雅子さまが感銘を受けた絶景とは? 天皇ご一家ご静養の地・那須の紅葉スポット
全国旅行支援がスタートし、地方の観光地が旅行客で賑わっている。
やはり秋の見所と言えば、山間から渓谷にかけて豊かなグラデーションで彩る、燃えるような紅葉だろう。今年は直接現地を訪れて、圧倒的な自然の美を堪能したいと、わくわくしている人も多いのではないだろうか。
実は、皇室の方々も忙しい公務の合間を縫ったご静養の折に、季節の移ろいを饒舌に語りかける自然の営みに心身の癒しを求められてきた。
そこで今回は、両陛下や愛子さまが足を運ばれた紅葉の名所をご紹介しよう。
◆天皇ご一家が最も訪れた地・那須
天皇ご一家がご家族で最も足を運ばれた地といえば、コロナ禍になるまで毎年のようにご静養されてきた栃木県の那須である。秋には高原の木々が赤や黄色に色づき、まさに紅葉のシーズンを迎えている。
日本百名山の一座に数えられている那須茶臼岳は、両陛下が結婚の翌年に初めて登られた思い出深い山だ。
陛下は登山がお好きで、全国の山々を登ってこられた。雅子さまも幼い頃にご家族で山登りをされ、結婚後はご夫婦共通の趣味に。以後、那須ご滞在中には、幾度も茶臼岳や朝日岳登山を楽しまれている。
陛下はアスリート並みの健脚であるため、お一人で登山される時は驚くほどのスピードで登られる。しかし雅子さまが同行される時は、ペースを合わせてゆっくりと登り、休憩もこまめに取られるのだという。
結婚4年目の秋にも、ご夫妻で那須茶臼岳へ。この時、雅子さまが「東京からこれだけ近いところに、こんなに紅葉のきれいなところがあるなんて」と驚かれたことを、陛下は山岳専門誌に綴られた。
この茶臼岳は、9合目までロープウェイで登ることができ、山頂では360度見渡すばかりの紅葉に包まれた絶景を見ることが出来る。
◆愛子さまお気に入りの場所とは
愛子さまが生後8か月の時、陛下にベビーキャリアでおんぶされ、初めて自然の中を散策されたのも那須だった。200種以上もの高山植物が生息する沼ッ原湿原をご一家で歩き、涼やかな高原の息吹を満喫された。
愛子さまのお印は、那須に咲く純白の花、ゴヨウツツジ。両陛下はこの花がお好きで、「この純白の花のような、純真な心を持った子供に育ってほしい」という願いをこめられた。四季折々の花や樹木、息づく生き物など豊かな自然も、那須を気に入っていらっしゃる理由のひとつなのだろう。
そして、天皇ご一家が那須でご静養の折、ほぼ毎年訪れていらっしゃったのが、「那須どうぶつ王国」。幼い頃の愛子さまは、可愛い動物たちと触れ合える、この場所が大好きだった。
世界最古の猫といわれるマヌルネコや、世界最小級の猫であるスナネコ、人懐っこいカピバラなど、珍しい動物たちが出迎えてくれる。広大な王国は那須の大自然の中にあり、周囲は今の時期、紅葉に覆われていく。
◆開放された那須御用邸
天皇ご一家がご静養される那須御用邸は、皇室の方々や関係者以外、立ち入ることはできないが、平成20年、「自然公園のような形にして、人びとが楽しめる場所にしたい」という上皇さまのお考えにより、敷地のほぼ半分にあたる約560ha、東京ドーム120個分もの広大な森林を宮内庁から環境省に移管した。
今では「那須平成の森」として、訪れる人誰もが自由に散策できる場所となっている。
この森は、多様な動植物たちが生息する、まさに自然の宝庫だ。平成9年~13年までの調査では、新種、日本初記録種、希少種など3492種の生物種が確認された。
筆者が担当しているテレビ東京・BSテレ東「皇室の窓」で取材した時、たくさんの昆虫や高山植物を見ることができ、この森で発見されたクマダナ(クマが木に登って樹木の実などを食べた跡)の写真も紹介した。
貴重なところでは、昭和天皇が散策の途中で使われていた建物も、当時のまま残されている。また深い森を分け入って、ようやく観ることができる幻の滝「駒止の滝」も、「那須平成の森」が開放されたことから観瀑台が整備され、見事な紅葉に包まれた雄々しい滝の全貌を眺められるようになった。
結婚8年目、雅子さまは歌会始でこんなお歌を詠まれている。
「君とゆく 那須の花野に あたらしき 秋草の名を 知りてうれしき」
雅子さまが陛下とともに新しい秋の植物を見つけられたという、那須高原。
紅葉の時期となったこの地を訪れたら、両陛下が感銘を受けられた絶景に出会えるかもしれない。
「愛子さまがご愛用されたプレゼント公開 贈り主がこめた想いとは」
https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20221019-00319842