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トラベルジャーナリスト目線で決定!自分史上2018年ナンバーワン旅先はコロンビアだった!

寺田直子トラベルジャーナリスト 寺田直子
絶景スポット人気が高まる「ピエドラ・デル・ペニョール(靴ひも岩)」/筆者撮影

「コロンビアがおもしろいらしい」

そう意識し始めたのは2年ほど前だった。旅行雑誌「ロンリープラネット」発行「Best in Travel 2017」というガイド本の「行くべき国トップ10」でナンバー2に選ばれたのがコロンビアだった。そこでは「かつては麻薬戦争、犯罪の温床で一部のつわものな旅人向けの国だったがそれはもう過去の話。世界七不思議のような驚愕すべきものはないかもしれない、だが活気に満ちた文化、豊かな自然、そして温かなホスピタリティがみごとにとけあっている」と書かれていた。

その後、コロンビア出身の人や旅行をしてきた人たちから話を聞く機会があり、興味はさらにつのった。そこで2018年11月上旬、メキシコ旅の後にコロンビアを加えてみることにした。目的地は首都ボゴタと第二の都市メデジン郊外にある絶景スポット「ピエドラ・デル・ペニョール」。完全な個人旅行で同行は友人の女性ひとり。安全になったとはいえ南米であり、初めての訪問なので現地の日本人常駐の旅行会社アンデスツアーズに送迎、観光ガイドなどの手配を依頼した。

首都ボゴタの「エルドラド国際空港」。黄金郷の名前にふさわしくゴールド色のロゴが印象的。メキシコシティから直行便で約5時間で到着/筆者撮影
首都ボゴタの「エルドラド国際空港」。黄金郷の名前にふさわしくゴールド色のロゴが印象的。メキシコシティから直行便で約5時間で到着/筆者撮影

コロンビアの首都ボゴタは大都市だ。人口はおよそ800万人。観光スポットであるモンセラーテの丘からは眼下にコロンビア市街を一望にし息をのむ。ちなみにボゴタは標高約2600mにありエクアドルのキト、ボリビアのラパスに次いで南米第三位の高度に位置する。モンセラーテの丘は3000m超えで歩いていると息が切れてくる。

標高約3100mのモンセラーテの丘からの感動的な眺望。しかし空気が薄い。高山病に留意し、ゆっくり歩きこまめに水分補給を/筆者撮影
標高約3100mのモンセラーテの丘からの感動的な眺望。しかし空気が薄い。高山病に留意し、ゆっくり歩きこまめに水分補給を/筆者撮影
モンセラーテの丘へはケーブルカーかロープウェイで/筆者撮影
モンセラーテの丘へはケーブルカーかロープウェイで/筆者撮影

多少駆け足になるがラ・カンデラリア地区と呼ばれる旧市街にちらばる主要観光ポイントのみをまわるなら1日でいい。筆者たちは今回、日本人ガイド、専用車+ドライバーをチャーターして代表的な場所へ連れていってもらった。

ラ・カンデラリアにあるボテロ美術館。初期の作品も含め見ごたえのあるコレクションがそろう/筆者撮影
ラ・カンデラリアにあるボテロ美術館。初期の作品も含め見ごたえのあるコレクションがそろう/筆者撮影
絵画以外の作品も多数。入場無料がうれしい/筆者撮影
絵画以外の作品も多数。入場無料がうれしい/筆者撮影
1611年にできたボゴタ市内最古の修道院。黄金に輝く祭壇が迫力がある。日本でおなじみフランシスコ・ザビエルの肖像画も聖人として飾られている/筆者撮影
1611年にできたボゴタ市内最古の修道院。黄金に輝く祭壇が迫力がある。日本でおなじみフランシスコ・ザビエルの肖像画も聖人として飾られている/筆者撮影
スペインからの独立運動を指揮したシモン・ボリバルを記念するボリバル広場は記念撮影スポット/筆者撮影
スペインからの独立運動を指揮したシモン・ボリバルを記念するボリバル広場は記念撮影スポット/筆者撮影

コロンビアを代表するアーティストといえばボテロ。ぽってりした人物像が印象的な作風で知られる。ボテロ美術館には彼が寄贈した自身の作品に加えてピカソ、ダリ、モネなど巨匠のコレクションも多数展示される。黄金博物館やエメラルド博物館といった産出国ならではのトレジャーアイテムの見学も人気が高い。このほか、大統領官邸、サン・フランシスコ修道院、国会議事堂などが観光スポットになっている。

コロンビアはカーネーションやバラの世界最大生産地。観光客も見学できる花市場では1本20円程度で売られていた/筆者撮影
コロンビアはカーネーションやバラの世界最大生産地。観光客も見学できる花市場では1本20円程度で売られていた/筆者撮影
質のいいフルーツが豊富に並ぶパロケマオ市場。用心のためデイパックは前にかけて見学/筆者撮影
質のいいフルーツが豊富に並ぶパロケマオ市場。用心のためデイパックは前にかけて見学/筆者撮影
日本人ガイドA氏いち推しのドラゴンフルーツ。その場で買って味見。驚くほど甘い!/筆者撮影
日本人ガイドA氏いち推しのドラゴンフルーツ。その場で買って味見。驚くほど甘い!/筆者撮影

宿泊はオンラインであれこれ検索した結果、エクスペディアで選んだデザイン系ホテルクリック・クラック・ホテルにした。ボゴタは大都市のわりにホテルや食事代など観光にかかる費用が全体的に安いと実感した。このホテルも充実した朝食を含めてひとり一部屋利用で約1万1000円。もう一カ所はザ・アルティサンDCホテル、オートグラフ コレクション。マリオットのデザイン系ホテルで歩いて5分程度のエリアがおしゃれなダイニングストリートなので食べ歩き派には最高の立地。サービスもハートフルで頼りになった。ここはやや高めで2万5000円ほど。今回はマリオットのホテルポイントで相殺した。いずれも客室料金なので二人で一部屋利用ならば半額の料金となる。クオリティを考えれば良心的な料金だと感じている。

ボゴタからメデジンまでは国内線で約1時間。ピエドラ・デル・ペニョールへの日帰り観光も可能だ/筆者撮影
ボゴタからメデジンまでは国内線で約1時間。ピエドラ・デル・ペニョールへの日帰り観光も可能だ/筆者撮影

今回コロンビア旅の目的のひとつが、絶景スポットとして話題になりつつあるというピエドラ・デル・ペニョールに行くというものだった。コロンビア第二の都市メデジン郊外にある約220mの一枚岩で、頂上の展望スポットまで700段超えの階段をのぼってたどりつく。JATA(日本旅行業界)による「アメリカ大陸 記憶に刻まれる風景30選」にも選ばれている。ボゴタからはカラフルな街並みで人気のグアタぺ観光も組み込んだ日帰りツアーが可能だ。

靴ひも状の階段は手すりがあるので助かる。高所恐怖症の友人にはかなりチャレンジだったようだ。地元コロンビアのレジャー客も多い/筆者撮影
靴ひも状の階段は手すりがあるので助かる。高所恐怖症の友人にはかなりチャレンジだったようだ。地元コロンビアのレジャー客も多い/筆者撮影
山頂からのパノラマ。展望エリアにはトイレ、カフェ、土産物店がある/筆者撮影
山頂からのパノラマ。展望エリアにはトイレ、カフェ、土産物店がある/筆者撮影

ピエドラ・デル・ペニョールは通称「悪魔のタワー」または「靴ひも岩」。ゆるやかな丘陵地帯に唐突に突き出す威容な姿は確かにミステリアス。そして階段の配置がまさに靴ひものよう。目の前で見るとさらに迫力がある。意を決して一段ずつ上がっていく。徐々に息が荒くなっていくが吹き抜ける風が涼しい。子供たちや若いパッカーたちに先をこされながらもついに頂上へ。そこは360度の一大パノラマが開け、思わず声があがる。眼下にはペニョール貯水池と周辺の森が広がり見飽きることがない。超絶景スポットと言っていいだろう。

カラフルな家並みがフォトジェニックなグアタぺ。観光村として人気がある/筆者撮影
カラフルな家並みがフォトジェニックなグアタぺ。観光村として人気がある/筆者撮影
それぞれの家に色鮮やかなモチーフが描かれていて見歩くのが楽しい/筆者撮影
それぞれの家に色鮮やかなモチーフが描かれていて見歩くのが楽しい/筆者撮影

ピエドラ・デル・ペニョールから車で約20分ほどの場所にあるのがグアタぺ。土産店、レストランだけでなく民家、さらには市役所までカラフルにペイントされ、そこに動物や職業など個性的なモチーフが施されていて実にフォトジェニック。思わず写真に撮りたくなる愛らしさ。観光客に人気が高いのも納得だ。

コロンビアの庶民派料理バンデハパイサ。労働者のごはん、と地元の人の弁。ボリュームがある/筆者撮影
コロンビアの庶民派料理バンデハパイサ。労働者のごはん、と地元の人の弁。ボリュームがある/筆者撮影
家庭料理の代表メニューがアヒアコ。じゃがいものスープでアボカドを加えて食べるのが一般的。入れるとコクが出てよりおいしくなる/筆者撮影
家庭料理の代表メニューがアヒアコ。じゃがいものスープでアボカドを加えて食べるのが一般的。入れるとコクが出てよりおいしくなる/筆者撮影

コロンビア料理はあまり馴染みがないが、シンプルな家庭的なメニューに名物が多い。また、市場見学でもわかったが季節ごとのフルーツはぜひ味わいたい。最近は革新的なメニューを提供するグルメなレストランもボゴタには増え美食派たちも注目し始めている。筆頭は「ラテンベストレストラン50」で18位にランクイン、コロンビアNo.1レストランとなったレオ。また、コーヒー好きならば迷うことなくカフェで本場コロンビア産コーヒーを思う存分、味わってみたい。お土産にコーヒーを購入したい人もいるだろうが、アメリカ経由で日本に戻る際はコーヒーを含む粉状の品物の持ち込み制限があるので注意すること。また、乗り換えだけでもESTA取得が義務づけられているのでそちらも忘れずに。

コロンビアといえばコーヒー。ボゴタにあるArte Y Pasion Cafeはバリスタのいるカフェだ/筆者撮影
コロンビアといえばコーヒー。ボゴタにあるArte Y Pasion Cafeはバリスタのいるカフェだ/筆者撮影
産地ごとの味を比較するテイスティング。好きな産地を4種類選ぶ。カップにたっぷりの量で約1000円/筆者撮影
産地ごとの味を比較するテイスティング。好きな産地を4種類選ぶ。カップにたっぷりの量で約1000円/筆者撮影

外務省の海外安全ホームページでは筆者が訪問したボゴタ、メデジンはレベル1「十分注意してください」に指定されている。もちろん十分な注意は必要だが日中、ガイド同行で観光していて危険に感じることはまったくなかった。滞在経験をふまえコロンビアは南米でも比較的、安全に旅ができる国だと感じた。以前は内戦、麻薬組織の存在などで観光誘致どころではなかったが国家レベルでの犯罪一掃などが功を奏し、現在は紹介したように新しい観光国として世界中から観光客が訪れるようになっている。日本人観光客も増えている。手配をお願いしたアンデスツアーズによるとボリビア・ウユニ塩湖観光に行く人たちがボゴタ乗り継ぎの時間を利用して観光を依頼することが増えているという。

今回は未訪だがカリブ海に面したリゾート地カルタヘナや、大コーヒー地帯、アマゾンなどまだまだ見どころは多い。個人的にはメデジンの花祭りに興味がある。新鮮な出会いと歴史文化のエッセンスあふれるコロンビア。2018年、さまざまな場所を旅した中で最も印象に残り、観光の可能性を秘めた国だと思っている。ぜひ訪れてもらいたい魅力ある国だ。

<参考サイト>

・コロンビア観光局(日本語)

・アンデスツアーズ(日本語)

※在住20年の旅のプロ、新井賢一さんが常駐。ボゴタ市内半日観光でひとりU$40(2名参加の場合)~など各種現地ツアーの手配を行う。

・外務省 海外安全ホームページ

・たびレジ

※外務省による渡航先の安全情報メールサービス

トラベルジャーナリスト 寺田直子

観光は究極の六次産業であり、また災害・テロなどのリカバリーに欠かせない「平和産業」でもあります。トラベルジャーナリストとして旅歴35年。旅することの意義を柔らかく、ときにストレートに発信。アフターコロナ、インバウンド、民泊など日本を取り巻く観光産業も様変わりする中、最新のリゾート&ホテル情報から地方の観光活性化への気づき、人生を変えうる感動の旅など国内外の旅行事情を独自の視点で発信。著書に『ホテルブランド物語』(角川書店)『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)、『フランスの美しい村を歩く』(東海教育研究所)など。

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