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関西空港現地レポート。鉄道駅がG20開幕で大混雑、リムジンバス運休や大規模交通規制で鉄道に全面シフト

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
大規模交通規制の影響で空港利用者のほとんどが鉄道に集中した関西空港駅(筆者撮影)

 アメリカのトランプ大統領や中国の習近平国家主席など世界主要国の首脳が大阪に集まるG20サミットが大阪の大阪国際見本市会場(インテックス大阪)で今日開幕する。安倍首相やトランプ大統領など一部首脳の特別機は大阪国際空港(以下伊丹空港)に到着しているが、多くの首脳が乗った特別機が昨日相次いで関西国際空港(以下関西空港)に到着した。その関西空港においては、昨日、鉄道駅(関西空港駅)が大混雑に見舞われていた。

空港リムジンバスの多くが30日まで運休中

 既に6月17日に以下の記事を掲載しているが、大阪府内では要人が来日した昨日(27日)~離日する30日(日)までの4日間、大阪市内一般道、阪神高速道路、関西空港と大阪市内を結ぶ高速道路などで通行止めを含む大規模な交通規制が敷かれ、伊丹空港から大阪市内、東大阪、関西空港への路線、関西空港からも大阪市内へのバスが全面運休になるなど一部のバスを除き昨日(27日)から30日(日)までの4日間運休となっている。

(関連記事:6月27日~30日、大阪への飛行機出張・旅行は要注意。伊丹空港・関西空港はバス全面運休など大幅規制へ

リムジンバスの運休でバス乗り場は閑散としていた(以下写真全て筆者撮影)
リムジンバスの運休でバス乗り場は閑散としていた(以下写真全て筆者撮影)
バスのチケット売り場でも「運休中」と案内
バスのチケット売り場でも「運休中」と案内

関西空港駅、JR、南海電鉄共に大混雑

 筆者は、最大級の警備体制に入ったサミット開催前日の夕方に新千歳空港からのピーチ便で関西空港に到着した。筆者が搭乗した便は、使用する機材の到着が遅れたことにより出発の段階において45分遅れで出発したが、関西空港周辺まで飛行した段階で滑走路混雑による上空待機となり、20分近く旋回した後、1時間20分遅れで到着した。世界各国の特別機が到着するピーク日であることから、飛行機の遅れに関してはある程度の遅延は想定されていたので驚きはなかったが、驚いたのはJR西日本と南海電鉄の2社が乗り入れる関西空港駅の混雑だった。

 筆者利用のピーチ便は、鉄道駅(関西空港駅)と直結している第1ターミナルではなく、第1ターミナルから少し離れた第2ターミナル発着。鉄道駅近くのエアロプラザとの間で無料連絡バスが運行されているが、いつもよりも車が少ないこともあり、スムーズにエアロプラザに移動できた。だが、バスを降りて鉄道駅へ向かうと今までに見たことがないくらい多くの人で埋め尽くされていたのだ。

ピーチ便が普段使っているスポットの一部にも海外からの特別機が駐機していた(写真はイギリスの政府専用機)
ピーチ便が普段使っているスポットの一部にも海外からの特別機が駐機していた(写真はイギリスの政府専用機)
第2ターミナルでも入場の際に警察官によるチェックが行われていた
第2ターミナルでも入場の際に警察官によるチェックが行われていた
多くの人が集まっていた関西空港駅
多くの人が集まっていた関西空港駅

JRの特急「はるか」の自由席の列は帰省ラッシュのよう

 19時過ぎだったが、JR西日本、南海電鉄共に券売機売り場は長蛇の列で、有人のカウンターにも多くの人が並んでいた。大阪市内へ向かうべく、JR西日本の特急「はるか」の自由席に乗ろうと思ったが、特急券を買うために並ぶと電車に間に合わないことから、日常使っているICカード乗車券で改札を通過し特急の車内で自由席特急券を購入しようと思ってホームへ向かった。

 だが、ホームへ向かうと自由席の乗車口前には新幹線の帰省ラッシュのような長蛇の列ができており、乗車できても立席で身動きが取れないと判断し、ICカード乗車券の入場記録を取消してもらって改札外に出て、南海電鉄の切符売り場に10分ほど並び、何とか30分後の特急「ラピート」のチケットを買うことができた(発車15分前には満席)。特急券不要のJR西日本「空港快速」や南海電鉄「空港急行」については、直近の列車に乗車できるが、座るには1本待たないと座れない状況だった。今までの関西空港駅では見たことがない光景が広がっていた。

切符売り場には長い行列ができていた
切符売り場には長い行列ができていた
JR西日本の特急「はるか」の自由席は長蛇の列だった。今までに見たことのない光景
JR西日本の特急「はるか」の自由席は長蛇の列だった。今までに見たことのない光景

訪日外国人の団体貸切バスからのシフトも混雑要因

 これだけ鉄道が混雑した理由としては、関西空港を出発するリムジンバスが完全運休となり、鉄道利用にシフトしたことが大きな要因であることは間違いないが、観察していると普段の関西空港駅では見られない訪日外国人観光客(インバウンド)の団体・グループ客の姿が多く見られたのだ。団体・グループ客の多くは、基本的には関西空港から貸切バスで移動するのが一般的で、鉄道に乗車するケースは少ない。訪日外国人でも鉄道利用者は、個人旅行客とビジネス客が中心だ。

 しかし、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋の大幅規制や阪神高速道路の通行止めなどの交通規制で貸切バスでの移動が困難なことから、鉄道利用に切り替えたことで混雑がより増したのだろう。その他にも普段は自家用車やタクシー・ハイヤーなどで空港に来る人も鉄道に切り替えるなど、今の関西空港へのアクセスは鉄道のみと言っていいだろう。そう考えれば混雑するのも当然であり、関西空港駅には多くの係員が配置され、お客様の誘導はスムーズだった。

大きなスーツケースを持つ外国人観光客が多く見られた
大きなスーツケースを持つ外国人観光客が多く見られた

通常時よりも1時間~1時間半早く空港に到着することがベスト

 逆に大阪市内から鉄道で関西空港駅に到着した場合、通常は最短距離で第1ターミナルに入館できるが、現在は迂回ルートでの入館となっている。その理由として警備の関係で、鉄道駅と同じ2階については2カ所の入口からのみの入館となっており、入館可能な入口へスムーズに誘導するための措置だ。入館時には警察官に搭乗客は航空券を提示が必要となっており、飛行機に乗らない人については警察官による荷物検査を受けた後に入館できる。19時前で出発便が少ない時間だったことから列はなかったが、昼間においては入館に時間を要していた時間帯もあったようだ。

通常時の最短距離でターミナルへ向かうルートは使えずに迂回ルートに案内される
通常時の最短距離でターミナルへ向かうルートは使えずに迂回ルートに案内される
第1ターミナル入館時にも警察官によるチェックを受ける。飛行機利用者は航空券の提示が求められ、飛行機に乗らない人は手荷物検査を受けての入館となる
第1ターミナル入館時にも警察官によるチェックを受ける。飛行機利用者は航空券の提示が求められ、飛行機に乗らない人は手荷物検査を受けての入館となる

 上記のことを考慮すると30日(日)までは、関西空港から出発する場合は通常よりも1時間~1時間半以上早く空港に到着することが望ましいだろう。特に30日は世界各国首脳の特別機が離日することでより注意が必要となる。ターミナル内に入ってしまえば、レストランやカフェ、ショップなどが通常営業なので、退屈せずに過ごすことができるだろう。最新の交通状況については、関西空港や各交通機関のホームページなどで確認できる。

ターミナル内のレストランやカフェも通常営業
ターミナル内のレストランやカフェも通常営業
ターミナル内は鉄道駅と違って普段と変わらない光景だった
ターミナル内は鉄道駅と違って普段と変わらない光景だった
第1ターミナル4階の国際線のチェックインカウンターも大きな混乱はなかった
第1ターミナル4階の国際線のチェックインカウンターも大きな混乱はなかった

 伊丹空港についても、空港リムジンバスの多くが運休していることから、同様に早めに空港に到着するようにしたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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