「サル痘」イギリス アメリカなど患者相次ぐというニュースがでました.

新型コロナの感染状況も収まりきらない中,新たな感染症の出現に一時話題になりましたが,幸いにも日本で感染が広がることはなく大きな話題にはなっていない様にも思えます.

というわけで,社会的な関心度を推定するために,サル痘に関するニュース記事とツイッター上でのツイート数がこの一か月でどのように変化したのかを分析してみました.

ニュース記事については,CEEK.JP NEWSからサル痘を含む記事を収集しました.

サル痘に関するツイートは5月2日~6月16日の期間に「サル痘」を含むツイート及びリツイートを集め,383,397ツイートがありました.

サル痘に関するニュース記事とツイート数(筆者作成)
サル痘に関するニュース記事とツイート数(筆者作成)

これを見る限りニュースで話題になるとともに,ツイッター上で大きく拡散しすぐにピークを迎え,その後はニュースが出てもツイッター上ではあまり強く反応していないことが分かります.やはり日本には上陸していないので,社会的な関心は大きくないといえそうです.

一方で,気になったのがこの期間最も拡散したツイートが,

今回のサル痘の正体はワクチン後遺症の一つである

というものであったり,2,3番目に拡散したツイートがフォロワー数の多い新型コロナワクチン反対派のアカウントによるもの(プロフィールから判断)だったり,4番目に拡散したツイートが,

メディアが煽れば大多数の人がまたワクチンを打ち,陰謀を知る前にほとんどの人が死に絶える

というものだったりすることです(公式アカウントによるツイートではないためリンクは割愛).

サル痘に関心を寄せているアカウントの多くが,新型コロナワクチンに懐疑的なアカウントのように見受けられます.

そこで,この期間どのようなツイートが特に拡散したのか,拡散上位2000ツイートについてクラスタリング手法を使って分類してみました.その結果がこちらです.

サル痘関係ツイートのクラスタリング(筆者作成)
サル痘関係ツイートのクラスタリング(筆者作成)

おおよそ4つのクラスタが出てきました.

大きさ順にA,B,C,Dと名前を付けて見ていきたいと思います.

まず,もっともツイート数とユーザ数が多かったクラスタAを見ると,先ほどのワクチンに懐疑的なアカウントのツイートがここに含まれていることが分かりました.

今回のサル痘の正体はワクチン後遺症の一つである

サル痘はコロナワクチンの副作用では?

といったツイートが数千回拡散しています.

それ以外にも

ワクチンがすでにあるなんておかしい

全てがシナリオだから,どうなっていくかよくわかる.背後で誰かが金儲けをしている

といったツイートが拡散上位にありました.

ちなみに,クラスタA拡散1位のツイートは5月22日に投稿された,

日本のサル痘ウイルス発見報道は明日明後日辺り.予言しておく.

という内容が含まれたものでしたが,幸いなことにこの予言は外れたようです.

クラスタBは主にサル痘に関する一般的な情報が中心でした.各国での感染状況や危機感を強めるようなツイートが中心です.

サル痘が増えていくのにマスクを外す議論をしているのはおかしい

世界中でサル痘の感染が相次いでいる

天然痘ワクチンを打っていない世代が多いので危険

などが拡散上位にありました.

クラスタCは医療関係者によるサル痘に関する情報でした.クラスタCで最も拡散したツイートはこちら.

クラスタDはNHKなどのニュースが中心のクラスタでした.最も拡散していたのがこちら.

さて,それぞれのクラスタのアカウント数とツイート数を示したものがこちらです.

各クラスタのアカウント数とツイート数(筆者作成)
各クラスタのアカウント数とツイート数(筆者作成)

これを見る限り,圧倒的にクラスタAのアカウントおよびツイートが他のクラスタよりもはるかに多いことが分かります.

次に,時系列でサル痘に関する各クラスタのツイート数を見ていくと以下の通りになります.

各クラスタのツイート拡散の時系列変化(筆者作成)
各クラスタのツイート拡散の時系列変化(筆者作成)

この結果を見ても,クラスタAのツイートが爆発的に増加した後,収束に向かってはいるものの,一日当たり1000ツイート弱が拡散し続けていることが分かります.

というわけで,日本では今のところ拡散していなかったサル痘に関するツイートは,新型コロナの副作用を疑ったり,どこかの誰かによって計画されたものであることを疑ったりするツイート群がクラスタを形成し,もっとも多く拡散されていたことが分かりました.

ここで,クラスタAのツイートを拡散したアカウントが他にどのようなツイートを拡散しているのかを分析しました.

詳細なデータは割愛しますが,その結果,

96.4%のアカウントが2022年に新型コロナワクチンに反対するツイートを少なくとも1度は拡散していた

38.5%がQアノン系のツイートを拡散している(他のクラスタは5%程度).

42.8%が神真都Q系のツイートを拡散している(他のクラスタは1%未満).

・特定の政党に関するツイートを拡散しているということはない.

・3月16日に発生した地震を「人工地震である」と主張するクラスタのツイートを拡散したアカウントの51.7%が,クラスタAのツイートを拡散した.

・メタバースには興味がなさそう(メタバース関連のツイートを拡散したアカウントは0.1%未満)

と言ったところが分かりました.

ちなみに,クラスタBは

72.1%が共産党支持系のツイートを拡散していた

という特徴があるのも興味深いところです.

なお,クラスタA,Bともに一般のユーザが興味を持ちがちな話題,例えば2022年冬季オリンピックの競技関連ツイートなどをどのくらい拡散したかを見ると,クラスタAが4.3%,クラスタBが8.1%であり,クラスタC,Dが17%前後だったのに比べずいぶん少ないことが分かりました.

というわけで,どうやらツイッター上でサル痘に興味を示したアカウントの多くが,新型コロナワクチンに関して懐疑的な立場でツイートしたことがあるものや,政治的なツイートを拡散したことのあるアカウントと考えられそうです.

今のところ日本では大きな問題になっていない感染症であるということで,一般的な利用をしているユーザはそれほど興味を持っていないという事かもしれません.しかし,日本に入ってきていないからと言って,今後海外渡航も増えてくるであろう中,海外での感染状況には心配なところもあります.新型コロナとともに今後も十分に注意していきたいところです.

なお,本ツイートのデータをご自身でも分析してみたいという方は,ツイートを収集するためのWEBアプリWeb Tweet Crawlerがありますので,こちらで「サル痘」と検索してデータを集めれば分析可能ですので,是非お試しください.

・・・未だ試されたことないですが.