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1月10日から全国旅行支援再開、12月までと何が変わる?大阪・千葉・富山など自治体でクーポン上乗せも

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
外国人観光客も一気に戻ってきた大阪・道頓堀(2022年10月29日、筆者撮影)

 1月10日(火)から全国旅行支援が再開される。割引率が昨年までの40%から20%に半減し、地域クーポンも従来の平日3000円・休日(土曜日の宿泊)1000円が、平日2000円・休日1000円となる。それ以外でも変更点がいくつかあることから、主な変更点を中心にまとめると共に、自治体独自の予算でクーポンを上乗せするキャンペーンについてもまとめてみた。

2700億円規模の予算で実施される

 「全国旅行支援」は、国がお金(予算)を47都道府県に交付(分配)し、事務局機能は各都道府県の自治体が担っている。2年半前のGo Toトラベルでは国が管轄していたのに対し、全国旅行支援は、国のお金を使っているが、各自治体の管轄となっている。1月10日からの全国旅行支援では2700億円が投入されている。昨年までの全国旅行支援では5600億円の予算で実施していたが、この5600億円は年度内(3月末)に会計処理などが必要であることから、昨年の残金があっても2ヶ月以上必要な精算業務を考えると使えない可能性が高く、基本的には来年度予算に繰り越し可能な2700億円が主な財源となる。

今回は予算がなくなった自治体から終了

 この2700億円を既に47都道府県への配分を昨年のうちに終えており、今回は追加配分はない見込みで、使い切った自治体から全国旅行支援は終了となる構図となる。現在、ほとんどの自治体で3月31日宿泊分までの販売となっているが、予算が残っていれば4月以降も継続する方向となっている。これまでの販売実績を考えると、4月以降も継続して実施する自治体もありそうで、GW前までは使える可能性は高い。

今回と前回の主な違いは?

今回の主な変更点は以下の通りだ。

その1:割引率は昨年までの40%から20%に引き下げ、割引上限は宿泊のみは3000円、交通付き旅行商品で5000円(共に1泊あたり)。日帰りは3000円が割引上限に。(昨年までの割引上限は宿泊のみ・日帰りは5000円、交通付き旅行商品で8000円)

その2:地域クーポンは昨年まではほとんどが紙クーポンだったが、1月10日以降は原則電子クーポンとなり、平日は2000円、休日は1000円に変更される。(昨年までは平日3000円、休日1000円)※休日の定義は、宿泊の場合は土曜日の宿泊のみが適用される

その3:既存予約には対応せずに、既に予約済みの場合には取り直しが必要。

その4:昨年の全国旅行支援では参画していた宿泊施設の中で、既存予約に対応しないことや事務手続きの手間などを理由に参画を見送った宿泊施設が出ており、利用できない宿泊施設もあるので注意。

全国全ての地域クーポンが電子化される

 上記のように大きな違いは、割引率と地域クーポンの付与額の変更であるが、それ以外で大きな違いとしては地域クーポンが原則電子化される。宿泊施設でA4の紙でクーポン付与額やQRコードが記載されたものがチェックイン時に渡され、多くの都道府県では「regionPay(リージョンペイ)」というアプリを使って、QRコードを読み取ることで地域クーポンの付与額をチャージできる方式となっている。

 既に東京都や大阪府では昨年の全国旅行支援でも導入しており、そのまま使うことができるが、これが全国展開となるということだ。スマートフォンがない場合は、A4の紙に印字されているQRコードでも利用できるが、使えるお店が限定されてしまうので注意が必要である。詳しくは各自治体の全国旅行支援の事務局のホームページから確認できる。

チェックイン時にはA4の紙でクーポン情報が入ったものが渡され、スマートフォンのアプリ「regionPay」にチャージする(筆者撮影、一部画像処理をしております)
チェックイン時にはA4の紙でクーポン情報が入ったものが渡され、スマートフォンのアプリ「regionPay」にチャージする(筆者撮影、一部画像処理をしております)

reginoPayのトップ画面から利用する自治体の地域を追加する
reginoPayのトップ画面から利用する自治体の地域を追加する

クーポン加盟店で利用する際にアプリのみ対応するお店も多く、スマートフォンを持っていない場合には使えるお店が限定される。アプリで店内にあるQRコードを読み取って1円単位で決済できる(筆者撮影)
クーポン加盟店で利用する際にアプリのみ対応するお店も多く、スマートフォンを持っていない場合には使えるお店が限定される。アプリで店内にあるQRコードを読み取って1円単位で決済できる(筆者撮影)

既存予約に対応しないこと、事務手続きの手間を考慮して見合わせる宿泊施設も

 そしてもう1点、比較的価格帯の高い宿泊施設を中心に昨年の全国旅行支援では参画したが、今回は見合わせる宿泊施設も出ている。宿泊のみでは最大1泊3000円しか割引されないことに加えて、宿泊施設から多く聞かれたのが既存予約に対応しないということだ。予約済みで全国旅行支援を適用するには取り直しが必要となるが、旅行需要の増加に加えて、インバウンド(訪日外国人観光客)の入国も相次ぎ、取り直しすると宿泊料金が高くなってしまい、お客様が混乱してしまうことを理由に見送ったケースもあるなど、メリットよりも事務手続きの手間も含めて見送っている。

 旅行予約サイト経由での予約についても、宿泊施設自体が見送った場合には適用されないので、予約時に注意が必要だ。

大阪・千葉・富山など自治体独自で地域クーポンを上乗せするケースも

 ただ割引率が減る一方で、自治体が独自で地域クーポンを上乗せすることで、昨年までの全国旅行支援に近いメリットがあるケースも出ている。全国旅行支援の地域クーポンは国の予算であるが、上乗せ分を自治体の予算を使うことで上乗せを実現している。大阪府、千葉県、富山県などが既に表明している。

 大阪府では1月25日(水)~2月28日(火)のキャンペーン期間中に宿泊する場合に通常平日2000円のクーポンが5000円に、休日(土曜日宿泊)1000円のクーポンを3000円とする。つまり、平日に大阪府にキャンペーン期間中にすると1泊で5000円、2泊で1万円の地域クーポンがもらえることになり、割引率は20%になるが、クーポンの付与額は昨年以上に増えることになるのだ。

 また千葉県では1月10日(火)より宿泊日順で先着100万人に地域クーポンを2000円上乗せし、平日4000円・休日3000円を付与するほか、富山県でも1月10日(火)~2月28日(火)宿泊分を対象に予算が無くなるまで2000円上乗せし、平日4000円・休日3000円を付与する。このような形で自治体が独自で上乗せすることによって、観光客の誘致に積極的に取り組む動きも出ており、他の自治体が追随することも考えられる。

この時期の富山は寒ブリや蟹、鱈の白子などが堪能できる(富山県氷見市にて筆者撮影)
この時期の富山は寒ブリや蟹、鱈の白子などが堪能できる(富山県氷見市にて筆者撮影)

 このような形で新たな全国旅行支援が1月10日から開始されるが、しっかりルールを確認した上で活用することでお得に国内旅行を楽しむことができそうだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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