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これからが見ごろ!台湾で「五月の雪」の花を見る

寺田直子トラベルジャーナリスト 寺田直子
愛らしい油桐花。台湾でのお花見は今からが旬/著者撮影

台湾での花見はこれからだ。その主役は純白の花が愛らしい油桐花。4月中~5月上旬にかけて見ごろとなり、山をまっしろにするほど咲き誇るところから「五月の雪」といわれている。

花見スポットはいくつもあるが、台北からは桃園県、新竹県、苗栗県あたりが人気がある。この周辺は山岳エリアが多い場所で、古くからこの地域で暮らす客家(ハッカ)の人たちが花から油を採って活用していた背景がある。

人気の「歇心亭」。花が散るときが最高にキレイだという/著者撮影
人気の「歇心亭」。花が散るときが最高にキレイだという/著者撮影
満開のときは真っ白に見えるという/著者撮影
満開のときは真っ白に見えるという/著者撮影

インスタ映えするフォトジェニックなスポットで有名なのが新竹県にある獅頭山(しとうざん)。駐車場からすぐのツーリストセンター脇にある「歇心亭(シェイシンティン)」は桐の木々に囲まれた茶楼(カフェ)。藤坪歩道、獅山古道といったハイキングコースも整備され、花見のシーズンにはレジャー客であふれる。満開の時期も美しいが散った花が絨毯のように道を真っ白にする散りぎわもみごとだ。

ノスタルジックな三坑老街/著者撮影
ノスタルジックな三坑老街/著者撮影
三坑老街から歩いて10分ほどの場所にあるお花見&散策スポット/著者撮影
三坑老街から歩いて10分ほどの場所にあるお花見&散策スポット/著者撮影
中心の通り沿いに面した阿香菜包。大きいっ!一個30台湾ドル(約100円)/著者撮影
中心の通り沿いに面した阿香菜包。大きいっ!一個30台湾ドル(約100円)/著者撮影

もうひとつのお薦めは桃園県にある三坑老街(サンカンラオチェ)。坑とは客家の言葉で「水路」という意味。老街は古くからある伝統的な村を指す。ここは名前のとおり三つの水路を持ち、かつては非常に栄えた場所だ。今はかつての面影を残すのみだがそのレトロ感がまた魅力でもある。中心から水田を通り、10分ほど歩くと遊歩道が整備された自然公園があり、桐花スポットになっている。小腹がすいたら蒸したてアツアツの野菜入りジャンボ饅頭の買い食いもぜひ。

客家料理を味わうのも楽しみのひとつ/著者撮影
客家料理を味わうのも楽しみのひとつ/著者撮影
新竹県にある客家レストラン「番婆坑(ファンポウカン)」。地鶏、豆腐、山菜などの伝統料理が人気/著者撮影
新竹県にある客家レストラン「番婆坑(ファンポウカン)」。地鶏、豆腐、山菜などの伝統料理が人気/著者撮影

客家は中国から台湾に移り住み始めた人々で独自の言語、文化、生活習慣を持っている。生活の厳しい山岳地域を開墾し、自分たちの桃源郷を作ってきた。伝統的な客家料理を提供するレストランや木工などのハンドクラフト工房、一般家屋を活かしたゲストハウスなども多く、ノスタルジックな「客家文化」は台湾でも人気が高い。山菜や豆腐、地鶏や川魚など山岳エリアならではの食材を活かした料理もぜひ味わいたい。

どこか郷愁をかきたてる客家文化と「五月の雪」の花。これからがベストタイミングなのでゴールデンウィーク、台湾に行くならぜひ花見も楽しんできてほしい。

<データ>

桐花の見ごろ:公式サイト客家桐花祭の開花状況で確認可能(日本語一部対応)。

観賞スポットへのアクセス:多くは「台三線」と呼ばれる国道沿いに点在。台北市内や桃園市内から観光客向けシャトルバスが出ている。詳細は台灣好行(日本語対応)。また、台北市内から日本語ガイド同行の花見ツアーもある。

下町ムードあふれる老街めぐりもお薦め/著者撮影
下町ムードあふれる老街めぐりもお薦め/著者撮影
美食の国でもある台湾で客家グルメを満喫/著者撮影
美食の国でもある台湾で客家グルメを満喫/著者撮影
トラベルジャーナリスト 寺田直子

観光は究極の六次産業であり、また災害・テロなどのリカバリーに欠かせない「平和産業」でもあります。トラベルジャーナリストとして旅歴35年。旅することの意義を柔らかく、ときにストレートに発信。アフターコロナ、インバウンド、民泊など日本を取り巻く観光産業も様変わりする中、最新のリゾート&ホテル情報から地方の観光活性化への気づき、人生を変えうる感動の旅など国内外の旅行事情を独自の視点で発信。著書に『ホテルブランド物語』(角川書店)『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)、『フランスの美しい村を歩く』(東海教育研究所)など。

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