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緊急事態宣言解除で、絞られた衆議院解散・総選挙の時期

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
3月21日に緊急事態宣言が解除され、衆議院解散・総選挙の時期は絞られてきた(写真:つのだよしお/アフロ)

3月18日に、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開いて、3月21日までの期限で1都3県に発令されている緊急事態宣言を期限通りに解除することとなった。

東京都の新規感染者数は、1月8日に緊急事態宣言が再発令されて以降、減ってきていたが、3月9日以降、前の週の同じ曜日の数を上回るようになり、3月17日には約1ヶ月ぶりに400人を超えた。そんな最中での、宣言解除決定である。

既に宣言が解除されている関西圏でも、新規感染者数がリバウンドで増加に転じる懸念が出始めている。

それでも、衆議院議員の任期は、今年の10月21日までである。今後7ヶ月の間に、衆議院の解散・総選挙が行われることになる。

新型コロナの感染がある程度収まっていないと、選挙どころではない。

加えて、新型コロナの感染状況だけで、衆議院総選挙の時期を決められない事情が今年にはある。

それは、東京都議会議員選挙と、東京オリンピック・パラリンピックである。

東京都議会議員選挙は、7月4日に実施されることが既に決まっている。そして、自民党と連立与党を組む公明党は、東京都議会議員選挙と衆議院総選挙の同日選挙に否定的な認識を示している。

「衆院選と都議選の同日選 現実的ではない」公明 山口代表(NHK)

すると、衆議院総選挙は、7月4日の同日選だけでなく、その前後の時期も実施しにくいだろう。もちろん、東京都議会では、公明党は小池百合子都知事を支持する与党会派であり、自民党は都知事を支持しない野党会派となっていて、立場が異なるという事情がある(詳細は「コロナ対策で国と東京都がいがみ合うわけ 独自性求める小池知事、都の財政構造も遠因に」を参照)。だから、国政での連立与党の関係がそのまま都議選に反映されるかはわからず、都議選との同日選は完全には排除できない面がある。

衆議院総選挙の時期を、7月4日前後の時期を外すとなると、次に待ち受けるのが、東京オリンピック・パラリンピックである。東京オリンピックが7月23日から8月8日まで、東京パラリンピックが8月24日から9月5日までの日程で開催を予定している。

本稿執筆時点で、東京オリンピック・パラリンピックが、予定通り実施されることが確定してはいないが、政府は予定通りの実施を目指している。予定通り実施することを前提とした日程でいえば、この時期に衆議院総選挙を行うことは避けるだろう。

そうなると、衆議院総選挙の時期は、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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