24日、第71期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局が行われ、永瀬拓矢王座(29)・羽生善治九段(51)・近藤誠也七段(25)が最終戦を勝利で飾った。

 渡辺明王将(37)への挑戦を決めていた藤井聡太竜王(19)は永瀬王座に敗れて全勝を逃した。

 また残留をかけた一戦は、近藤七段が豊島将之九段(31)に勝って来期の椅子を確保した。

最終戦

 挑戦も残留も決まって消化試合となった藤井竜王と永瀬王座の一戦は、永瀬王座の快勝で終わった。

 永瀬王座が先手番で相掛かりを採用し、均衡のとれた戦いから一気に抜け出して勝ちをもぎとった。その力強さはさすが前期挑戦者と思わせるものだった。

 豊島九段と近藤七段の対戦は、勝つと残留、負けると陥落という一戦に。

 先攻した豊島九段に分がありそうにみえたが、近藤七段の受けがしぶとく、反撃に移ってからは素早く寄せきった。

 ここで改めてリーグ表をご覧いただこう。

4勝2敗の3名が来期の椅子を確保した
4勝2敗の3名が来期の椅子を確保した

 結果的に、残留した3名と藤井竜王との星の差は一つ。羽生九段と近藤七段は藤井竜王との直接対決に勝っていれば、という結果だった。

 最終戦をいい内容で勝った羽生九段はその健在ぶりを改めて見せつけた。

 また、近藤七段は藤井竜王を追う若手実力者であることをアピールした。

藤井竜王の戦いぶり

 その藤井竜王は、第34期竜王戦七番勝負と並行してリーグを進める厳しい日程だったが、その中でも星を伸ばしたのは今の実力と勢いを物語っている。

 リーグのポイントになったのは、羽生善治九段との直接対決だった。

藤井聡太三冠、羽生善治九段に勝って挑戦に前進!行く手を阻むのは誰か?〜第71期王将リーグ最終展望〜

 矢倉から一手一手が濃密な戦いとなり、互いに妙技を繰り出して力と力がぶつかり合った一戦だった。

 詳しくは上記リンクをご参照いただきたい。

 挑戦権獲得を決める一戦となった近藤七段との直接対決では、中盤にリードを奪ってから危なげのない指しまわしで相手に力を出させず、強い内容だった。

 結果的に唯一の敗戦となった最終戦は、永瀬王座の指しまわしが素晴らしかった。藤井竜王といえども、こうした負けを喫することもある。挑戦権が決まった後で痛くない負けだったことが幸いだ。

 夏のタイトル戦から過密日程できていた藤井竜王もこれで一息つける。

 七番勝負の開幕は来年1月。対局が減っても公務等で忙しいものの、体調面や精神面での負担が減ることは間違いなく、研究時間も確保して臨めるだろう。

七番勝負の展望

 ここで七番勝負の表をご覧いただこう。

王将戦七番勝負は2日制
王将戦七番勝負は2日制

 四冠(藤井聡太竜王・王位・叡王・棋聖)vs三冠(渡辺明名人・棋王・王将)のタイトル戦は文字通りの頂上決戦だ。

 この二人のタイトル戦は夏の第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負以来となる。

 その時は藤井竜王が3連勝で棋聖を防衛した。

 昨年の第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負は藤井竜王が3勝1敗で奪取しており、ここまでタイトル戦では藤井竜王が渡辺王将を圧倒している。

 今回も出だしから藤井竜王が勝ち星を重ねていくと、一方的なスコアになる可能性もある。

 渡辺王将は2月から棋王戦五番勝負も始まる。つまり第4局以降はダブルタイトル戦となるのだ。日程的にもかなり厳しいものになる。

 それもあって、渡辺王将としてはスタートから全力で飛ばしていき、第3局までを2勝1敗で終えたい。

 まずは第1局or第2局の先手番に勝つことが最低条件となる。

 これまでのタイトル戦における両者の成績。そして今の勢いでいけば、藤井竜王に分があるとみるのが普通だろう。

 しかしこれまでタイトル獲得通算29期。しかも2日制で鬼のような強さを見せてきた渡辺王将だ。藤井竜王をもってしても今回は今までのようにはいかないと筆者はみている。

 作戦面では、藤井竜王が先手番で相掛かりと角換わりを併用し、渡辺王将は先手番で矢倉を中心に据えるとみる。

 この辺りは戦略家の渡辺王将の出方によって変わってきそうだ。

 また開幕まで日があるため、将棋界全体の流行や両者の見解が変わることもあるだろう。

 一体どんな戦いになるのか。今からその戦いが待ちきれない。

 四冠と三冠の頂上決戦は1月9日に開幕する。