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藤井聡太七段、勝負の3連戦!

遠山雄亮将棋プロ棋士 六段
2019ニコニコ超会議での藤井聡太七段(写真:森田直樹/アフロ)

 本日(5月28日)、藤井聡太七段(16)の対局が行われている。相手はNHK将棋フォーカスの棋士MCも務める都成竜馬五段(29)。

 本日から来週にかけて、藤井七段は3連戦が予定されている。

勝負の3連戦、とは?

 その3連戦の対戦相手と棋戦を紹介する。

5月28日:都成竜馬五段(第45期棋王戦予選決勝)

5月31日:菅井竜也七段(第32期竜王戦4組決勝)

6月3日:佐々木大地五段(第67期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦)

 各棋戦で上位進出をかけた対局が続く。

 棋王戦と竜王戦は予選の決勝で、勝つとタイトル挑戦につながるトーナメントへの出場が決まる。

 王座戦は挑戦者を決めるトーナメントの1回戦で、4連勝するとタイトル挑戦となる。

予選決勝

 都成五段とは6度目の対戦で、藤井七段が最も多く対戦している相手である。

 過去は藤井七段の5戦5勝だが、都成五段も近年活躍の目立つ若手棋士だ。決して侮れない相手と言えよう。

 対局は都成五段の先手で相掛かりに進んでいる。

 決着は本日19時頃の予定だ。

 勝つと棋王戦の挑戦者決定トーナメントに進出する。

 31日に対戦する菅井七段(27)は、タイトル獲得経験もある実力者だ。

 過去は菅井七段の2戦2勝。3連戦で最も厳しい相手と言えよう。

 2度の対戦はいずれも菅井七段の中飛車に藤井七段が急戦を仕掛ける展開だった。

 2度目の対戦を振り返ろう。

2018年9月3日第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント ▲菅井王位(当時)ー△藤井七段 77手目▲8一角成まで
2018年9月3日第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント ▲菅井王位(当時)ー△藤井七段 77手目▲8一角成まで

 藤井七段が主導権を握って攻め、菅井七段は反撃を狙って受ける展開が続いていた。

 ここで藤井七段は△6九飛成と指したが、▲5八銀と守りを固められてしまい、以下は菅井七段の強烈な反撃の前に屈した。

 菅井七段の持ち味である振り飛車らしい粘り強さを突破できなければ、藤井七段に勝機は訪れないだろう。

 勝つと決勝トーナメント進出となる。藤井七段が勝つと、竜王戦ランキング戦で3期連続優勝の快挙を達成する。

 決勝トーナメントでは近藤誠也六段ー梶浦宏孝四段の勝者との対戦が決まっている。

羽生九段の待つ王座戦

 6月3日に対戦する佐々木五段(23)は、いま一番勝っている若手棋士だ。

 2018年度には星一つの差で藤井七段をおさえて最多勝利賞を獲得。

 2019年というくくりでは24勝6敗とちょうど8割の勝率だ。

 過去は2戦して1勝1敗。前回の対戦は2年ほど前のことで、その頃より佐々木五段は確実にパワーアップしている。難敵だ。

 佐々木五段は居飛車党で、相掛かりを得意とする。藤井七段は同じ居飛車党でも角換わりを得意としている。

 どちらが得意の作戦に持ち込めるか、主導権争いも勝敗に影響しそうだ。

 王座戦は佐々木五段に勝つと準々決勝で羽生九段との対戦となる。実現すれば注目される一戦になるであろう。

 もし羽生九段に勝つと、準決勝では豊島将之名人や渡辺明二冠と対戦の可能性がある。

 さらに挑戦者決定戦に進んだとすると、永瀬拓矢叡王や菅井七段ら強豪との対戦が控える。

熱い夏を迎えられるか

 3局とも、AbemaTV将棋チャンネルで生中継される。

 31日の菅井七段戦では、解説者として筆者も出演するのでご視聴願いたい。

 この3連戦で好成績を残すと、夏にかけてタイトル初挑戦も視野に入る藤井七段の大勝負が続きそうだ。

 藤井七段は熱い夏を迎えられるか?!まずは本日の都成五段戦にご注目いただきたい。

将棋プロ棋士 六段

1979年東京都生まれ。将棋のプロ棋士。棋士会副会長。2005年、四段(プロ入り)。2018年、六段。2021年竜王戦で2組に昇級するなど、現役のプロ棋士として活躍。普及にも熱心で、ABEMAでのわかりやすい解説も好評だ。2022年9月に初段を目指す級位者向けの上達書「イチから学ぶ将棋のロジック」を上梓。他にも「ゼロからはじめる 大人のための将棋入門」「将棋・ひと目の歩の手筋」「将棋・ひと目の詰み」など著書多数。文春オンラインでも「将棋棋士・遠山雄亮の眼」連載中。2019年3月まで『モバイル編集長』として、将棋連盟のアプリ・AI・Web・ITの運営にも携わっていた。

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