順位戦C級1組最終決戦を徹底分析!藤井聡太七段の昇級は?!

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 本日(3月5日)は第77期順位戦C級1組最終戦が行われている。杉本昌隆八段(50)と藤井聡太七段(16)の師弟昇級なるか、という点でも注目が集まっている。

最終戦を迎えた状況の整理

 全体で2位までがB級2組へ昇級する。その可能性があるのは、8勝1敗の4名と7勝2敗で順位上位の1名([4]高崎一生六段(32))。同星の場合は前期成績による順位によって決まる。

8勝1敗の4名とその対戦相手([]内は順位、()内は今期順位戦の成績)

[6]近藤誠也五段(8勝1敗)ー[33]増田康宏六段(5勝4敗)

[7]杉本昌隆八段(8勝1敗)ー[9]千葉幸生七段(5勝4敗)

[14]船江恒平六段(8勝1敗)ー[13]金井恒太六段(5勝4敗)

[31]藤井聡太七段(8勝1敗)ー[32]都成竜馬五段(5勝4敗)

 順位が上の杉本八段と近藤誠也五段(22)は、勝つと2位以内が確定して昇級が決まる。

 藤井(聡)七段と船江恒平六段(31)は、自身が勝っても順位が上の棋士が負けないと2位までに入れない。藤井(聡)七段は前局まで順位戦で18連勝していたのだが、たった一つの黒星で昇級が厳しい状況に追い込まれている。

最終戦を徹底分析!

 ここから、8勝1敗の4名の対戦相手を順位上位の棋士から分析していく。

 先に述べると、全員難敵を迎えており、波乱の余地は十分にありそうだ。

 近藤(誠)五段の対戦相手は増田康宏六段(21)。増田(康)六段は昨年の第31期竜王戦決勝トーナメントでは藤井(聡)七段に勝つなど実力はよく知られている。今期はやや目立たないが、それでも勝率は6割を超えている。この二人は同世代でライバル的存在なだけに、増田(康)六段は目の前で近藤(誠)五段に昇級を決められるのは嫌だろう。全力で負かしにくることは間違いない。近藤(誠)五段は前局で藤井(聡)七段に勝ったのだが、一難去ってまた一難だ。

 杉本八段の対戦相手は千葉幸生七段(40)。毎年6割前後の高勝率をあげており、長考派で順位戦のような持ち時間が長い将棋に力を発揮する。千葉七段の今期順位戦は5勝4敗と昇級にも降級点にも絡まない成績だが、同世代の筆者が知る中学生の頃から全力投球が流儀なので、この一番も全力で臨むことは間違いない。杉本八段としては非常に嫌な相手だ。長考派同士の対局で、4局中もっとも遅い終局が予想される。

 船江六段の対戦相手は金井恒太六段(32)。前期叡王戦ではタイトルを決める七番勝負に進出した実力者だ。同世代の二人だが、実績ではその点で金井六段が一歩リードしている。また金井六段も千葉七段同様、全力投球が持ち味で順位戦はいつも最後まで激戦を繰り広げている。最後の最後まで気の抜けない相手といえよう。

 藤井(聡)七段の対戦相手は都成竜馬五段(29)。前年度に続いて今年度も7割近い高勝率をあげている強敵だ。都成五段は藤井(聡)七段に一度も勝っていない(0勝4敗)が、非公式戦では都成五段が勝利したこともある。誰よりも藤井(聡)七段と公式戦で対戦を重ねて手の内をよく知っており、ここ一番に秘策を持って来る可能性もある。藤井(聡)七段としては相手にペースを掴ませずに戦いを進めたい。

藤井(聡)七段の昇級は?

 藤井(聡)七段は自身が勝って8勝1敗の3名中2名が負けないと昇級できない。しかし上記のとおり競争相手が全員難敵を迎えているだけに逆転昇級の可能性は十分にある。とはいえ杉本八段と藤井(聡)七段の師弟昇級は、この2名が勝ったうえで競争相手の2名がともに負けるというケースのみなので、可能性はかなり低い。

 仮に杉本八段のみの昇級となっても、平成以降Cクラスに陥落してからBクラスに復帰した前例は無いようで快挙と言えよう。

 藤井(聡)七段が三段リーグを勝ち抜いたときの成績(13勝5敗、順位27位)は、通常であればプロ入りは難しい成績だったが、競争相手が負けたことで幸運が転がり込んだ。その時筆者は藤井(聡)七段の持って生まれた強運を感じたものだ。

 明るいデータもある。52年前、順位戦デビュー18連勝を達成した中原誠十五世名人は、連勝が止まった後に勝ち星を重ねて昇級を果たしている。

 上位陣が勝って昇級を決めるのか、それとも波乱が起きて藤井(聡)七段の逆転昇級なるのか。ドラマが起きるムードも漂っている。

 全てが決着するのは23時頃の予定だ。最後まで見逃せない戦いが続くだろう。ぜひ下記メディアでご観戦いただきたい。