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羽田空港、約15分で新型コロナの検査結果がわかるPCRセンターを10日に開業。実際に検査を受けてみた

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
4月10日に羽田空港に開業する「新型コロナPCR検査センター」(筆者撮影)

 飛行機利用の国内旅行や出張において、出発前に新型コロナウイルスの陰性を確認してから出かけたいという声は大きい。都内にも割安でPCR検査ができるPCRセンターも相次いで開業しているなか、4月10日(土)に羽田空港の第1ターミナル・第2ターミナルに「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」 が開業する。今回の注目は、約15分で検査結果がわかるクイック検査(鼻腔拭い液による抗原検査)が受けられることで、出発直前の検査が可能となるという点だ。実際に筆者がオープン前の4月8日に羽田空港第1ターミナルの検査センターでクイック検査を受けてきた様子をレポートする。

15分で結果がわかるクイック検査は1800円

 木下グループは既に新橋や新宿など都内5ヶ所にPCR検査センターを開業しており、2300円(税込)でPCR検査を実施しているが、羽田空港ではクイック検査とPCR検査の両方に対応し、クイック検査では約15分、唾液によるPCR検査では最短2時間で結果が出ることになる。完全予約制となっており、空いていれば当日予約も可能だ。クイック検査の価格は1800円(税込)となっている。またPCR検査は1900円(税込)、そしてPCR検査+クイック検査のセットで3000円(税込)となっているが、飛行機に搭乗する直前(出発当日)に検査する場合には、フライトまでに検査結果が確実にわかるクイック検査を含めた検査のみ選ぶことになる。

羽田空港第1ターミナル4階にオープンする「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」。第2ターミナルは地下1階に同様のセンターをオープンする。(以下全て筆者撮影)
羽田空港第1ターミナル4階にオープンする「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」。第2ターミナルは地下1階に同様のセンターをオープンする。(以下全て筆者撮影)

誓約書に署名し、陽性だった場合には提携医療機関などでの受診を誓約する。病院までは専用車で移送するサービスも

 実際に筆者は15分で結果が出るクイック検査による抗原検査を受けてきた。まず、受付で名前を申告した後、誓約書及び同意書に署名するところから始まる。以前は民間のPCRセンターでは、陽性が確認された場合であっても、医療機関での再受診を要請するレベルであったが、現在では陽性であった場合に検査機関の提携医療機関もしくは自分のかかりつけ医での受診を誓約する誓約書に署名しなければならなくなった。羽田空港のPCR検査センターでは、提携医療機関である川崎市内の病院への移送についても専用車で搬送するなどのサポートする体制が取られている(自家用車での移動も可能)。

誓約書などに署名後、袋に入った検査キットが渡される
誓約書などに署名後、袋に入った検査キットが渡される

袋から取り出した検査キット
袋から取り出した検査キット

実際にクイック検査を受けてきた。自分自身で綿棒を鼻の粘膜に入れる方式での検体採取

 誓約書及び同意書に署名した後、クイック検査のキットが渡された。PCR 検査では唾液を採取する形で行われるが、クイック検査ではボードで仕切られたブースで綿棒(減菌スワプ)を鼻の粘膜に自分自身で突っ込み、鼻咽頭の表面を3~4回擦るようにして粘膜表皮を採取する。その後に抽出用のボトルに綿棒を試薬に浸し、左右、そして上下に動かして攪拌した後に綿棒を取り出し、抽出用のボトルのキャップを閉めれば採取は終了となる。最初は恐る恐る綿棒を自分の鼻の奥に突っ込んでみたが思った程の痛みはなく、あっという間に検体は採取できた。ブースの数は第1ターミナルでは27、第2ターミナルでは14となっている。

ボードで仕切られたブースで自分自身で検体を採取する
ボードで仕切られたブースで自分自身で検体を採取する

綿棒(減菌スワプ)を鼻の粘膜に自分自身で突っ込み、鼻咽頭の表面を3~4回擦るようにして粘膜表皮を採取
綿棒(減菌スワプ)を鼻の粘膜に自分自身で突っ込み、鼻咽頭の表面を3~4回擦るようにして粘膜表皮を採取

その後に抽出用のボトルに綿棒を試薬に浸し、左右上下に動かして攪拌した後に綿棒を取り出すと採取は終了となる
その後に抽出用のボトルに綿棒を試薬に浸し、左右上下に動かして攪拌した後に綿棒を取り出すと採取は終了となる

検査の手順もわかりやすく案内されていた
検査の手順もわかりやすく案内されていた

受付から検査結果が出るまで15分かからなかった。クイック検査の信頼性はPCR検査との一致率は99.4%

 その後、検査のカウンターに検体を提出すると7~8分で結果が出た(受付状況によって異なる)。筆者は陰性であり、すぐに陰性の検査証明書が発行されたが、受付開始から結果が出るまで15分もかからずに完了し、これなら忙しい時にも出発直前の時間を使っての検査が可能ということがわかった。

検査のカウンターに検体を提出すると、この日は7~8分でクイック検査の結果が出た
検査のカウンターに検体を提出すると、この日は7~8分でクイック検査の結果が出た

検査証明書がすぐに発行され、陰性であることが証明された
検査証明書がすぐに発行され、陰性であることが証明された

 クイック検査での抗原検査における信頼性については、木下グループによるとPCR検査との一致率は99.4%となっており、更に精度の高いPCR検査と組み合わせたW検査を受けることも可能であり、その場合でも最短2時間で検査結果が出る。羽田空港のPCR検査センターでは、状況に応じてクイック検査のみもしくはクイック検査+PCR検査のどちらかを選ぶ人が多くなるだろう。

朝10時以降の出発便であれば当日の検査でも間に合う

 営業時間は9時~18時まで(平日・土休日ともに)となっていることから、朝10時以降の出発便であれば十分に間に合うことになる。旅行でも出張でも可能であり、保険適用ではないことから領収書の発行も可能で、会社が認めれば会社の経費で検査を受けることも可能だ。それ以外にも、週末に羽田空港に遊びに来たついでに検査を受けるということもできる。

JALも国内線利用者に2000円でPCR検査が可能。出発直前に新型コロナウイルスの陰性確認ができる環境が整いつつある

 現在、JAL(日本航空)でも、同社のマイレージプログラム(JALマイレージバンク)会員で国内線に搭乗する利用者に対して1週間前までの申し込みで郵送でのPCR検査を2000円(税込)で受けることが可能になるなど、2000円前後で出発直前に新型コロナウイルスに感染していないことを確認する体制が整いつつある。

JAL国内線利用者は2000円でPCR検査を受けられる。1週間前までの申し込みが必要。写真は唾液採取のPCRキット。
JAL国内線利用者は2000円でPCR検査を受けられる。1週間前までの申し込みが必要。写真は唾液採取のPCRキット。

 ANAでもPCR検査付きの旅行パッケージ商品を販売しており、今後は出発直前に陰性をしっかり確認してから旅行や出張へ出かける人が増えることを期待したい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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