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国内線便数がコロナ前ピーク水準まで回復

タワーマン元航空管制官
(写真:イメージマート)

コロナ禍が落ち着き始めたことで、4月後半から5月前半のGWシーズンには多数の旅客が飛行機を利用したとの報道があったが、その後も便数は着実に増加を続けており、国内線についてはコロナ前のピーク水準に近い実績となっている。

世界のフライト追跡情報、統計データなどを提供するFlightAwareの最新情報によれば、羽田空港では2022年4/22〜5/22の31日間で国内線・国際線を合わせ34191回の離着陸が行われている。国土交通省の公表値(空港管理状況調書)によれば、コロナ禍による減便が行われる前の2019年5月の一ヶ月間で39160回の離着陸があり、5000回近い差分が未だに埋まっていない状況であることが分かる。なお、空港管理状況調書は着陸回数のみの集計となっているため、ここでは着陸回数の2倍を離着陸回数と設定している。

この約5000回の差分の内訳について考察する。FlightAwareの離着陸回数は飛行機に搭載されたADS-Bという機器の情報を元に集計しているため、国内線・国際線の分類はない。そこで羽田空港の国際線フライトスケジュールを確認すると、欠航が目立つものの一日当たり約30便=60回の離着陸がある。GW期間中の国際線増便を考慮し、2022年4/22〜5/22の31日間で国際線の離着陸を約2200回とすると、国内線・国際線を合わせた34191回のうち国内線は約32000回であると推計できる。空港管理状況調書には国内線・国際線の別で集計された結果が出ているが、東京国際空港2019年5月の国内線は31608回となっており推計値に近似する。埋められていない5000回のほとんどは国際線需要が回復していない結果であると考えられる。実際、東京国際空港2019年5月の国際線は7552回となっており、埋められていない5000回に推計値2200回を足すとこちらもやはり近似する。もはや便数の上では、国内線は完全にコロナ前のピーク水準に戻っているのだ。

あくまで国内便の離着陸回数がコロナ前ピーク水準まで回復しているということしか言えないため、旅客数や搭乗率で見なければまだまだ元通りとは言えないが、コロナ収束後のV字回復の兆しが現れ始めていると言っても過言ではない。

引用:FlightAware(https://ja.flightaware.com/live/airport/RJTT)

羽田国際空港HP(https://tokyo-haneda.com/flight/flightInfo_int.html)

元航空管制官

元航空管制官で退職後は航空系ブロガー兼ゲーム実況YouTuberとなる。飛行機の知識ゼロから管制塔で奮闘して得た経験を基に、空の世界をわかりやすく発信し続ける。

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