トランプ政権元側近がロシア・スキャンダルで議会証言か 内容によっては政権に痛手
ロシアとの不適切な接触が明らかになって辞任した米トランプ大統領の元側近、マイケル・フリン前国家安全保障担当補佐官が議会で証言する意向を示した。訴追の対象としない免責が条件となるが、証言の内容によってはトランプ大統領に大きな痛手となる。
トランプ政権発足時に国家安全保障担当補佐官だったマイケル・フリン氏は、ロシア政府に科せられる制裁についてロシア側と事前に話し合いをしていたことが明らかになり辞任した。話し合いはトランプ政権発足前のことで、当時、フリン氏は民間人であり、民間人が政府の許可なく外交に関与することを禁じたローガン法に違反した疑いがもたれている。
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これについてフリン氏の弁護士が30日に声明を出し、フリン氏は議会での証言に応じる用意があることを明らかにした。
声明は、「フリン将軍は確かに語りたい内容を抱えており、条件が認められれば語りたい」としており、訴追の対象としない免責を与えることを証言の条件としている。
一連のロシア政府との問題について、議会は上下両院の情報機関に関する委員会で調査を行うことにしているが、NBCテレビはこのうち上院はフリン氏の免責条件を受けない方針で既に弁護士に伝えていると報じた。下院は現在、検討中だという。
ロシア政府の大統領選挙への関与については、トランプ大統領の陣営の人間が絡んでいなかったのかなどが焦点となっており、FBIも捜査に乗り出している。また、フリン氏は駐米ロシア大使とオバマ政権の科す制裁について話し合っており、そのやり取りにトランプ大統領の陣営の他の関係者が関与していなかったかも焦点となる。このため、仮にフリン氏が証言した場合、その内容によってはトランプ大統領と政権に痛手になる可能性がある。
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フリン氏の弁護士は、フリン氏は根拠無き中傷と常軌を逸した裏切り者の汚名を着せられた状態に置かれおり、免責を受けなければ不公正な訴追を受ける恐れが有るとしており、フリン氏が必ずしも違法な行為を行っていたわけではないとしている。
ローガン法は1799年に制定された法律で、民間人が政府の許可なく外交に関与することを禁じている。訴追されて有罪となれば懲役刑もあり得る。
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※米国では退役後も軍隊時代の肩書を利用することが多く、フリン氏はフリン将軍と呼ばれることが多い。