Yahoo!ニュース

愛子さまがご愛用されたプレゼント公開 贈り主がこめた想いとは

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
天皇ご一家(撮影・那須のアマチュアカメラマン(筆者所有))

去年12月1日に成年皇族となられた愛子さまは、学習院大学3年生。オンラインで大学の授業を受けながら、天皇皇后両陛下や愛犬・由莉とともに御所内で過ごされる日々が続いている。

普段、愛子さまは何を思い、どのようなことを感じながら月日を重ねていらっしゃるのだろうか?

一般的に日常生活で大切にしている品は、その人の考えや価値観を大きく反映していることが多い。そこで筆者がこれまでに取材した、愛子さまが親しい人からプレゼントされて愛用していらっしゃった品を、エピソードとともにご紹介したい。

◆上皇ご夫妻からの贈り物「銀のスプーン」

愛子さまがお生まれになった時、上皇さまと美智子さまから贈られたのは、銀のスプーンだった。そのスプーンの形は、赤ちゃんが持ちやすいように丸みのあるフォルムになっている。たくさん食べて元気に育ってほしいという、祖父母の深い愛情が伝わってくるようだ。

この銀のスプーンを作ったのは、銀製品の老舗、宮本商行。唐草模様のスプーンやナイフなどのセットを皇室に納めており、眞子さまや佳子さまが誕生された際にも、上皇ご夫妻からご注文が入ったという。

もともとヨーロッパでは「銀のスプーンをくわえて生まれてきた赤ちゃんは幸せになる」という言い伝えがあり、縁起物とされてきた。上皇さまと美智子さまは可愛い孫の幸せを願い、プレゼントに選ばれたのであろう。

◆音楽家からの贈り物「ぞうのエルマー」

愛子さまが2歳の時のこと。雅子さまと家族ぐるみで交流がある世界的ハープ奏者の長澤真澄さんは、東宮御所に招かれて演奏した際、愛子さまにお風呂で遊べる「ぞうのエルマー」のバストーイをプレゼントした。

ぞうのエルマ―のバスト―イ(写真・長澤真澄さん)
ぞうのエルマ―のバスト―イ(写真・長澤真澄さん)

「ぞうのエルマー」は、パッチワークのようにカラフルな色合いが特徴だ。ヨーロッパの子どもたちが好んで読む絵本の主人公で、人気のキャラクターである。幼い愛子さまは色鮮やかなエルマーの玩具に歓声をあげて喜び、じっと見つめたり、愛おしそうに抱きしめたりされていたという。

それから2年後、長澤さんは再び天皇ご一家から招かれた時、しばらくぶりだったので愛子さまが覚えてくださっているのか、胸をドキドキさせていたが、雅子さまが機転を利かせてこのようにおっしゃった。

「愛ちゃん、覚えているでしょ?ぞうさんをくださった方よ」

と、愛子さまのほうを向いて話しかけられたという。愛子さまはすぐに長澤さんのことを思い出し、こぼれるような笑顔になられた。

きっと長澤さんにプレゼントされてから、愛子さまは「ぞうのエルマー」で遊んでいらっしゃったのだろう。ヨーロッパでの評判を耳にして、絵本もお読みになったかもしれない。

愛子さまの心を捉えたであろう「ぞうのエルマー」の物語は、自分の体がカラフルであることに悩み、ジャングルを歩いて旅に出る。象の色をした実がなる大きな木を見つけて、自分の体に塗るが、実は周りの象たちは外見を全く気にしておらず、エルマーの性格を愛していたことに気づくというお話だ。みんなが違っていて当たり前という、人間の多様性の素晴らしさを教えてくれる。

◆スケートの先生からの贈り物「手作りの髪飾り」

愛子さまが小学生の時のことだ。天皇ご一家のスケート指導をしていた、元オリンピック選手の長久保初枝さんは、髪の長い愛子さまに使っていただこうと、レース編みで水色の髪飾りを作った。  

1960年のスコーバレーオリンピックでは日本女子スピードスケートで初の入賞を果たすなど、日本における冬季五輪選手の草分けである長久保さんは、物のない時代に育ち、食べ物や洋服などを自分で手作りするのが常だった。愛子さまなら既製品はいくらでも素敵なものをお買いになれるだろうから、何か丹精込めて手作りした品をプレゼントしたいと考えたのだった。

レース編みの毛糸は水色を選んだ。愛子さまはよく水色の洋服をお召しになっているので、この色にしたのだという。

愛子さまにプレゼントした手作りの髪飾り(写真:長久保初枝さん)
愛子さまにプレゼントした手作りの髪飾り(写真:長久保初枝さん)

その後、スケート練習の時に雅子さまが、

「長久保さん!」

とお声をかけてくださり、ジェスチャーで「あちらを見てください」と示された。

何だろうと思いながら、その方向を見ると、愛子さまが準備体操をされていた。髪には、リボンの形をした水色の飾りが…。長久保さんからの手作りプレゼントだった。

長久保さんは感無量になり、「ありがとうございます」と深く頭を下げた。髪飾りを付けてくださった、雅子さまと愛子さまの細やかなお心遣い。優しいお気持ちが伝わってきたという。

親しい人が愛子さまに贈った品には、幸せを願い、喜んで頂けたらと願う、温かな思いが詰まっていた。それぞれの人の想いを胸に愛子さまは成長し、心豊かな日々を過ごされているのだろう。

「雅子さまが感銘を受けた絶景とは?天皇ご一家ご静養の地・那須の紅葉スポット」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20221018-00319839

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

つげのり子の最近の記事