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「死亡届」~いつまでにだれがする?孤独死したら?届出しなかったら?

竹内豊行政書士
「死亡届」についてご存知ですか?(写真:アフロ)

ほとんどの方は死亡届を聞いたことがあってもあまりご存知ではないと思います。そこで、今回は死亡届についてご案内します。

いつまでに届出なければならいか

死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内これをしなければなりません(戸籍法86条)。

なお、日本国外で死亡した場合は、その事実を知った日から3か月以内にしなければなません。

「死亡の日」からではなく、「死亡の事実を知った日から」です。

戸籍法86条 

1.死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。

だれがするのか

届出義務者は、次の順序で死亡の届出をしなければならなりません。ただし、順序にかかわらず届出をすることができます(戸籍法87条1項)。

第1 同居の親族

第2 その他の同居者

第3 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

なお、死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができます(戸籍法87条2項)。

戸籍法87条 

1.左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

2.死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。

どこに届出るのか

死亡届は、原則として死亡者の本籍地または届出人の住所地の市区町村役場で行います(戸籍法25条)。ただし、死亡地の市区町村役場でもすることができます(戸籍法88条1項)。

戸籍法25条 

届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。

戸籍法88条1項

死亡の届出は、死亡地でこれをすることができる。

死亡地が明らかでないときは

死亡地が明らかでないときは、死体が最初に発見された地で死亡届を届出することができます(戸籍法88条2項)

戸籍法88条2項

死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で、汽車その他の交通機関の中で死亡があつたときは死体をその交通機関から降ろした地で、航海日誌を備えない船舶の中で死亡があつたときはその船舶が最初に入港した地で、死亡の届出をすることができる。

死刑の執行があったときは

死刑の執行があつたときは、刑事施設の長は、遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をしなければなりません(戸籍法90条)。

戸籍法90条

死刑の執行があつたときは、刑事施設の長は、遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

期間内に死亡届を届出しなかったら

親が死亡したにも関わらず死亡届を出さないで年金の不正受給をしていたという事件があります。この場合、戸籍法では、5万円以下の過料に処せられます(戸籍法135条)。

戸籍法135条

正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。

ご覧いただいたとおり、不動産経営をしている方は賃借人が孤独死をした場合、「家主」として死亡届を役所に届出なくてはならない場面があるかもしれません。

ただ、家主が借主の死亡届を届出なくてはならないような社会にならないようにしたいですね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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