米トランプ政権が北朝鮮と初の「協議」へ
米トランプ政権が北朝鮮との協議を始める方向で調整に入ったようだ。しかも、協議は北朝鮮の高官を米国に招いて行われる方向だ。
米ワシントン・ポスト紙によると、北朝鮮高官を米国に招く準備を進めているのは外交問題を専門に扱う非営利団体のNCAFP。このNCAFPは政府から独立した団体だが、北朝鮮問題や中台問題に積極的に関わっており、特に北朝鮮との関係で独自の人脈を持っていることで知られている。
この動きはトランプ大統領の意向を受けたものと見られており、事実上の米朝協議の始まりになるものと見られている。北朝鮮側は外務省の高官を派遣する方向で調整しているという。
米国務省はこの招聘に表向きは関与していないが、ビザの手続きが進められており、ビザが発給されれば国務省のお墨付きを得たことになる。
(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (3)~米トランプ新政権を揺るがすロシアとの関係)
早ければ来月にも米朝の非公式協議が開催される可能性が有る。
非公式とは言え、米国内で米朝の協議が行われるのは、2011年以来となる。これまではマレーシア、スイス、モンゴルなどで行われてきた。
北朝鮮に対するトランプ大統領の姿勢は明確ではない。2月16日に開かれた会見では、「我々は対応する」と述べるにとどまっている。しかし、先の弾道ミサイルの発射についても、北朝鮮非難をしておらず、北朝鮮側にも関係改善に向けた期待が有ると見られている。
国務省時代に日本での勤務経験が有り今は企業のコンサルタントをしている元外交官は次の様に話す。
(参考記事:(トランプの米国とどう向き合うか? (22)~ケネディ前駐日大使、トランプ大統領の外交政策に憂慮示す)
「民主主義を声高に叫ばない米国の大統領ということで北朝鮮側も接触しやすいのかもしれない。トランプ大統領としても、無法国家を手なずけることで実績を示せるという期待が有るのだろう。国務省としては本音を言えば、対応に苦慮しているといったところだろう。良くも悪くも、我々のような官僚制度で生きてきた人間には、トランプ大統領の動きは読めない」
(参考記事:拉致の記憶~蓮池兄がたどる拉致事件)