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PS5 Pro(仮)、レンダリング性能は45%アップ?価格はドライブ付き通常モデルと同程度かも

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

PlayStation 5の強化型モデル、通称「PS5 Pro」が開発中である可能性は、数ヶ月前にお伝えしました。もっとも、ソニーが公式に認めたこともコメントしたこともなく、あくまで「噂話」の域を出ないことは最初にお断りしておきます。

すでに2024年内に発売に向けて準備中との声もあるなか、これまで届いた予想などをざっとまとめておきましょう。

PS5 Proのレンダリング性能は基本モデルの約45%増し?

まずPS5 Proが「CPU(中央演算処理装置)よりもGPU(画像処理装置)、ほかグラフィック関連の機能を強化」することは、ほぼ確実視されています。ざっくり言えば根本的な性能アップはほどほどに抑えて、出力された演算結果に後処理を施して豪華に見せる」というアプローチです。

それを象徴するように、PS5 Proの開発コード名は「Trinity」。すなわちレイトレーシングの強化、高速ストレージ、そしてアップスケーリング(超解像技術/見かけの解像度やフレームレートを向上する)の“三位一体”を意味すると言われています

そんななか、主にAMD関連のリーク情報(PS5のプロセッサーもAMD製)を扱うYouTubeチャンネルMoore’s Law is Deadは内部文書と称するものを公開。ドキュメントや画像にぼかしを掛けて「情報源を守るため」とすることで、本物であると強調しています。

この文書に記載されていることは、ざっと次の通り。

  • より高速なシステムメモリを搭載した大型GPUが搭載され、通常モデルよりもレンダリング(描画性能)が45%高速化
  • レイトレーシング性能は最大3倍、場合によっては4倍にアップ
  • 33.5TFLOPS(FLOPSはコンピュータの処理速度を評価する目安)
  • カスタム機械学習アーキテクチャを搭載、16ビット浮動小数点演算性能は67TFLOPS
  • 超解像技術「PlayStation Spectral Super Resolution」(PSSR)を実現

このレンダリング性能が45%アップという数値は、PS5内蔵GPUの演算コアであるCUが36個に対して、PS5 Proは56~60個とのリーク情報ともほぼ符合しています。ゲームCGの解析で知られるDigital Foundry社の面々も、単純にフレームレートが倍になるわけではないと試算していました

そうした素の性能が限られているため、ソニー独自の超解像技術PSSRがグラフィック表示を底上げするという流れです。現行PS5の性能はソニー公称で10.28TFLOPS。それが33.5TFLOPSになれば3倍以上となりますが、PSSRのブーストも合わせてということでしょう。

これは機械学習を用いており、今のところ最大4K解像度までサポート。また今後のアップデートで、8K解像度まで対応する予定とのことです。

ソニー独自技術「PSSR」により安定した4K/8K解像度を実現?

ソニーが独自の超解像技術が開発中であることは、ゲーム関連の著名リーカーJeff Grub氏も主張。PS5やXbox Series X|Sにチップを供給しているAMDには超解像技術FSR 3があるものの、それとは別ものを準備していると述べていました。

さて今回のリーク情報に戻ると、PSSRは予め学習されたパラメータを使うため、ゲームごとの訓練は必要なく、解像度1080p(HD)を2160p(4K)にアップスケールするのに約2msかかるとのこと。つまり、どんなゲームであれHD解像度から4K解像度に底上げしやすく、また人間が気づけない程度のタイムラグしかないようです。

ちょうどAMDのマーク・ペーパーマスターCTO(最高技術責任者)も2024年には大きな展開があるとした上で「ゲーム専用機においてAIを使ったアップスケールが可能になった」と語ったばかり。それはXboxでFSR 3対応ゲームが今後次々と出てくることを指している一方で、ソニーとPSSRを共同開発していると示唆しているのかもしれません。

PS5 Proの価格は「ドライブあり通常PS5」とほ同じ?

こちらもMoore’s Law is Deadが、2月半ばに発信した情報です。

それによれば、ディスクドライブなしのモデルでは、500ドル程度になる可能性もあり。米国でのドライブ付きPS5も約500ドルであり、ほぼ「ドライブ分だけ値上げ」といったところ。

製造コストも、初代PS5と比べてもそう高くはないとのこと。最も高い部類に属するパーツであるRAMも「おそらくPS5を発売した時よりも低いだろう」として、「2020年当時、PS5の製造にかかったコストより高くなるようなものは見当たりません。少し高いかもしれないが、劇的に高いわけではない」と述べていました。

気になるPS5 Proの発売時期は、光学ディスクドライブ着脱式PS5の仕様や発売時期をほぼ的中させたTom Henderson氏をはじめ、複数の識者らが2024年末(おそらく年末年始の商戦期)と予想。もしも発売されたなら、通常モデルの値下げも期待したいところです。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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