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上総出雲大社 人気急上昇のパワースポットは神様ご自身が御利益(ごりやく)を証明した神社

鳥塚亮えちごトキめき鉄道代表取締役社長。元いすみ鉄道社長。
いすみ鉄道国吉駅から徒歩10分の上総出雲大社

千葉県房総半島の中ほどにあるいすみ市にはおもしろい神社があります。

その名は上総出雲大社。(正式名称:出雲大社上総教会)

10年前には朽ち果てようとしていたお社が、わずか数年でお参り客がたくさん訪れるようになったこの神社。実は今年の夏にその参拝客からのお賽銭で境内を整備し、本堂の屋根を葺き替えて、見違えるような姿になりました。

朽ち果てる寸前だったときからこの神社を見守ってきた筆者は、この神社こそ、神様の御利益(ごりやく)を神様ご自身で証明したパワースポットであると確信しています。

千葉県の房総半島の中ほど、いすみ鉄道の国吉駅から歩いて10分のところにある上総出雲大社は、縁結びで有名な島根県の出雲大社の正式な分院として、今から150年以上前の江戸時代、慶応年間にこの地に設置された由緒ある神社です。

ところが、全国的に見られる由緒ある神社仏閣が放置されて朽ちていく現象と同じく、この神社も管理する地域の皆様方の高齢化や人口減少、神仏に関する法律の変更などで近年維持していくことが難しくなって荒れ果てた状況にありました。

ちょうどそのころ、2009年に筆者がいすみ鉄道の公募社長としてこの地に御縁をいただき、御挨拶で地域の皆様をまわっている時に、「この地には出雲大社様があるんです。」というお話を聞きまして、早速連れて行ってもらったんです。

町はずれにある出雲大社は、地元の氏神様である国吉神社の境内の一部にあって、うっそうとした森で、いかにもパワースポットであるかのようにたたずんでいました。筆者は「もしかしたら自分をいすみ鉄道に導いてくれたのは、この神様かもしれない。」と考えまして、ポケットから500円玉を出してお賽銭箱に入れてお参りをしました。

それを見ていた地元の方が、「社長さん、もったいないですよ。どうせ賽銭泥棒に持って行かれちゃうんですから。」と言われましたので詳しく話を聞いてみると、町はずれの無人の神社ですから時々賽銭泥棒が出るらしい。それほど荒廃していたんです。

「賽銭泥棒にしてみたら、危険を冒して泥棒に入って賽銭箱が空っぽじゃあ、腹いせに火でも点けられかねない。そうなったら一大事でしょう。」と言って、筆者はそれからことあるごとにこの出雲大社に立ち寄って、その度に500円玉を賽銭箱に投げ入れて無人の境内でお参りをしてきました。

するとどうでしょう。

それから見る見るうちにいすみ鉄道にたくさんのお客様が訪れるようになり、一躍全国区になりました。

ローカル鉄道は全国的に廃止の一途で、何も手を打つことができない。バスにするしかないというのがこの国の長年の常識であった中で、国鉄の赤字ローカル線を引き継いだ第3セクターのいすみ鉄道が、大きな投資をすることもなく、今あるものを使うだけでたくさんのお客様が訪れるようになり、沿線のいすみ市も大賑わいになったことは、読者の皆様方もよくご存じの事実です。

今ではローカル鉄道は地方創生の切り札であると政治家の大先生方も認めていただけるようになりました。

世間の皆様からは公募社長として采配を振るった筆者の功績として、ありがたいご評価いただいていますが、実はいすみ鉄道の大躍進は筆者の力などではなく、この国吉駅の上総出雲大社様から頂いたご利益のおかげであると筆者は信じているのです。

さて、それからというもの筆者の周りでは不思議なことがいくつも起こりました。

いすみ鉄道に遊びに来て、いつの間にか仲良くなったカップルがいくつも誕生し始めたのです。

国吉の上総出雲大社は山陰にある本家の出雲大社の正式な分院です。そして出雲大社は縁結びの神様として全国からたくさんの参拝客が訪れています。その同じご利益が国吉の出雲大社にもあるのではないか。筆者はそんな考えを持ち始めていましたが、その考えが確信に変わる出来事が起きました。

ある時、有名人から結婚式の招待状が届いたのです。

フュージョングループ、カシオペアの元メンバーで、大人気ゲームソフト、トレインシミュレーターの発売元である株式会社音楽館の社長、向谷実さんからの招待状でした。

2015年1月 向谷さんの結婚式にて。ひたちなか海浜鉄道の吉田社長、由利高原鉄道の春田社長、評論家の川島令三先生と。右端が筆者。
2015年1月 向谷さんの結婚式にて。ひたちなか海浜鉄道の吉田社長、由利高原鉄道の春田社長、評論家の川島令三先生と。右端が筆者。
お二人からの心温まる手書きのメッセージ。
お二人からの心温まる手書きのメッセージ。

向谷実さんと奥様の藤みさきさん(ナレーター)が出会われたきっかけがいすみ鉄道だったということなんです。

ナレーターの奥様がいすみ鉄道に係わる番組のナレーションのお仕事をされて、その後、向谷さんとの初めてのデートがいすみ鉄道だったとか。

もちろんお二人とも国吉駅の近くに出雲大社があるなんてことはご存じありませんでした。

このお二人のなれそめこそが、国吉の上総出雲大社様の御利益であると筆者は確信するに至りました。

それからというもの、不思議なことに、どこから聞きつけたのか国吉駅には出雲大社をお目当てに訪れる観光客がたくさん降り立つようになりました。

特に若い女性のグループ客が地元の商店街を歩く姿を見かけるようになりましたが、地元の皆様方は、「?????」と当初は不思議な表情でしたが、それが町はずれにある出雲大社がお目当ててたくさん観光客が来ていることを知ると、いすみ市役所がおもてなしの基本ということで神社の境内にきれいなトイレを設置してくれました。

すると、さらに参拝客は増え続け、宮司さんにお聞きしたところ、2018年の元日には何と1万人が初詣に訪れるようになり、皆様方からの浄財で本堂の屋根がきれいに葺き替えられたのです。

2014年の上総出雲大社本殿。
2014年の上総出雲大社本殿。
2018年8月の本殿。境内がきれいに整備され屋根が葺き替えられています。
2018年8月の本殿。境内がきれいに整備され屋根が葺き替えられています。

わずか数年で見違えるようにきれいになりました。

今では宮司さんも常駐するようになり、賽銭泥棒の心配もなくなりました。

宮司さんは筆者の顔を見るたびに、「ありがとうございます。いすみ鉄道さんのおかげです。」とおっしゃられますが、「いやいや、全然違いますよ。いすみ鉄道が大社様のお力でここまで元気になったのです。」と筆者。

2017年2月にはTV番組で婚活列車が取り上げられました。
2017年2月にはTV番組で婚活列車が取り上げられました。
2018年元日、年明けとともに暗いうちから境内には長蛇の列が。
2018年元日、年明けとともに暗いうちから境内には長蛇の列が。
列の先は本堂へ。初詣のお参りの行列です。
列の先は本堂へ。初詣のお参りの行列です。

わずか数年前までは元日の参拝客が数十人程度だった神社が、数年後には1万人が訪れるようになる。これは奇跡ではありません。事実であり現実なのです。そして、それを筆者はこの目で見て来ました。

これが筆者がいすみ市の国吉にある上総出雲大社様は、神様がご自身でその御利益を証明した神社であると確信している理由です。

神社仏閣、信じる信じないは皆様方ご自身の心の中の問題です。

でも、朽ち果てようとしていた神社がわずか数年で初詣に1万人の参拝客が訪れるようになった。そして、その参拝客の皆様方の浄財で神様ご自身が見違えるほどきれいに立派になられたというのは事実ですから、信じる信じないではありません。

きっとここにはなにかがある。

それがパワースポットというものではないでしょうか。

ぜひ、初詣は上総出雲大社へご参拝ください。

ただし、お賽銭は500円玉をお忘れなく。

縁結びだから「御縁=五円」で、なんて言っているような人は、多分5円分の御利益だけがいただけると思いますよ。(笑)

【上総出雲大社へは】

外房線の大原駅からいすみ鉄道に乗り換えて約15分。

国吉駅下車、徒歩10分です。

いすみ鉄道のお正月の情報については、「いすみ鉄道社員ブログ」をご確認ください。

いすみ鉄道社員ブログ。(最新面が表示されます。)

皆様、今年もお世話になりましてありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えください。

(写真はすべて筆者撮影)

えちごトキめき鉄道代表取締役社長。元いすみ鉄道社長。

1960年生まれ東京都出身。元ブリティッシュエアウエイズ旅客運航部長。2009年に公募で千葉県のいすみ鉄道代表取締役社長に就任。ムーミン列車、昭和の国鉄形ディーゼルカー、訓練費用自己負担による自社養成乗務員運転士の募集、レストラン列車などをプロデュースし、いすみ鉄道を一躍全国区にし、地方創生に貢献。2019年9月、新潟県の第3セクターえちごトキめき鉄道社長に就任。NPO法人「おいしいローカル線をつくる会」顧問。地元の鉄道を上手に使って観光客を呼び込むなど、地域の皆様方とともに地域全体が浮上する取り組みを進めています。

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