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“大人のK-POPフェス”がバンコクで盛況 お酒と水着の韓国祭典がアジア進出

武井保之ライター, 編集者
出演者も観客も水着で参加する『WATERBOMB』(写真提供:Birdman)

 韓国で2015年から続く大型フェス『WATERBOMB』が初のアジアツアーを敢行。その第1弾となるバンコク(タイ)公演を大盛況に終えた。水着の参加者がお酒と水鉄砲を片手に水をかけあう“大人たちの音楽の祭典”は、南国タイの人々の気質とマッチ。アイドルのSUNMIやHIP HOPアーティストのZICOなど計18組の出演者が、13時から24時まで繰り広げられた水かけフェスを熱く盛り上げた。

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 数あるフェスのなかでも『WATERBOMB』の特徴は、観客が水鉄砲を持って水着で参加し、アーティストも観客も水をかけあいながら音楽を楽しむこと。そんな韓国の人気フェスが、タイの旧正月(4月13日〜15日)に行われる「水かけ祭り」(ソンクラン)に合わせてタイに初上陸。13日の会場を訪れた。

水着で参加してびしょ濡れになる音楽フェス

 会場となったバンコク郊外のサンダードームスタジアムに設けられたステージセットには、上空へ向けられたウォーターキャノンと観客に向けられたウォーターガンが、客席へせり出すT字型ステージの各所にならぶ。

フェス会場内で水鉄砲を片手に自撮りをするバンコクのK-POPファン(写真提供:Birdman)
フェス会場内で水鉄砲を片手に自撮りをするバンコクのK-POPファン(写真提供:Birdman)

 会場内には、着替え用の更衣室や、水鉄砲の水汲み用に蛇口がならぶ給水スペースが設けられるほか、ビル5階ほどの高さになる巨大なウォータースライダーも設置され、まるで屋外のプールレジャーランドへ遊びにきたような感覚になる。

 そんななか、灼熱の太陽に照らされたステージにアーティストが登場すると、一気に会場中のボルテージが上がった。

全身に水を浴びた、ふだんとは違うアーティストたちに大歓声

 ライブがスタートすると、曲にあわせてステージ前方に設置された無数のキャノンが炸裂。その水柱はステージセットをはるかに超える高さまで舞い上がり、そこから水滴がシャワーとなってステージと客席に降り注ぐ。

 客席は水のかかり具合で100%と60%にエリアが分けられているが、100%エリアは頭から桶の水をかぶったようなびしょ濡れの状態になった。さらに、アーティストやダンサーたちがステージ各所のウォーターガンを手にして観客に向けて放水。ファンもそれぞれの水鉄砲で応戦する。

 タイでも人気の韓国アイドル・SUNMIは、ステージ最前部に立って「水をかけて!」とファンをあおると、顔から体まで全身でファンの放つ水を浴びる。大人の音楽の祭典ならではの透け衣装で妖艶な姿を見せ、セクシーに歌って踊る。髪から水を滴らせるほどのびしょ濡れの状態だが、スーパーウォータープルーフの鉄壁メイクに守られた笑顔でファンの歓声に応えた。

観客からの水を全身に浴びて妖艶なパフォーマンスを披露したSUNMI(写真提供:Birdman)
観客からの水を全身に浴びて妖艶なパフォーマンスを披露したSUNMI(写真提供:Birdman)

ステージの合間は観客同士がチームになって撃ち合うファイトタイム

 アーティストのステージの合間は、観客同士が水をかけあうウォーターボム・ファイト。本フェスの入場リストバンドはお気に入りの出演アーティストごとにカラーがあり、観客は自身で選ぶ。そのカラーごとにチームとなり、ステージのキャノンの炸裂とともに水鉄砲を撃ち合う。

 さらに巨大ボールが投入され、観客の頭上を転がり回ると、より興奮度は上がる。DJパフォーマンスのなか、ウォーターガンの放水が四方八方へ飛び交い、大量の水を浴びてはしゃぎまわる参加者たちの笑顔が印象的な時間になっていた。

 ステージの前半は、タイのアーティストやDJ、MCも登場し、会場を盛り上げる。そして、後半からは来場者お待ちかねの韓国の人気アーティスト、アイドル、DJが次々とステージへ。韓国音楽ファンの多いタイでのフェスだけあって、熱狂的な盛り上がりとなった。

 とくに後半で大きな歓声があがったのが、K-POPグループ・GOT7のYUGYEOMのステージ。ファンがステージ前方につめかけるなか、ダンサブルなナンバーを熱唱。さらに、韓国のラッパー・WOO WON JAE、ラッパーでありソングライターのCOOGIEとのスペシャルユニットYUGYEOM&WOO WON JAE&COOGIEのコラボステージでファンを熱狂させた。

夜のステージは照明の光を乱反射した水幕に包まれる幻想的な世界に

 夜になるとステージはまたその顔を変える。キャノンから吹き上げられた水柱と水飛沫に覆い囲まれたステージは、カラフルな照明の光を乱反射してほんの数秒間、幻想的な水の衣に包まれる。

ウォーターキャノンが炸裂し巨大な水柱がステージ前に立ち上る(写真提供:Birdman)
ウォーターキャノンが炸裂し巨大な水柱がステージ前に立ち上る(写真提供:Birdman)

 その水幕が徐々に落ちていき、ステージが再び視界に現れると、音楽がドーンと体に響いてくる。視覚と聴覚と触覚をフル活用して楽しむフェスは、いつのまにかその世界に観客をすっかり引き込んでしまう。

 そんななかトリを務めたのは、K-POPグループ・Block Bのリーダーであり、ラッパー、音楽プロデューサーとしても活躍するZICO。特有のゆるさとキレのあるHIP HOPミュージックで、会場を一瞬にしてZICOの世界観に包み込んだ。

 耳に残るクセのあるリズムとメロディが彼の曲のカラーだが、それが水かけフェスの興奮と熱狂を増幅させ、遊び心とアルコールによる高揚がかけ合わさった混沌としたエネルギーとなって弾ける。会場中が一体となってトリップした、この日最高の瞬間だった。

水遊びと音楽の親和性の高さを示した国境を越えるフェス

ヘッドライナーを務めたZICO。タイのファンの大歓声を浴びながらステージを盛り上げた(写真提供:Birdman)
ヘッドライナーを務めたZICO。タイのファンの大歓声を浴びながらステージを盛り上げた(写真提供:Birdman)

 びしょ濡れになって笑顔で踊るタイのファンの姿からは、夏に水遊びをしながら音楽を聴いて騒ぐ楽しさが、人間の根源的な喜びに満ち溢れているように感じられる。そんなフェスには、国境も文化も越えて受け入れられるポテンシャルがあるのかもしれない。

 本フェスはバンコクの次に日本に初上陸する。K-POP人気の下地のある日本でも、韓国で人気の夏の音楽の楽しみ方のひとつとして高い関心が集まることだろう。新しいことや楽しそうなことへ積極的な層のほか、HIP HOPやEDM、ダンスミュージック好きは触手を伸ばすに違いない。

 日本ツアーとなる『WATERBOMB JAPAN 2023』は、大阪が7月15日と16日、名古屋が7月22日と23日、東京が7月29日と30日。韓国音楽文化のひとつが日本の若い世代にどう受け止められるか注目したい。

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『WATERBOMB JAPAN 2023』開催概要

■大阪公演:舞洲スポーツアイランド 空の広場

 7月15日(土)、7月16日(日)開場12:00 / 開演 14:00

■名古屋公演:Aichi Sky Expo 多目的利用地A

 7月22日(土)、7月23日(日)開場12:00 / 開演 14:00

■東京公演 :ベルーナドーム(埼玉)

 7月29日(土)、7月30日(日)開場12:00 / 開演 14:00

WATERBOMB JAPAN 特設サイト

ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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