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自由好きな43歳男性。真剣交際するために必要な「共通経験」とは?~お見合いおじさん活動月報(17)~

大宮冬洋フリーライター
知的風来坊の加藤さんがついに成婚退会! イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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海外放浪癖がある私。結婚には縁がないと思っていました

 昭和の名わき役のように個性的で男っぽい風貌、控えめでスマートな立ち振る舞い。加藤信彦さん(43歳)の仕事は金融関係の専門職です。関西出身で、長く海外で働き、帰国してからも地方都市を転々とする「風来坊」でもあります。

 そんな信彦さんから「真剣交際をしている女性がいる」と聞いたのは今年に入ってからのこと。最近、信彦さんの言動に落ち着きが増して魅力的になったと思っていたんです。そういうことだったのか……。信彦さんが働いている都内のオフィスビルに行き、一緒にランチビュッフェを食べながら「卒業面談」を実施しました。

「海外放浪癖がある私は結婚には縁がないと思っていました。でも、オネットを含めていろんな人とお見合いをする機会をいただき、人と会うことの楽しさを感じるようになり、結婚も悪くないと思うようになったのです。放浪欲も20代30代である程度はサティスファイ(満たされた)したので、東京で腰を据えて生活をしたいと思っています。彼女との出会いは大手の結婚相談所ですが、オネットでの活動がなければ入会していませんでした。きっかけを与えていただきありがとうございます」

 感謝の念を伝えてくれる信彦さん。我がオネットのような小さなきっかけでも、一歩踏み出すことは大事なのだと思います。ささやかな行動が出会いを呼び、出会いが変化をもたらす可能性があるからです。信彦さんの場合、お見合いや合コンを通じて、「人と会うのは楽しい。結婚も悪くない」と感じるようになりました。同時に、外見や話し方にも磨きがかかったのです。

「生活の面で自信がついたのも、結婚に関心を持てた要素です。3年ぐらい前までは不安が大きかった。私は外資系企業を渡り歩いてきたので、正社員であっても雇用面で何の保証もありません。でも、帰国してからヘッドハンティングのお誘いを頻繁に受けるようになり、ジョブマーケットでは自分は需要があることを知り、自分一人ぐらいなら何とか食べていけるだろうと感じるようになりました」

 少なくとも自分の食い扶持は稼いでいける――。僕たち就職氷河期世代にとっては、この慎ましい目標をクリアすることは大事なのです。尊重し合える異性との結婚生活はその先にしか見えません。

 信彦さんが選んだアラサー女性を仮に直美さんとしておきましょう。聞けば、「選んだ」のではなく、直美さんから「選んでもらった」のだそうです。

「その結婚相談所を通じて申し込みをしてもらったんです。謙虚な人柄に好印象を受けました。私の基準では美人です」

 謙虚で美しい独身女性は世の中に少なくありません。その中でも、信彦さんが「自分と合いそうだな」と思ったのは、直美さんが「高校と大学生活を英語圏で過ごした」というバックグラウンドの持ち主だったからです。放浪癖は静まったとはいえ、今後も海外で住み働く可能性を捨てたくはない信彦さん。その際に、パートナーの「言葉のケア」が不要なのは大きな安心材料のようです。

忙しくてデートができない時期の彼女からの「可愛い攻撃」

 交際が進んでいた今年2月、信彦さんは仕事で忙殺される時期がありました。出張も多く、直美さんとデートができない日が続いたのです。そのときも直美さんは怒ったりはせず、次のように伝えてくれました。

「仕事が忙しいなら我慢します。その代わりLINE攻撃をしますよ」

 恋人がこんな風に理解してくれ、可愛い「攻撃」をしてくれたら、信頼と愛情が深まるのは必至ですね。現在、2人は一緒に住むことを話し合っています。言い出してくれたのはやはり直美さんです。

「彼女も一人暮らしです。冷蔵庫が壊れそうなので、大きなものに買い替えるついでに一緒に住みたいと提案してくれました。その前に、お互いの家族にも会いに行くつもりです」

 賃貸マンションの契約更新前の住み替えを機に結婚する「更新婚」はよく聞きますが、電化製品の「買い替え婚」は初耳です。ユニークで堅実な直美さんの人柄が伝わってくるエピソードですね。

 結婚も視野に入れた「真剣交際」中の信彦さん。でも、浮かれた様子はありません。むしろ地に足をつけて、しっかりと前を向いています。

「彼女と一緒にいるときは楽しさを感じますが、エキサイトメントではなく穏やかな気持ちです。お互いに相手へのリクエストはなく、気楽に過ごせています」

 これから先、海外に赴くことはあっても、それは放浪ではありません。直美さんという伴侶がいるからです。信彦さんにとって、直美さんが待っていてくれる家庭が常に「ホーム」になることでしょう。末永くお幸せに……。

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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