ヨシムラMOTULレーシングが本格始動!新型スズキGSX-R1000で津田拓也をチャンピオンに!

東京モーターサイクルショー・ヨシムラブースに展示された2台のGSX-R1000

3月24日(金)から東京ビッグサイトで始まった「第44回 東京モーターサイクルショー」で、全日本ロードレース選手権と鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦する名門チーム「ヨシムラ」が正式な体制発表を実施。往年のファンには懐かしい「ヨシムラMOTULレーシング」として今シーズンを戦う新型のスズキGSX-R1000がフルカラーでお披露目された。

ヨシムラのスズキGSX-R1000
ヨシムラのスズキGSX-R1000

MOTULと30年以上ぶりにコラボ

2017年シーズン、全日本JSB1000と鈴鹿8耐に新型GSX-R1000を投入する「ヨシムラ」はバイクレースの世界では名門中の名門チームだ。1978年の第1回・鈴鹿8耐でホンダワークスを打ち破って優勝したことを始め、ヨシムラのレース活動は常にバイクレースファンを熱狂させ、集合管マフラーなどレースに勝つために開発されたアフターパーツは世界中のバイクファンに敬愛されている。まさにカリスマ的存在である。

そんな「ヨシムラ」のレース活動に今シーズンはオイルメーカーの「MOTUL」がスポンサーに就くことになった。「MOTUL」と「ヨシムラ」のコラボレーションは実に30年以上ぶり。1980年代の「ヨシムラMOTULレーシング」は現在同チームのアドバイザーを務める辻本聡(つじもと・さとし)、そして後に世界チャンピオンに輝くアメリカ人ライダー、ケビン・シュワンツらの活躍によってあまりにも有名だ。国内のバイクブーム全盛の当時、情熱の赤いカラーリングのマシンに多くの若者が憧れた。

80年代のヨシムラMOTULレーシング【写真:MOBILITYLAND】
80年代のヨシムラMOTULレーシング【写真:MOBILITYLAND】

その夢のコラボレーシション、しかも高いポテンシャルを有すると期待値の高い新型スズキGSX-R1000での復活とあって、「東京モーターサイクルショー」の会場で最も注目を集めるレーシングマシンとなっている。

全日本JSB1000は意欲的な2台体制

今季の「ヨシムラ」は新型GSX-R1000投入の初年度ということもあり、全日本JSB1000に2台のマシンを投入する。全日本JSB1000のレース活動を休止していた時期もあった「ヨシムラ」だが、近年は津田拓也(つだ・たくや)をエースライダーに起用し、全日本JSB1000に積極参戦。今季は久しぶりに新型マシンの投入、さらにはタイヤのホイールサイズ変更が行われた年ということもあり、ニューマシンのデータ収集に有効な2台体制を選択した。

加藤陽平監督をはじめステージに揃ったヨシムラの面々
加藤陽平監督をはじめステージに揃ったヨシムラの面々

今季も創業者で「ポップ吉村」のニックネームで知られる吉村秀雄の孫、加藤陽平(かとう・ようへい)を指揮官とし、期待が大きいニューマシンで打倒ヤマハワークスを目指す。

大抜擢の新人、濱原颯道に集まる注目

2台体制の「ヨシムラ」で津田のチームメイトとなるのが、22歳の濱原颯道(はまはら・そうどう)だ。190cm近い長身で存在感抜群の恵まれた体型を持つ濱原だが、サーキットを舞台にするロードレースでの実績は非常に少なく、パドックで彼の詳しいプロフィールを知るファンはまだまだ少ない。つまり名門「ヨシムラ」は未知数の新人を大胆起用することになったのだ。

濱原颯道(はまはら・そうどう)
濱原颯道(はまはら・そうどう)

濱原は舗装された路面と土のダート路面を併用する「モタード」のレースで実績を残してきたライダーで、2015年の全日本スーパーモト選手権S1PROクラスではランキング3位に輝いている。幼少期にはロードレースにも参戦していた濱原だが、モタードをはじめ様々なバイクを乗りこなす、ちょっと変わったバックグラウンドを持つ。

ロードレースに復帰したのは2015年の暮れ。2016年には全日本ロードレースJSB1000にスポット参戦。さらに鈴鹿8耐の合同テストではノーマルのヤマハYZF-R1でテストに挑み、プロライダーを上回る2分9秒台をマーク。あまりに急に上位にランクされ、しかもほぼ個人参戦に近い超プライベートチームのマシンだったことから、濱原のタイムは計時システムのバグと勘違いされてタイム表示画面から誤って消されてしまうというハプニングが起きたほどだ。

鈴鹿でテスト走行した濱原颯道。ツナギはプライベーター時代の自前のもの。
鈴鹿でテスト走行した濱原颯道。ツナギはプライベーター時代の自前のもの。

そんな伝説的なエピソードを早くも作った無名の若手に白羽の矢を立てた「ヨシムラ」。名門チームがほとんど実績のないライダーを起用すること自体、非常に珍しいことだ。濱原は3月6日(月)に鈴鹿サーキットで行われたテストに挑むも、2分12秒台という期待はずれのタイムに終わる。「数日間、凹みました」と濱原。アドバイザーの辻本は「僕もヨシムラでデビューした頃は無名の新人だった。誰も君(濱原)には期待していないから、プレッシャーを気にしないでノビノビやりなさい。でも、結果は残してな」と自身の若き頃の経験を踏まえてトークショーでアドバイスしていた。

監督の加藤陽平も「今の段階で結果を求めるのは酷なこと。3、4年後には津田拓也に肩を並べてもらえるように頑張って欲しい」と長いスパンで彼を育てていく意思を語っていた。22歳のシンデレラボーイが今年どのタイミングで開花するか、非常に興味深い。

津田にチャンピオンを取らせたい

「東京モーターサイクルショー」のヨシムラブースでのトークショーは平日であるにも関わらず、体制発表を心待ちにしていたファンで溢れていた。

加藤陽平監督は「マシンの準備は正直、まだ整っていない」と新型マシンのデビューであることにエクスキューズを置きつつも「今季のチームの目標はハッキリしていて、拓也にチャンピオンになってもらうこと。鈴鹿8耐も勝ちたいけど、津田拓也の全日本JSB1000でのチャンピオンという目標はブレずにやっていきたい。(ヤマハの)中須賀を拓也にやっつけてもらいたい」と目標を語った。

鈴鹿でテスト走行し、2分6秒台の好走を見せた津田拓也。
鈴鹿でテスト走行し、2分6秒台の好走を見せた津田拓也。

津田拓也は「ヨシムラ」で全日本JSB1000にデビューして以来、5年目のフルシーズンを迎える。チームのエースとして成長を遂げ、何度も爆発的な速さを披露したものの、これまで全日本JSB1000での勝利は僅か2回に留まっている。だが、彼の実力は誰もが認めるところで、スズキのMotoGPテストライダーであるため、国内のライダーではトップカテゴリーの走行マイレッジが最も多いライダーの一人だ。

津田拓也(中央)
津田拓也(中央)

今季の新型GSX-R1000投入は津田にとって待ちに待ったニューマシンだ。プライベーターとして独自のチューニングや開発でバイクを速くしてきた「ヨシムラ」だが、さすがにベースモデルの古くなったバイクでは限界がある。そんな中で登場した新型マシンはMotoGPテストを担当する津田拓也が太鼓判を押すほどの高い戦闘力を持つ。

「今年はまず鈴鹿で勝ちたい。今まで応援してくれる皆さんにずっと悔しい思いをさせてきたので、今年はどのサーキットでも勝てるようになりたい」と津田の発言は明るく、そして前を向いている。いよいよ勝負できる時が来たという、そんな印象がビシビシと伝わってくる「ヨシムラMOTULレーシング」。鈴鹿8耐が40回目の節目を迎える2017年、名門が完全復活を遂げる機運が高まっている。