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「デパ地下グルメ」が記録的な猛暑の日本を救う理由

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

今年の夏も記録的な猛暑となっています。日中の外出を控えるようにとの呼びかけもありますが、コロナ明けの夏休みということもあって、観光地は賑わっている様子です。

旅行を控えていたとしても、両親や親類、友人や知人の自宅へ訪れたり、一緒に食事したりする機会はあるでしょう。そういった場合には、何かしらの手土産を渡したいと思うもの。そうでなかったとしても、猛暑で疲労が蓄積され、暑い台所に立って料理するのもひと苦労。

このような時に利用したいのが“デパ地下グルメ”です。

百貨店の地下は、きれいで涼しくて、快適な空間であることは言及するまでもありません。色とりどりの野菜から、ブランドの黒毛和牛のサーロインやフィレ、食欲をそそる和洋中の惣菜やお弁当、上品な和菓子やきらびやかな洋菓子とそれらのアソート、フランスやイタリアからニューワールドまでバラエティに富んだワイン、全国各地の銘酒を取り揃えた日本酒など、何でも手に入るといっても間違いないでしょう。

そんな“デパ地下グルメ”にある傾向が現れています。

▼東京都で猛暑日の最多日数を記録し、8月後半も厳しい暑さ

▼「夕方に疲れ」「火使いたくない」ということからデパ地下で惣菜の売上が伸長

▼小田急百貨店新宿店が自主編集の売場を開設して惣菜に注力

▼グラム売りの不“明朗会計”に共感の声

▼1,000円以下と手頃な値段の弁当も少なくない

熱中症になるほどの暑さなので、火を扱うキッチンにいると、命の危険にさえさらされます。調理するのはとても辛いので、惣菜を買ってくることが多くなり、デパ地下の惣菜をはじめとした中食の売上が増大。そういった事情を見込んで小田急百貨店新宿店では、さらなる伸長を狙って惣菜に注力しました。

その一方でデパ地下には“懸念材料”もあります。グラム単位の販売では、想定していた金額よりも高くなるという投稿があると、多くの反響。好きな分量を購入するよりも、値段が決まっている詰め合わせや弁当の方が、明朗会計で安心できるという声も多いです。

惣菜を1品だけ購入するのでは、お土産用でも自宅用でも、栄養や見た目のバランスが悪いので、数品買うことになるでしょう。そうなると、何を組み合わせようかと考えなければならない上に、バラバラに買うと結果的に値段が高くなるのが悩ましいところ。ただ、手頃な値段で買えるおいしい弁当も少なくありません。

デパ地下の弁当であれば、食味がよいのはもちろんのこと栄養バランスがよく、ブランド力もあります。記録的な猛暑を更新しそうな今年は、デパ地下でリーズナブルな弁当の需要が高まるのではないでしょうか。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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