鹿10時間耐久レース(SUZUKA 10H)」に向けた合同テスト走行が5月23日(水)、24日(木)に行われ、SUPER GT/GT300クラスに参戦する「D’station Racing」のポルシェ911GT3Rが2分1秒146でトップタイムをマークした。

国内の「SUPER GT(GT300)」「スーパー耐久(ST-X)」をはじめ、「ニュルブルクリンク24時間レース」など世界中のレースに参戦できる「FIA GT3」規定のスポーツカーが世界中から集められ、賞金総額1億円をかけて争う真夏の耐久レース「SUZUKA 10H」。テストに参加したのは国内チームの11台のみとなったが、今回のテストは「ピレリ」のワンメイクタイヤを履いて走行データを収集する貴重なチャンスだ。

テスト走行するJLOCのランボルギーニ・ウラカン
テスト走行するJLOCのランボルギーニ・ウラカン

ピレリタイヤはS耐と同じスペック

「FIA GT3」マシンによる世界一決定戦と銘打たれた新イベント「SUZUKA 10H」の大きなポイントは、全車が「ピレリ」のワンメイクタイヤを装着してレースを戦う事である。タイヤのイコールコンディション化は開発競争を抑制する意味でも4輪自動車レースにおける近年のトレンドになっており、ヨーロッパやアジアで開催されている「ブランパンGTシリーズ」でも使われている「ピレリ」が選ばれた。

SUZUKA10Hでタイヤを供給するピレリ
SUZUKA10Hでタイヤを供給するピレリ

F1のタイヤメーカーとしてお馴染みの「ピレリ」だが、近年は「ブランパンGTシリーズ」などへの供給でGTレースでの経験は豊富。今年から国内レースの「スーパー耐久シリーズ」へのワンメイクタイヤ供給を開始し、日本でも存在感を増しつつある。

とはいえ、「スーパー耐久シリーズ」のST-X(FIA GT3)クラスに参戦するチームや「ブランパンGTアジア」に参戦するチーム以外は「ピレリ」のタイヤデータを持ち合わせていない。特に「SUPER GT(GT300)」に参戦するチームにとっては普段のレースとは違うタイヤを使用するため、事前テストでのデータ収集は必須。次戦の「SUPER GT」はタイ王国での開催であり、マシンを船便で送るまでの隙間を使った今回のテストには多くのチームが参加した。

ちなみにレース本番で使用するタイヤは「スーパー耐久」で使われているタイヤと同じ、真夏の耐久レースにも対応したハードコンパウンドのスリックタイヤである。

幸先良い滑り出しのD’station

合同テストは初日となる23日(水)が雨、24日(木)が雲ひとつない晴天という中で実施され、各チームはウェットタイヤとドライタイヤの両方を試すことができた有意義な2日間となったようだ。

雨の中で速さを見せたAudi Team HitotsuyamaのR8 LMS
雨の中で速さを見せたAudi Team HitotsuyamaのR8 LMS

初日のウェット路面では「SUPER GT(GT300)」に参戦する「#21 Audi Team Hitotsuyama」(リチャード・ライアン/富田竜一郎/マーカス・ウィンケルホック=アウディR8 LMS)が2分11秒636をマークしてトップタイム。そしてドライ路面の2日目は多くのチームがタイムを伸ばす中、「SUPER GT(GT300)」に参戦する「#7 D’station Racing」(藤井誠暢)が2分1秒146をマークして総合トップタイムに。

参考までに鈴鹿サーキットでのベストタイムを比較してみると、「SUPER GT(GT300)」のコースレコード(=最速記録)は1分55秒531(レクサスRC F/ブリヂストン)、「スーパー耐久 ST-X」のコースレコードは2分00秒680(日産GT-R/ピレリ)と少しタイムに開きがある。しかし、タイヤメーカーによる競争があり、日本のサーキットに特化したタイヤで競争する「SUPER GT(GT300)」とギャップが大きいのは仕方がないにしても、「スーパー耐久 ST-X」のコースレコードがまだ寒い3月末に記録されたことを考えると2分1秒台というベストタイムは国内チームがその特性をしっかり掴んだことを伺わせるものだ。

トップタイムのD'station Racing 7号車
トップタイムのD'station Racing 7号車

総合タイムで1位=「#7 D’station Racing」(2分1秒146)、2位=「#00 GOOD SMILE RACING Team UKYO」(2分1秒241)、3位=「#21 Audi Team Hitotsuyama」(2分1秒314)、4位=「#10 GAINER」(2分1秒340)、5位=「#88 JLOC」(2分1秒537)と2分1秒台でトップ5台が0.5秒以内にひしめき合う大接戦に。「SUPER GT(GT300)」参戦組がトップ5を形成する結果になった。

D’stationのラインナップは?

トップタイムをマークした「D’station Racing」は「SUZUKA 10H」に2台のポルシェ911 GT3Rを参戦させる。ただ、今回テストに参加したのは「SUPER GT」の7号車のみ。もう1台は「スーパー耐久」の富士24時間耐久を翌週に控えており、ピレリのデータは持っているため、今回は参加を見合わせた。

7号車のテストを担当した藤井誠暢(ふじい・とものぶ)は「SUPER GTとは違うタイヤを使って2日間、雨でも晴れでも充分に走行できました。タイヤに合わせたセッティングの軸はこの辺かなというのが見えてきたので、レースに向けては良い準備ができた」と手応えを感じるテストになったそう。

ちなみに「スーパー耐久」も戦う「D’station Racing」だが、「SUPER GT」と「スーパー耐久」では異なるメンテナンスガレージによる運営となっている。「今回のテストに関して、情報は共有していません。自分なりにSUPER GTのベースから車をセットアップしていった上でのタイムです」と藤井は説明する。

SUPER GTに参戦するD'stationポルシェは一気に優勝候補に。
SUPER GTに参戦するD'stationポルシェは一気に優勝候補に。

「僅差ですし、3月のスーパー耐久のタイム(=2分00秒680)と比較すると、路面温度が20度くらい高い中でということを考えれば、ライバルたちも高いレベルに仕上げてきていると思います」と国内チームの動向を警戒しつつも「鈴鹿10時間という日本にとっても新しいし、(海外勢も参戦する)グローバルなレースでとても楽しみにしています」と藤井はトップタイムを素直に喜んでいた。

今回は藤井だけが走行してセットアップを進めてきたが、気になるのは3人編成となるチームメイト。藤井は「まだ発表はできませんが、日本のファンがあっと驚くようなポルシェのワークスドライバーが乗る予定です。彼らはクルマが決まっていれば速いので」と強力なラインナップになることを示唆。これは楽しみだ。

「SUZUKA 10H」にはニュルブルクリンク24時間で優勝した「マンタイレーシング」やブランパンGTアジアの強豪「クラフト・バンブーレーシング」がポルシェワークスドライバーを起用しての参戦を表明。ワークス待遇の2チームに加えて地の利を活かせる日本代表「D’station Racing」にもワークスドライバーが乗るとなれば、初開催での優勝の可能性が高まってくる。誰が乗るのかは発表を待ちたいが、「SUZUKA 10H」がグローバルな注目を集める大会になることは間違いなさそうだ。