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米国で北朝鮮脅威論高まる 対策議論本格化

立岩陽一郎InFact編集長
北朝鮮の脅威について報じるワシントン・ポスト紙の12日付の記事

ワシントン・ポスト紙は12日、北朝鮮の核、弾道ミサイル実験について長文の記事を掲載。その中で、米政府の早急な対策を求める有識者らの指摘を掲載した。予測がつかない北朝鮮政府の対応に、米国でかつてないレベルで北朝鮮への脅威論が出始めた。

記事は、「北朝鮮の武器保有に広がる懸念」と題して北朝鮮の核開発、弾道ミサイル開発の現状を詳細に伝えたもの。北朝鮮が3月6日に、4発の中距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことで、米政府が北朝鮮の一連の行動について、「急激に増大する脅威」と認識せざるを得なくなったと報じている。

そして、ブッシュ政権時の北朝鮮問題のアドバイザーを務めたビクター・チョア氏は記事の中で、「既に、北朝鮮の行動は、孤立した独裁国家が交渉を求めて騒いでいるというレベルではない」と話し、米政府の早急な対策を求めている。

(参考記事:トランプ氏が「カード」にする米軍おもいやり予算)

また、記事では、トランプ政権がこれまでに3回にわたって次官級での北朝鮮対策会議を開催し、この中で、トランプ大統領が外交から軍事までのあらゆる選択肢について検討するよう指示が出ていることに言及。この中に、韓国への戦術核ミサイルの再配備も含まれると報じている。トランプ政権が韓国への戦術核配備を検討していることは既にニューヨーク・タイムズ紙が報じており、韓国で議論となっている。

公共放送NPRの記者は、「米政権内でも、かつてないレベルで北朝鮮の脅威が議論されるようになっている。大きいのは、弾道ミサイルが在日米軍を標的にしているといった北朝鮮の発表だろう。今週、日中韓を歴訪するレックス・ティラーソン国務長官の最優先課題になるのは間違いない」と話しており、今後、ワシントンで対策に向けた議論が本格化するとの見方を示した。

(参考記事:沖縄で密かに行われていた陸自-米海兵隊合同訓練 米軍映像で確認 進む日米軍事一体化、沖縄でも

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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