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【F1日本GP予選】ロズベルグが2年連続のポールポジション獲得!驚速のメルセデスが逃げるか?

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
ポールポジションのロズベルグ 【写真:MOBILITYLAND】

9月26日(土)三重県の鈴鹿サーキットではF1世界選手権・第14戦「日本グランプリ」の公式予選が行われた。

雨が降ったり止んだりのウェットコンディションで多くのチームが積極的な走行を控えた前日のフリー走行とは大きく異なり、予選日の鈴鹿は雨もあがって時折晴れ間も見えるドライコンディションで1日が進んだ。

ロズベルグ、鈴鹿で2年連続PP

前日の遅れを取り戻すため、予選前のフリー走行3回目では各チームが我先にとピットアウトしていった。わずか1時間しかないドライ路面のフリー走行で好タイムをマークしたのは「メルセデス」の2人、ハミルトンとロズベルグだった。今シーズンをリードしてきた2人がやはり上位に食い込む展開で、予選が開始。

予選ではQ1から「メルセデス」の2台が他を圧倒し、ルイス・ハミルトンが1分32秒台へとタイムを縮める。そして、Q2ではロズベルグも1分32秒台に入り、ハミルトンを上回った。明らかな「メルセデス」優勢の状態で迎えたQ3ではロズベルグ、ハミルトン共に1分32秒台を軽々とマークして見せ、2人のポールポジション争いはタイヤ交換後の最終アタックへ。上位陣が新品タイヤに変えてアタックを開始した直後に、ヘアピンカーブ手前でダニール・クビアト(レッドブル)が大クラッシュを喫して、予選は赤旗掲示でそのまま終了。ランキング2位のニコ・ロズベルグが1分38秒584でポールポジションを獲得した。

ロズベルグは鈴鹿では2年連続のポールポジション。2位のハミルトンとの差は僅かに0.076秒とほとんど差が無い状況だが、ロズベルグは追いかけるべきチームメイトにまずは予選で先手を打った形となった。

予選の上位3位。中央がロズベルグ。【写真:MOBILITYLAND】
予選の上位3位。中央がロズベルグ。【写真:MOBILITYLAND】

ドライコンディションになってからの「メルセデス」の速さは前戦シンガポールGPの不振が嘘のようなくらいに絶好調。高速コース、鈴鹿サーキットではパワーユニットの力で勝る「メルセデス」がいつものように3番手以降を引き離してレースの主導権を掌握していきそうだ。

ウィリアムズが復調!ボッタスが3位。

好調の「メルセデス」に続いたのはメルセデスのPUを搭載する「ウィリアムズのバルテリ・ボッタス。PPのロズベルグとの差は約0.5秒と大きいが、スタートがうまく決まれば表彰台は確実視できる好タイムをマークしてきた。今季の後半になって元気の無かった「ウィリアムズ」は鈴鹿に来て復調した印象で、チームメイトのフェリペ・マッサは5位となり、メルセデスPU勢のアドバンテージを見せつけた。

鈴鹿表彰台の常連であるセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)はトップから約0.7秒遅れの4位。同じ「フェラーリ」のキミ・ライコネンは6位。

また、大健闘と言えるのが、鈴鹿サーキット・パドック内のホスピタリティハウス(チームのラウンジ)まで使用停止となってしまうほどの資金難が伝えられる「ロータス」のロメイン・グロージャン。Q3進出を果たして予選8位。同チームのチーフエンジニアを務める日本人、小松礼雄(こまつ・あやお)の母国グランプリであるだけに好成績を期待したい。

ホンダは苦戦。若手は鈴鹿の洗礼を受ける

母国グランプリといえば、「マクラーレン・ホンダ」は大方の予想通りの苦しい週末になっている。Q1の終盤に、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンがアタックラップに入ったところで、マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)がコース上にマシンを止めるスピンを喫し、バトンがタイムアップできずQ1落ち。アロンソはQ2進出を果たしたものの、Q2最下位となる14位という厳しい結果になった。ただ、それでも人気ドライバーを擁する「マクラーレン・ホンダ」は母国グランプリということもあり、鈴鹿のファンからの温かい応援をもらっていた。まずは2台揃っての完走が何より望まれる。

マクラーレン・ホンダのアロンソ 【写真:MOBILITYLAND】
マクラーレン・ホンダのアロンソ 【写真:MOBILITYLAND】

また、Q1で「マクラーレン・ホンダ」のアタックを阻む結果となるスピンを演じたマックス・フェルスタッペンは彼自身のミスで予選15位。コース上にマシンを止めてしまったことで3グリッド降格のペナルティを受けるため、後方からのスタートを余儀なくされる。

またQ3で赤旗の原因を作る大クラッシュとなったのがダニール・クビアト(レッドブル)。アタック中にペアピン手前の110Rの飛び込み直前に芝生に左側を落とし、そのままバランスを崩してヘアピン手前でタイヤバリアに突っ込んだ。マシンが回転するほどの大きな衝撃を受けたマシンはシャシー交換が必要になり、修復後にピットレーンからのスタートが許可されることになる。金曜日が雨になったことで、ドライでの走行が満足に行えず、鈴鹿で速さを見せると期待されていた若手ドライバーは苦しいレースを強いられる展開となった。

タイヤの使い方と戦略がレースを動かすだろう。【写真:PIRELLI】
タイヤの使い方と戦略がレースを動かすだろう。【写真:PIRELLI】

抜きどころが少ないと言われる鈴鹿。パワーはあるが、ダウンフォースの少なさから不安定な挙動を見せる現代F1マシンでは、オーバーテイクは非常に難しい。ただ、ドライ路面で充分な走り込みができていない分、タイヤのデグラデーション(磨耗による性能低下)のデータが取れていないので、面白い展開になることも期待できる。夜に降雨が予想されていて、朝方にはあがる見込みのため、ドライコンディションでの決勝レースとなるだろう。うまくレースメイクできるかどうか、各チームの手腕が問われる戦いになる。

決勝レースは日本時間の14時にスタートし、53周の周回で争われる。

予選結果はコチラ

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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