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42歳。苦しい離婚をようやく終えて、いま新しい恋をしています~40歳からの婚活入門(16)~

大宮冬洋フリーライター
東京・新富町の老舗ビストロにて。田辺さんは楽しく飲める美人です。(筆者撮影)

 アラフォーの独身女性は生きづらいと思う。出産のリミットを感じながらの婚活は苦しいし、既婚者とはその辛さや孤独感を共有できない。話が合う友人知人がだんだん少なくなる。シングルマザーの場合はより深刻だ。幼い子どもがいると仕事・恋愛・趣味のいずれにも時間を取れず、母子で孤立しやすい。

 筆者は昨年末に電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を自費出版した。既婚未婚それぞれの40歳男女に偏りなくインタビューして撮影をさせてもらう予定だったが、独身女性からは取材を断られることが多かった。「今の自分を書いてほしくないし、人からも見られたくない」といった理由がほとんどである。

 だからこそ、彼女たちの話を聞きたい。匿名でいいから、その状況と胸の内を教えてほしい。同じ40代として腹を割って語り合う気持ちで本シリーズを続けている。

***金融機関の正社員、田辺綾乃さん(仮名、42歳)の話***

「子どもはまだなの?」という母親をあしらえなかった前夫

 前の夫と出会ったのはちょうど10年前。前の職場の同僚です。中途社員として入って来た私の歓迎会で、私の隣に可愛らしく座り、いろいろ話しかけてくれました。私より4歳年上で、仕事ができるイケメンです。他の人には知られないように付き合っていました。みんなに隠れて2人でランチに出かけたり。私は仕事好きなほうですが、職場恋愛があると会社がますます楽しくなりますね。働くモチベーションが上がります!

 でも、結婚はしないという選択肢もあったかもしれません。私には子宮関連の持病があり、手術を受けたこともあります。妊娠は難しい体なので、無理に子どもを作ろうとは思っていません。でも、彼は自分の子どもを作ることに固執していました。そのことでケンカしたこともあったのに、目をつむって結婚してしまったんです。

 彼はこだわりが強い人で、妥協することができません。私が妊娠しにくいことをわかっているはずなのに、不妊治療についてどんどん調べて、自ら進んで検査に行って来ました。男性なのに珍しいですよね。彼の精子には問題がないことがわかったのですが、私は人工授精などをしてまで子どもを作りたいとは思えませんでした。

 後からわかったことですが、彼は母親から「子どもはまだなの?」と何度も催促されていたみたいです。うまくあしらえばいいのに、彼はそれができません。親の想いをガッチリとキャッチして思い詰めてしまうんです。

 結婚生活は丸4年で終わりました。最後の1年間は別居をしながらゴタゴタしていましたね。彼はケチで法律に詳しいので、言いくるめられてしまう危険性があります。弁護士さんにお願いをして財産分与などを進めました。苦しい1年だったな……。一昨年の夏にようやく離婚が成立しました。

シャンパンで乾杯の後、白ワインをボトルで注文。大人になって良かった!(筆者撮影)
シャンパンで乾杯の後、白ワインをボトルで注文。大人になって良かった!(筆者撮影)

「好きだ。大好き。付き合いましょう」とちゃんと言ってくれた

 上司の紹介で、ある会社で役員をしている健司さん(仮名、48歳)に出会ったのは去年の夏でした。彼もバツイチで、大学1年生の子どもがいます。お母さんとおばさんまで同居しているそうです。

 上司を含めて4人で飲んでいるときに「口説いてしまいそう」なんて言われましたが、飲みの席ではよくあることですよね。気にしていませんでした。でも、次に2人きりで会ったときに「好きだ。大好き。付き合いましょう」とちゃんと言ってくれたんです。私は太っちょは苦手なのですが、太めの健司さんは嫌じゃなかった。役員の彼はお金持ちだから好きという面もあるとは思いますが、最初から「好き」とはっきり言ってくれたことが嬉しかったし、誠意を感じました。

 最近はあまり会えていません。営業担当の彼は、12月と1月はほぼ毎晩に仕事関係の飲みが入っていたみたいです。本当?と疑ってしまいますよね。でも、うちの会社の営業担当役員も同じような生活なので、本当なのかもしれません。LINEでは毎日のようにやりとりをしていて、「約束を果たせなくてごめんなさい」といった内容のメッセージをよくもらいます。グイグイと迫って来ていた最初の頃に比べると、明らかにトーンダウン。彼は熱しやすく冷めやすいタイプなのでしょう。

 仕事中に彼のことで気が散ってしまうこともあります。それは良くありません。私も少し冷静になったほうがいいのかな、と思って、1日ぐらいはLINEを放置しているところです。彼のことが好きなのかどうかもわからなくなってきました。誠実でいい人ならばお付き合いを続けたいとは思いますが、どうしても再婚したいわけではありません。

***筆者より田辺さんへ***

まったく同じ失敗を繰り返さなければ、人は少しずつ成長できます

 子作りという重大なテーマでケンカをしてしまった前夫とは、そもそも「結婚をしないという選択肢もあった」と軽く後悔している田辺さん。筆者も離婚経験者なのでその気持ちはわかります。

 踏み止まって引き返せるポイントはいくつもあったのに突っ走ってしまう――。この心理には、「いい年齢だからさっさと結婚したい。ずっと独身は寂しい」という焦りや不安と、「結婚すればすべてがうまくいくはず!」という根拠のない楽観が混じり合って潜んでいる気がします。そして、手痛い失敗をして反省するのです。

 熱いヤカンに触って火傷をした人は、ものすごく愚かではない限り、まったく同じヤカンには手を伸ばしませんよね。結婚や就職も似ています。悪人やブラック企業ではなくても、自分とは相性が良くない異性や会社は存在するのです。相性が良くないからこそ憧れを持つこともありますが、近づきすぎるとお互いに痛い目に遭います。

 失敗は成功のもと、なのかはわかりません。でも、同じ失敗を繰り返さなければ、人は少しずつ成長できる。田辺さんはいま、前夫とは異なるタイプの年上男性と付き合っています。また別の苦労があるようですが、安易に結婚したりはしないでしょう。恋愛が仕事に支障をきたさないように、忙しすぎる彼との間に適度な距離を保とうともしています。大人の恋愛ですね。

 愛していた人に憎まれたり、相手を傷つけてしまったことに傷ついたり。ときには苦しい経験をしながら、人は大人になっていくのだと思います。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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