トランプ大統領支持の米FOXニュースで看板キャスター降板か
米トランプ大統領を支持する姿勢を鮮明にしている米主要テレビの1つFOXニュースの看板キャスターが休暇の取得を公表。セクハラで訴えられ少なくとも総額1300万ドル、日本円で約14億円を支払ったことが報じられていることから、その去就に注目が集まっている。
米メディアのトランプ大統領への取材姿勢にはジャーナリズムの気概を感じることも多々あるが、勿論、全てがそうではない。メディアによる選別は困難だが、FOXニュースは総じてトランプ大統領を肯定的に扱っており、「メディアは米国民の敵だ」と言ってはばからないトランプ大統領も、FOXニュースを敵対視した発言をしたことはない。
（参考記事：トランプの米国とどう向き合うか? (16)~トランプ大統領に毅然と対した米TVキャスターの気骨)
そのFOXニュースの看板報道番組が4月に入ってから火だるまになっている。平日夜8時から放送の「オーライリー・ファクター」でキャスターを務めるビル・オーライリー氏が、セクシャル・ハラスメントで訴えられていたことが明らかになったからだ。
最初に報じたのはニューヨーク・タイムズ紙で、それによると5人の女性から訴えられ、和解のために少なくとも1300万ドル、日本円にして約14億円を原告らに支払っていたとされる。
オーライリー氏は、「この種の訴えに対して私は弱い立場にある」とのコメントを出して支払いの事実は認めたものの、セクシャル・ハラスメントについては事実上否定し、そのまま番組にも出続けていた。
しかし、原告の1人がメディアの取材に応じて、自分の番組のレギュラーコメンテーターにすることを検討したいと言ってホテルの部屋に連れていかれそうになったという体験談を語るなどしたため、大手自動車メーカーなどのスポンサー企業が次々と広告を引きあげる事態に。
67歳のオーライリー氏は1996年からこの番組のキャスターを務め、歯に衣着せぬ物言いが人気を呼びFOXニュース最大の稼ぎ頭と言われてきた。
各メディアがスキャンダルを取り上げる中でも、オーライリー氏は全くこの件については語らず、4月11日の番組では、「前から予定をしていた休暇を取得します。みなさんも是非、休暇を取得してください」と結んだ。
オーライリー氏は番組で4月中の復帰を口にし、FOXニュースも今のところ、オーライリー氏の去就については語っていない。しかしメディア関係者の多くは、スポンサー企業の対応から、オーライリー氏の復帰は困難ではないかと語っている。
人気キャスターの去就とともに、仮に降板となった場合にセクシャル・ハラスメントが原因となる今回の事案についてトランプ大統領がコメントを出すかについても関心がもたれている。
