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トランプ政権のロシアゲート捜査を指揮する特別検察官が発言 「正直でなければ、信頼は得られない」

立岩陽一郎InFact編集長
高校の卒業式でスピーチするモラー特別検察官(CNNから)

トランプ大統領の陣営とロシアとの不透明な関係を捜査するロバート・モラー特別検察官が高校の卒業式でスピーチし、「正直でなければ人々の信頼を得ることはできない」と説き、トランプ大統領を指したものじゃないかと話題になっている。

(参考記事:トランプ米大統領弾劾求める声強まる ロシアに最高機密提供の疑いが浮上)

司法省によって特別検察官に任命されたロバート・モラー氏は、28日、マサチューセッツ州の高校の卒業式で来賓として挨拶。

この中で、「正直でなければ、他の何で秀でていても意味はない」と語った。そして次の様に話した。

君たちは賢いかもしれないし、積極的にいろいろなことに取り組むかもしれないし、物事を理路整然と語れるかもしれないし、説得力も有るかもしれない。しかし、君たちが正直でなければ、人々の信頼を得ることはできないだろう。そして、一度でも信頼を失えば、それを取り戻すのは難しい

更にモラー氏は次の様に語った。

昔から言われるように、誠実であることは何にも勝るし、逆に何事も誠実さ無しには達せられない

モラー氏は、ロシア政府が2016年の大統領選挙に関与した問題を捜査するために司法省によって特別に任命された。FBIの長官が解任されるなどし、トランプ政権下で捜査の独立性が問われる時期だけに、その活動が注目されている。

(参考記事:FBI長官の解任はトランプ大統領本人の意向だった)

モラー特別検察官は72歳。解任されたコミー氏の前のFBI長官で、911をはさんで12年間にわたってFBI長官を務めた。

この問題をワシントンで取材しているジャーナリストは次の様に話す。

「モラー特別検察官は、自らのチームを率いて捜査を行う他、(司法省傘下の)FBIとも連携して捜査を行うものと見られている。既に、FBIの幹部からこれまでの捜査の経緯について説明を受けたとの情報も有る。高校でのスピーチは、全ての関係者が自分に向けられていると思っただろう。トランプ大統領はどうかって?それを最も自覚していないかもしれないところが、あの大統領の残念なところだとは思う」

(参考記事:FBI長官解任でトランプ米大統領の姿が辞任した大統領とダブリ始めた)

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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