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総合経済対策に合わせた2022年度第2次補正予算は、どうして25.1兆円から29.1兆円に増えたのか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」

10月28日、岸田文雄内閣は「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定した。これに合わせて、2022年度第2次補正予算は、一般会計で総額29.1兆円とすることとなった。

ところが、この補正予算の総額は、当初、25.1兆円と想定していたという。

増えた経緯は、既に複数のマスメディアが報じている。

経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」(TBSニュース)

対財務省で「禁じ手には禁じ手」自民・萩生田氏(産経新聞)

要するに、第2次補正予算を25.1兆円でセットして、自民党での了承を前提に岸田首相の了解を得ようとして、鈴木俊一財務相や同省幹部が首相官邸を訪ねた。そして、岸田首相が萩生田光一自民党政調会長に了承しているか確認する電話したところ、まだ自民党は了承していない段階だったため、萩生田政調会長がそのやり方に反発したという。

その反発を受けて、岸田首相は、予算規模の見直しを財務省に指示したという。これにより、4兆円も一気に規模が増えた。

25.1兆円から29.1兆円に増えたことで、自民党の財政拡張派の意見が通った。ただ、25.1兆円から29.1兆円に増えた4兆円は、いったい何に使うのだろうか。

何かと、萩生田政調会長と財務省の対立という話ばかりが注目されているが、肝心の増えた4兆円の行方には注目度が低いようである。この4兆円は、結局のところ、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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