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41歳。専業主婦になる夢は捨てました。自分で稼いで生きていきます~40歳からの婚活入門(32)~

大宮冬洋フリーライター
美人で感じのいい柴田さん。「恋愛は不毛にこじらせています」と告白。(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***中小メーカーの管理職、柴田美里さん(仮名、41歳)の話***

学生の頃は「結婚なんて当たり前にできる」と思っていました

 先日、課長になりました。組織を若返らせるためもあって上司が引き上げてくれたのです。正直言って、私は管理職の器ではありません。新卒の生え抜きなのでチャンスを与えられただけです。課長としての業務はわからないことだらけで、管理職の先輩に聞きながら必死で働いています。せっかく与えてもらった立場なので、やるだけはやってみようと思っていますが自信はありません……。

 学生の頃は結婚なんて当たり前にできるものだと思っていました。でも、会社に入ったら深夜まで働く日々。月100時間の残業なんて当時は普通でしたね。一人暮らしの家と会社を往復するだけで歳月が経ってしまいました。

 30歳近くなってから「このままの生活では寂しいかも」と思い始めて、合コンなどに参加するようになりました。なかなかうまくいかず、結婚相談所に入ったのは30代になってからです。でも、「いいな」と感じる同世代の男性はもっと若い女性を求めていることが多くて、マッチングはしませんでした。

 高望みはしていません。自分と同じく年収500万円ぐらいの稼ぎがある、同年代の男性を求めていました。ただし、「好き」という気持ちは必要です。何十回もお見合いをして、現代ではそれが難しいのだと知ることになるのですが……。

柴田さんはミックスジュース、筆者はコーヒーを飲みながら話しました(筆者撮影)
柴田さんはミックスジュース、筆者はコーヒーを飲みながら話しました(筆者撮影)

 婚活をやめようと決めたのは2年前のことです。結婚相談所から紹介してもらえる男性と毎週末にお見合いをしていました。採用面接の繰り返しみたいで神経がすり減り、そろそろ退会しようと思っていたところ、1歳年下の男性から気に入ってもらったんです。

 ちゃんと働いていて資産もある方です。私のことを好きでいてくれて、知り合って3ヶ月後には揃って成婚退会することになり、その1週間後には「婚約指輪を買ってあげたい」と言われました。私はそのときに「えっ、そこまでの深いお付き合いじゃない」と思って、遠慮してしまったんです。最後には「あなたは僕のことがあまり好きじゃないですね」なんて言わせてしまいました。本当に申し訳なかったです。そこまで結婚に真剣ではない私が結婚相談所に入るのは間違っていたのですね。

 私は結婚して専業主婦になる願望をずっと持ち続けていました。でも、他力本願の結婚生活を望むのはもうやめます。自分でちゃんと稼いで生きていかなくちゃいけませんよね。クビや倒産の可能性、定年後のことを考えると、副業も見つけたいなと思っています。生涯続けられるような仕事が見つかるといいなあ。

 病気やケガの不安もあるので、無条件で一緒にいてくれる人がいないのは寂しいとは思います。会社に「ちょっといいな」と思う人はいるんです。仕事ができて頭がいいのにマンガの話もできる人。30代後半で、彼も管理職です。私も管理職なので下手なことはできません。若い人たちが同期入社の人とくっつくのとは違います。社内で気まずくなることは絶対に嫌です。「いいな」と思っている程度で何も起こらない関係なのでしょう。

***筆者より柴田さんへ***

30代半ばから40代半ばの人は結婚するのが一番難しい世代かもしれません。

 30代半ばから40代半ばにかけての「アラフォー」は、結婚するのが一番難しい時期かもしれません。真面目に働いていると、柴田さんのように責任のある立場になることが求められ始める世代です。若い頃のようにがむしゃらに働くというよりも、後輩や部下の模範となり、教え導かねばなりません。よほど器用でない限り、社内恋愛などは難しいですよね。

 出産・子育てという大きなテーマも最終決断を下さなければならないタイミングです。子どものいない人生を歩むのか否か。異性と出会うたびに、目の前の恋愛よりも「先のこと」を考えてしまう人も少なくないでしょう。

 同世代や年上の異性に求める要素も自然と高くなります。若い頃のように表面的なもので軽々しく好きになったりはできません。有名企業の社員がオシャレなお店に連れて行ってくれたりしても、言動に粗さが見えたりするとすぐに幻滅したり。本当の意味で「仕事ができて思いやりがある」のはどういう人か。見極められる年代になってきたとも言えるでしょう。それだけに好きになりにくいのです。

 もっと若いうちに相手を見つけて結婚しておけばよかった、と言われるかもしれません。でも、現在のアラフォーは就職氷河期の世代でもあり、最近のように残業規制も厳しくはありませんでした。柴田さんのように「仕事と家の往復」に終始する20代を過ごしてきた人も少なくありません。

 時代や世代のせいにしても何も生まれませんよね。今日からどう生きるべきなのでしょうか。筆者は、柴田さんの2つの言葉にヒントが隠されていると思います。「他力本願の結婚生活を望むのはもうやめて、自分でちゃんと稼いで生きていく」と、「無条件で一緒にいてくれる人がいないのは寂しい」の2つです。

 一見すると矛盾するようですが、この2つを両立することが人間的な魅力を放つのだと思います。大人だから自分のことは自分でやるし、他人には優しくできる。でも、不安や寂しさも抱えていて、親しい人にはそれを話して支え合っている――。そんな柴田さんの隣で、穏やかな大人の男性がニコニコしている将来が見える気がします。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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