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1月の「成人式」は今年で最後!?~「18歳成人」誕生でどうなる成人式

竹内豊行政書士
1月の成人式は今年で最後になるかもしれません。(提供:kagehito.mujirushi/イメージマート)

成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案が2018(平成30)年6月13日の参院本会議で与党など賛成多数で可決され成立しました。そして、本改正による成人(以下「18歳成人」といいます)は、今年4月1日に誕生します。そこで気になるのは18歳成人が誕生後に成人式をいつ行うかということです。

「成人の日」とは

まず、そもそも「成人の日」とはどのような日なのでしょうか。

国民の祝日に関する法律 (祝日法)によると、成人の日は次のように規定されています。

祝日法2条(内容)

「国民の祝日」を次のように定める。

成人の日1月の第2月曜日

おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

これにより、今年の成人の日は1月10日(月)となります。

「成人式」の開催日は法律で規定されていない

このように、「成人の日」は祝日法で規定されています。

では、「成人式」はいつ開催されるのでしょうか。

実は、成人式の時期や在り方に関しては、現在、法律による決まりはなく各自治体の判断で実施されています。現状は多くの自治体では1月の成人の日前後に実施していますが東北などを中心に8月に開催する自治体もあります。

1月開催は受験シーズン真っ最中

今年の大学入学共通テストは1月15・16日に実施されます。多くの私立大学の入学試験は2月に行われます。この傾向が変わらなければ、1月に開催となると、大学受験を控えた18歳の高校3年生や19歳の浪人生は参加を見合わせたり、参加できない人が続出することが予想されます。

8月開催は着物業界に打撃

では、夏休みの8月に開催するのはどうでしょうか。そうすれば、参加できる人は増えそうです。

成人式といえば晴れ着です。しかし、晴れ着を着ると暑い・・・。

着物業界にとっては相当なダメージが予想されます。着物業界としては新たな晴れ着の提案が必要になるかもしれません。

一方、「18歳成人」によって期待する業界もあります。その一つが旅行業界です。

「18歳成人」により、旅券法が改正されて、有効期限10年のパスポートが18歳以上から可能になります。しかも、18歳から契約に親の同意が不要になります。

旅行業界は「18歳成人」をビジネスチャンスと捉えて、高校の海外卒業旅行などの18歳成人をターゲットにした商戦が繰り広げられることが予想されます。

会場確保が困難

実施時期だけでなく、各自治体は会場確保にも頭を悩ませそうです。今年4月の「18歳成人」の誕生で、来年の成人式は、18~20歳がまとめて参加することになります。当然、対象者が例年より増えるので会場確保はもちろん、運営も困難が予想されます。

以上ご覧いただいたように、「18歳成人」の誕生は成人式に大きな影響を与えそうです。どのような形になるにせよ、当事者は「おとなになつたことを自覚」し、見守る周りの者は「みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という成人の日の趣旨に則った成人式を期待したいと思います。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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