バニラエアの最終運航日は来年10月26日。バニラ便はどうなる?ピーチ機への改修は?

12月20日に5周年を迎えたバニラエア。来年10月で運航を終える(筆者撮影)

 国内LCCとして2013年12月20日に誕生したANAグループのLCC(格安航空会社)バニラエアは、既に同じANAグループのLCCのピーチとの統合が発表され、2019年度中に新生ピーチとしてスタートすることになっている。秋から統合作業が開始され、バニラエアの路線移管について12月17日に発表があり、来年6月から順次ピーチに移管し、最終的に来年10月26日にバニラエアでの運航を終了することになった。

アジアの「リーディングLCC」を目指す為にピーチと統合

 バニラエアは今年10月時点で累積の搭乗者数は940万人を数え、年明けには1000万人を突破する見込みとなっている。平均搭乗率も2016年度は86.4%(約213万人)、2017年度は85.6%(約268万人)を記録するなど、5年前の就航当初は50~60%だったことを考えると、利用者も8割を超え、黒字化を達成するなど軌道に乗りつつあった。

 しかし、従来はANAホールディングスの出資比率が5割以下で連結対象外になっていた2012年3月に関西空港を拠点に運航を開始したピーチの出資比率を2017年4月に株式を取得して67%に引き上げたことにより、拠点空港は異なるもののANAグループに2社のLCCが存在する状況となった。その後1年近くに渡って協議された結果、今年3月に2019年度末を目途にアジアでの知名度も上がっているピーチを基盤に両社が統合し、アジアの「リーディングLCC」を目指すことを発表した。11月にはピーチの井上慎一代表取締役CEOが、バニラエアの代表取締役社長にも就任し、本格的な統合作業がスタートした。

新生ピーチでは、アジアの「リーディングLCCを目指す」井上慎一社長(写真右)は、11月よりピーチとバニラエアのトップを兼務している(写真は全て筆者撮影)
新生ピーチでは、アジアの「リーディングLCCを目指す」井上慎一社長(写真右)は、11月よりピーチとバニラエアのトップを兼務している(写真は全て筆者撮影)

成田発着のバニラエア便はどうなる?

 現在、成田空港から発着するバニラエアが運航する路線については以下のようになる(日付けは全て2019年)。バニラエアの最終日の10月26日は成田~台北と福岡~台北が運航される予定となっている。

・成田~那覇  バニラエア最終運航日5月31日、ピーチ就航日6月1日

・成田~新千歳  バニラエア最終運航日8月31日、ピーチ就航日9月1日

・成田~奄美大島  バニラエア最終運航日8月31日、ピーチ就航日10月1日

・成田~石垣  バニラエア最終運航日9月30日、ピーチ就航日10月27日以降(就航日は未発表)

・成田~函館  バニラエア最終運航日3月30日、ピーチでの運航はなし(運休)

・成田~台北  バニラエア最終運航日10月26日、ピーチ就航日10月27日以降(就航日は未発表)

・成田~高雄  バニラエア最終運航日9月30日、ピーチ就航日10月27日以降(就航日は未発表)

・成田~香港  バニラエア最終運航日5月31日、ピーチでの運航はなし(運休)

 既に成田~関西、成田~セブの2路線は運休になっており、現在運航中でピーチに引き継がれる成田発着路線は6路線となる。またピーチ便として成田~関西、成田~福岡の2路線が運航していることから、2019年10月27日以降の冬ダイヤにおいては国内線が6路線、国際線が2路線となるほか、ピーチは羽田空港の深夜早朝時間帯に羽田~ソウル、羽田~台北、羽田~上海の3路線も継続して運航する予定となっている。

 首都圏発着以外では、関西~奄美大島、関西~台北、那覇~台北、福岡~台北の4路線はピーチへ移管、那覇~石垣は5月31日で運休となる。移管に伴って一部期間、運航がない日もあるので注意が必要だ。

バニラエアは12月20日に5周年を迎え、成田空港で記念イベントを開催した
バニラエアは12月20日に5周年を迎え、成田空港で記念イベントを開催した

機体改修は1機あたり4ヶ月程度かかる

 バニラエアが就航5周年を迎えた12月20日に5周年記念イベントが成田空港で行われ、11月に新社長に就任した井上社長は「社名は(ピーチに)変わるが、確かな実績を残してきたバニラエアの社員はピーチと一緒に新しい活動を始めます。日本の航空会社に新しいカテゴリーの航空サービスを提供するゲームチェンジャーになります。首都圏を拠点にするバニラエアと関西を拠点とするピーチの2つがこれから起こすケミストリー(化学反応)が既存の航空会社に新風を起こすことを確信している。統合した後の会社が目指すアジアのリーディングLCCになる道だと思う」と意気込みを話した。

 井上社長は、囲み取材で機体の改修についての一部も明らかにした。一般的な統合の場合においては機体のペイントだけを塗り替えるケースが多いが、今回はコックピットの仕様変更をはじめ、シート、機体のペイントまで広範囲になるそうだ。バニラエアとピーチは同じエアバスA320型機を使用しているが、コックピットの仕様が異なる。井上社長によると「コックピットの仕様が混在すると安全に支障が出ると考え、誤操作をなくす安全第一の観点から仕様をピーチに統一するのが主たる目的である。1機あたり4ヶ月程度かかる予定で、来年3月から改修を始める予定」と話した。

バニラエア機が保有する15機全てを来年3月から順次ピーチの塗装に塗り替えられる(今年4月に関西空港にて撮影)
バニラエア機が保有する15機全てを来年3月から順次ピーチの塗装に塗り替えられる(今年4月に関西空港にて撮影)

バニラエアが築いた奄美大島、石垣島

 リゾートLCCとしてバニラエアが開拓した路線の中で、成田~奄美大島、関西~奄美大島、成田~石垣の3路線はピーチに移管されることになった。2014年7月に就航した成田~奄美大島線の就航によって奄美大島への観光客が大きく伸び、参入1年間で42億5500万円の経済波及効果があった。今年7月1日に就航した成田~石垣線はバニラエアとしての最後の新規就航路線となったが、就航以来搭乗率も高く、ピーチに移管後は1日2往復体制に増便される。また搭乗率が好調でバニラエアの稼ぎ頭になっていた台湾路線も全路線移管される。

 井上社長は「運航終了日を発表して以来、ツイートなどの反応を見るとバニラエアを惜しむ声が多数寄せられていた。本当に5年間のバニラエアの社員の努力が皆様からご評価いただいたと知って、大変嬉しく思う」と話した。ピーチ機での運航になっても、バニラエアが築き上げた路線として記憶の中に残ることになるだろう。2019年はラストバニラの年になりそうだ。

5周年記念イベント後、バニラエア社員で記念撮影が行われた。バニラエアの運航終了を惜しむ声も利用者からは多い
5周年記念イベント後、バニラエア社員で記念撮影が行われた。バニラエアの運航終了を惜しむ声も利用者からは多い