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一人で36得点!パーカーが高精度の左足でサンウルブズ今季初勝利に貢献

多羅正崇スポーツジャーナリスト
7本のペナルティーゴール、5本のコンバージョンキック、1トライを決めたパーカー(写真:アフロ)

まさに百発百中。プレースキック成功率100%(12/12)は本人も納得の出来だった。

「すべて決まるのは気持ちが良いですし、いつも上手くいくわけではないので、こういう日をしっかり喜ぼうと思います」(サンウルブズ・SOヘイデン・パーカー)

今季国内最終戦となった「三菱地所スーパーラグビー2018」の第13節(5月12日、秩父宮ラグビー場)で、日本チームのサンウルブズはオーストラリアのレッズと対戦し、63-28で今季初勝利を挙げた。

63得点はリーグ参入3年目でチーム史上最多。そのうち36得点(1T、5G、7PG)を挙げたのが今季新加入のSOパーカーで、指揮官のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も「パーカーが見せたスキルはワールドクラス」と賞賛した。

左足の存在感は抜群だった。

レッズは前半30分までにサンウルブズから2トライを奪っていたが、リードはわずかに2点(14-12)。

サンウルブズのSOパーカーが4本のPG(ペナルティーゴール)をすべて成功させ、スコアでピタリ追走していたためだった。

「優秀なキッカー、ヘイデン・パーカーがいたので、狙えるところは狙って3点を積み重ねました。それによってレッズにはプレッシャーが掛かったと思います」(SH流大キャプテン)

サンウルブズは前半30分のトライで逆転。「キックが決まり続けると他のプレーも良くなる」と言うSOパーカーは、同33分にサポートランから自身でトライも決めた。

ゲームも華麗に締めた。

サンウルブズのフィニッシャー、WTBホセア・サウマキのハットトリックが決まった後半ロスタイム、エリア左隅からのコンバージョンキックを見事成功。直後にフルタイムとなり、活躍を支えた選手たちからねぎらいを受けた。

身長175センチとサイズはないが、高精度のキックなどを武器にU20ニュージーランド代表、スーパーラグビーのハイランダーズなどで活躍。

2015年度にはトップリーグのパナソニックに加入し、在籍1季ながら順位決定トーナメント(LIXIL CUP 2016)でキックをすべて成功させ、同トーナメントのMVPに選出。今季は神戸製鋼でプレーする27歳だ。

パーカーのサンウルブズ加入が公表されたのは、2017年12月4日のスコッド発表会見でのことだった。

そのときパナソニック時代のゴールデンブーツぶりを知るファンは、今日のような日の到来を願っていたかもしれない。いつかパーカーの左足が、サンウルブズの勝利に貢献する日が来る――。

2018年5月12日、その願いはサンウルブズの今季初勝利という最高の形で実現した。

スポーツジャーナリスト

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める

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