開通前の国道をレーシングカーが走った! 三重県・鈴鹿市/中勢バイパス
2014年3月21日(祝)、三重県鈴鹿市に23日開通予定の「中勢バイパス」で開通記念イベントが行われ、「スーパーフォーミュラ」のマシンと「全日本ロードレース/鈴鹿8耐」を戦うレース用バイクがデモンストレーション走行を行った。
鈴鹿では初めての街中デモラン
実はこういった街中でレーシングカーが走るイベントは「モータースポーツ都市宣言」を行っている鈴鹿市でも初めてのこと。他地域の国道の開通イベントで、フォーミュラカーがデモ走行を行った例はあったが、ようやく鈴鹿市でも実現した。
今回のイベントでデモンストレーションを行ったのは、地元・鈴鹿に拠点を置く「TSR」(2006、2011、2012年鈴鹿8耐優勝)と、鈴鹿市内にファクトリーがあるスーパーフォーミュラの「REAL RACING」。「TSR」は鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するマシン、HONDA CBR1000RRを、そして「REAL RACING」は今シーズン用の「スーパーフォーミュラ」のマシン、SF14ホンダを走らせた。
開通前の国道を1.5往復するだけの短いデモンストレーション走行だったが、早い時間から多くの市民やレースファンが沿道に詰めかけ、写真撮影などを楽しんだ。
デモ走行が行われた場所は、実は
3月23日(日)に開通する中勢バイパスは、国道23号線の混雑緩和のためのバイパスとして鈴鹿市から津市までを結ぶ道路として建設されている。まだ全線開通には至っておらず、今回開通するのも僅か1.8kmの部分だけとなっている。
その1.8km区間の一部は実はモータースポーツとちょっとした縁がある土地なのだ。というのも、「鈴鹿サーキット」の当初の建設計画地がまさに今回デモンストレーション走行を行った辺りだった。世界的に有名な鈴鹿サーキットのレーシングコースは当初、今よりもやや北東に位置する場所に、1周約4kmのコースが建設される予定になっていたという。このコース建設計画に反対したのが、ホンダ創業者の本田宗一郎。本田は「日本人の主食である米を祖末してはならない。水田を潰してサーキットを作ってはいけない」との考えから、サーキット建設地を南西の山林へと変更させたのだ。
開通する中勢バイパスの位置と当時の建設計画図の資料を照らし合わせると、今回、レーシングカーが走った中勢バイパスの区間は、まさに「鈴鹿サーキット」のレーシングコースだったかもしれない場所にあたる。本田の一声で、今のレーシングコースに計画が変わり、そのコースが世界中のライダー&ドライバーから絶賛されるコースになっていったわけだが、当初の計画案の地でレーシングカー&レースバイクの走行が50数年の時を経て実現した。
23日には国道として開通する。この地をレーシングマシンが走る事は二度とないだろう。そんな貴重な機会だった。