夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は、憲法が保障する法の下の平等などに反するとして、東京都内の事実婚夫婦3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は先ほど「合憲」(=夫婦同姓は憲法に違反しない)との判断を下しました。

大法廷が夫婦別姓について判断するのは、2015年12月に続き2回目です。前回2015年判決では、「夫婦同姓制度は、社会に定着しており、家族の姓を一つにまとめることは合理性がある」との判断を示していました。

最高裁の判断はこれから明らかになると思われますが、その前に、夫婦別姓について改めて見てみたいと思います。

夫婦同姓の原則

民法は、夫婦は、結婚するときに、夫または妻の氏を称すると規定しています(民法750条)。これは、「夫婦同姓の原則」と呼ばれています。

民法750条(夫婦の氏)

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

さらに、戸籍法によって、夫婦の氏を定めなければ婚姻届は受理されません(戸籍法74条)。この制度に対しては、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立するという憲法の原則(憲法24条1項)を制限している」という意見があります。

戸籍法74条(婚姻)

婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

一 夫婦が称する氏

二 その他法務省令で定める事項

憲法24条(家族関係における個人の尊厳と両性の平等)

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

96%が夫の姓を選択

前記のとおり、民法では婚姻の際に、「夫又は妻の氏を称する」と姓の選択が可能なことを示しています。しかし、現実はほとんどの夫婦が婚姻の際に夫の姓を選択しています。

厚生労働省の「平成28年度人口動態統計特殊報告『婚姻に関する統計』の概況」(10頁)によると、平成27年度では、96%が夫の姓を選択しています。「夫婦とも初婚」の場合は、さらに高く97.1%が同じく夫の姓を選択しています。

世論調査では賛成派が過去最高

また、内閣府が2018年2月に発表した「家族の法制に関する世論調査」によれば、「選択的夫婦別姓制度の導入に向けて民法を改正すべきか」との問いに、「改めて(法改正して)も構わない」とする賛成派が42.5%(前回2012年度調査から7.0ポイント増)、一方反対派は29.3%(同7.1ポイント減)と別姓賛成派の割合が過去最高を記録しました。

「旧姓」を住民票、マイナンバーカード等へ併記できる

結婚による姓の変更による不利益を改善することを目的の一つとして、住民票、マイナンバーカード等へ旧姓(その人の過去の戸籍上の氏のこと。法的には「旧氏」(きゅううじ)といいます)を併記できるようにするための「住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令」(平成31年4月17日公布)が、昨年令和元年11月5日に施行されました。

この制度を利用すれば、一定の範囲内での姓を変えた者(ほとんどが女性)の職場や社会生活上の不利益を補うことができることが期待できます。しかし、氏には、単なる「個人の呼称」に止まらず、名と結合することで「自己の人格」を形成する役割もあります。そのため、姓にアイデンティティを見出す方にとっては、根本的な解決にはつながらないと考えられます。

冒頭の2015年判決では、15人の裁判官のうち10人が、夫婦同姓は「合憲」としましたが、女性裁判官3名を含む5名は「違憲」という意見を表明しました。

また、前掲の世論調査から見ても明らかなとおり、世論も夫婦別姓を容認する流れも強くなっていました。その中で今回の最高裁判断は注目されていましたが、最高裁は「夫婦別姓は合憲」との判断を下しました。

今日の最高裁判決は、結婚における姓の選択にとどまらず、人格形成にもおよぶ判決と捉えることもできると考えられ、国民の多くに影響をおよぼすものと考えられます。

最高裁がどのような理由で夫婦別姓を合憲と判断したのか注目です。

※本記事は、本日午前7時に公開した「夫婦別姓 今日23日憲法判断へ~2015年『合憲』判決から2度面判断」を改訂したものです。