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悲願の初優勝へ。大阪桐蔭が流経大柏をしりぞけ決勝進出。第98回全国高校ラグビー大会準決勝

多羅正崇スポーツジャーナリスト
強力FWに加えてBK陣も躍動した大阪桐蔭。(筆者撮影)

■大阪桐蔭(大阪第1)31-17流経大柏(千葉)

■第98回全国高校ラグビー大会・準決勝・1月5日・東大阪市花園ラグビー場

悲願の初優勝をめざす大阪桐蔭(7年連続13回目)が、創部史上初のベスト4進出で勢いに乗る流経大柏(24年連続26回目)を31-17で下し、2年連続の決勝進出を決めた。

序盤はお互いにノックオンなどミスが目立つ展開。しかし流経大柏はSH諸井(3年)の効果的なキックなどで敵陣に居座る。

すると流経大柏は前半8分、自陣脱出を試みる大阪桐蔭のキックをカウンター。数的優位をCTB柳田(3年)が仕留めた。ゴールキックはポスト直撃で5-0。

しかし大阪桐蔭も高いキックスキルを持つCTB高本が、相手ゴール前にピタリと止まる絶妙なキック。

敵陣ゴール前スクラムのチャンスを得ると、前半12分、FL奥井をおとりに左サイドを攻略してWTB野村(2年)がトライ。ゴール成功で7-5と逆転した。

悲願の初優勝に懸ける大阪桐蔭はさらに2分後、SO嘉納がギャップを突いてラインブレイク。WTB三島(3年)のトライが生まれて14-5とリードを広げた。

流経大柏も前半28分、キックチャージからSO家村がトライを決めるが、前半終了間際の反則(ハンド)からPG加点を許し、大阪桐蔭が5点リード(17-12)で前半を折り返す。

花園第1グラウンドのバックスタンドは両校応援団、ラグビーファンで賑わった。(筆者撮影)
花園第1グラウンドのバックスタンドは両校応援団、ラグビーファンで賑わった。(筆者撮影)

後半は大阪桐蔭の強力FWがゴール前で存在感。

FL河村(3年)が後半4分、11分とラックサイド勝負のフィニッシャーとなり、31-12と一気にリードを広げた。

流経大柏は残り約15分で19点差を追いかけることに。

同時間帯から14点差をひっくり返した準々決勝の再現を目指し、ボール保持率を高めたが、自陣でノックオン、スローフォワードなどが重なりスコアできず。

しかし後半終了間際。

大阪桐蔭のミス、反則から敵陣に入った流経大柏は、ラインアウトから途中出場の篠澤(2年)がビックゲイン。最後はショートサイドを攻め切り、FL木村(3年)が右中間に押さえた。

しかしFW勝負で上手く時間をマネジメントした大阪桐蔭が逃げ切った。

指揮官の綾部正史監督は「選手がタフな試合を制してくれた。ゲームの内容には満足」と合格点。

初のベスト4進出を遂げた流経大柏の相亮太監督は、試合後に選手へかけた言葉について尋ねられ、「今回届かなかった2つ(準決勝、決勝)を、次のステージでしっかり達成して、そこで見てきた日本一の感想を教えてほしいと言いました」と穏やかに答えた。

部史上初のベスト4を達成した2018年度の流経大柏メンバー。

最後は廊下に整列し、第2試合に登場する同じ関東勢の桐蔭学園(神奈川)を応援コールで送り出した。

ロッカールームへ戻ってきた桐蔭学園の選手を拍手で迎える流経大柏メンバー。そのままジャージ姿で待機し、出発時は応援コールで送り出した。送り出しについて「聞いていなかった。気合いが入りました」と感謝した桐蔭学園の藤原秀之。チームは東福岡を破り決勝へ進出した(筆者撮影)
ロッカールームへ戻ってきた桐蔭学園の選手を拍手で迎える流経大柏メンバー。そのままジャージ姿で待機し、出発時は応援コールで送り出した。送り出しについて「聞いていなかった。気合いが入りました」と感謝した桐蔭学園の藤原秀之。チームは東福岡を破り決勝へ進出した(筆者撮影)
スポーツジャーナリスト

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める

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