親が突然死亡!どうする「遺言書」を残していたのかわからない!?~「公正証書遺言」の探し方
新興宗教団体「幸福の科学」の創始者で総裁の大川隆法氏が3月2日に亡くなったと報道されました。それを受けて長男・宏洋氏が自身のYouTubeチャンネルで次のコメントを発表しました。
このように、宏洋氏の「(大川隆法氏は)遺書は書いてない気がするんですよね」という発言から推測すると、YouTubeを更新した時点では遺言書の有無はハッキリしていないようです。
昨日、親が死亡した場合、遺言を残していたかどうかの調べ方について、自分で書いて残す「自筆証書遺言の探し方」にについてご説明したところ、多数の方に関心を持っていただきました。そこで、今回は、公証役場で作成する「公正証書遺言」の探し方についてお話したいと思います。
公正証書遺言とは
遺言者が公証役場に行くか、公証人(実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員)に自宅・入院先等に出張を求めて、証人2人以上の立会いの下で公証人に作成してもらう遺言書を公正証書遺言といいます。公正証書遺言の原本(遺言者・公証人・証人が署名・押印したもの)は、作成した公証役場で厳重に保管されます。
「遺言検索システム」を活用する
公正証書遺言を作成すると、その情報は、全国の公証役場の本部である日本公証人連合会が管理する「遺言検索システム」に入力されます。
遺言検索システムでは次のことが分かります。
・公正証書遺言の有無
・公正証書遺言が有った場合は、遺言書の原本を保管している公証役場・作成した公証人・作成年月日が判明します。
遺言検索システムで確認できる期間
遺言検索システムで確認でき期間は、1989(昭和64)年1月1日以降に作成された遺言書に限られます(ただし、東京都内の公証役場で作成された遺言書に限り、1981(昭和56)年1月1日以降に作成された遺言書も検索・照会が可能)。
そのため、1989(昭和64)年1月1日以前に作成された遺言書の有無は、遺言書を作成したと思われる公証役場に個別に問い合わせするしかありません。
遺言検索システムの利用方法
遺言検索システムの利用方法をご紹介します。
利用できる者:相続人等の利害関係人
窓口:全国どの公証役場でも受け付けします
※事前に電話で予約を入れておくと待ち時間もなくスムーズに行えます。
必要書類
・亡親の死亡が記載された戸籍謄本
・亡親との相続関係を証する戸籍謄本
・請求者の運転免許証等の官公署が発行した写真付きの身分証明書と印鑑(朱肉で使用するもの)等
遺言検索システムを利用した結果、遺言書の存在が明らかになれば、遺言書を作成した公証役場に「正本」または「謄本」を請求します(遺言者・公証人・証人がそれぞれ署名・押印した「原本」は公証役場で継続的に保管されます)。
親の生前中は利用できない
親が公正証書遺言を残していたとしても、親が生存している間は、たとえ子どもから問い合わせがあっても、公証役場は一切回答しません。つまり、親の生存中は遺言検索システムを利用することはできません。
遺言の有無で遺産の引き継ぎ方は大きく変わります。もし、親が死亡した時に、遺言の存在が不明確な場合は、自筆証書遺言については法務局、公正証書遺言については公証役場に問い合わせて遺言書の有無を調べてみてはいかがでしょうか。