要注意!妻から「コロナ離婚」を突き付けられる夫たち パート1
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やテレワークの普及で夫婦が、家にいる時間が長引くことでもともと感じていた性格や価値観の不一致が表面化して、離婚危機に陥るケースが出始めているようです。
今回は、我慢限界「コロナ離婚」 一緒の時間増え、価値観の不一致表面化で紹介された離婚を決意した妻の声から、妻からコロナ離婚を突き付けられる夫像を浮き彫りにしたいと思います。
子どもの面倒を一切見ない~親権共同行使の原則
子育てに非協力的な夫は要注意です。
親子関係から生ずる最も重要な法的効果は、親が未成熟の子に対して保育・監護・教育すべき地位に立つ(親権を有する)ということです。
親権は、父母の婚姻中は原則として父母が「共同」して行います(民法818条3項)これを「親権共同行使の原則」といいます。婚姻中の父母の親権共同行使の例外として、父母の一方が「親権を行うことができないとき」には、他方が単独で親権を行使します(民法818条3項ただし書)。
民法818条(親権者)
1 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
例外として単独で親権を行使する「親権を行うことができないとき」とは、一方が親権を行使することについて法律上または事実上の障害がある場合です。記事の夫は、このような障害があるとは到底認められません。したがって、夫の言動は共同親権に反すると考えられます。したがって、幼い3人の子どもの面倒を一切見ないような夫は、妻からコロナ離婚を突き付けられても致し方ないでしょう。
生活費を恩に着せる~扶助義務
自分が稼いでいることを妻に威張り散らす夫も要注意です。
結婚をすると、夫婦は同居し、互いに協力し扶助し合わなければなりません(民法752条)。
民法752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
ここでいう「扶助義務」とは、夫婦の同居義務、協力義務と同様に夫婦の本質的義務です。扶助義務は未成熟子を含む夫婦の共同生活を営むために互いに経済的援助を行うことであり、自己の生活と同一の内容・程度のものを保障する必要があると考えられています(生活保持義務)。したがって、「俺は稼いでいる。誰のおかげで生活できてるんだ」という夫の言い分は当然通りません。妻からコロナ離婚を突き付けられる危険度は大です。
夫は夫で新型コロナウイルスの感染拡大による影響で慣れないテレワークや景気後退による先行き不安などでストレスが蓄積していると思います。しかし、そんなときだからこそ、民法が掲げる「協力義務」を思い出して妻に労わりの一言をかけてみてはいかがでしょうか。その一言で夫婦の空気がガラッとかわるかもしれません。