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米有力紙が森友学園スキャンダルは「安倍総理の危機」と報道

立岩陽一郎InFact編集長
森友学園と安倍総理について伝えるワシントン・ポスト紙

不透明な土地取引が問題になっている大阪の学校法人「森友学園」のスキャンダルについて28日、米国の有力紙が、安倍総理の危機になり得ると報じた。

28日付けのワシントン・ポスト紙が伝えた。紙面の半分を占める大きな扱いだ。

学校法人が作成したパンフレットの表紙
学校法人が作成したパンフレットの表紙

この中で、学校法人が運営する幼稚園が園児に対して韓国人や中国人に対する差別を助長する教育を行っていることを報じ、園児達が日の丸に向かって整列して君が代を歌い、更に教育勅語を唱和するよう求められていることを写真付きで紹介している。

その上で、学校法人に格安で国有地が払い下げたれていることや、国有地を管理している財務省が取引記録を破棄していたことを伝えている。

(参考記事:あのニトリが安倍首相ら閣僚6人に連続献金 11年から4年間で総額2170万円

更に、学校法人が4月に開校を予定している小学校をめぐって、安倍総理の名前が寄付集めなどに使われていたことや、安倍総理の夫人が名誉校長になる予定だったことに触れている他、学校法人の理事長が愛国主義的な団体である日本会議の幹部であり、この日本会議が安倍総理と近い関係にあることも伝えている。

学校法人が作成したパンフレット
学校法人が作成したパンフレット

記事は、高い支持率を維持し野党からもさほど厳しい追及の無い安倍総理だが、このスキャンダルの展開次第では厳しい状況になり、解散総選挙も先送りせざるを得なくなるとしている。

(参考記事:島尻沖縄担当相に文科省傘下法人から補助金受けた専門学校が寄付 理事長は夫の昇氏

ワシントン・ポスト紙はニューヨーク・タイムズ紙と並んで米政権、米議会の関係者が目を通す新聞と言われている。

小学校の教育方針(学校パンフレットより)
小学校の教育方針(学校パンフレットより)

米公共放送NPRの記者は、「安倍総理は極めて安定した政権というのが米国での受け止められ方で、こういう問題が有ることは知らなかった。ワシントン・ポスト紙が報じたことで、今後、この問題は米国でも関心をもって報じられるかもしれない」と話している。

(参考記事:米記者から「出来レース」批判された安倍首相国連会見

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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