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カーリング北海道ツアー2022、絶好調のフォルティウスをロコ・ソラーレがホーム北見で迎え撃つ

竹田聡一郎スポーツライター
今季、初戦を勝利で飾ったLOCOSOLARE。 (C)AGCC2022

 札幌のどうぎんカーリングクラシック(どうクラ)、稚内のみどりCHALLENGE CUP(みどチャレ)、北見のアルゴグラフィックスカップ、そして北見市常呂町のアドヴィックスカップ。これら4大会の「北海道ツアー」が今季よりはじまったが、五輪明けシーズンということもあり、各チームのメンバーやポジションなど構成に変化が見られた。

 まず初戦の“どうクラ”を制したのはフォルティウス(Yoshimura)だ。

小林がバイススキップとして経験を積めたのもチームとしては大きな収穫だ。 (C)どうぎんカーリングクラシック
小林がバイススキップとして経験を積めたのもチームとしては大きな収穫だ。 (C)どうぎんカーリングクラシック

 昨季半ば、冠スポンサーであった北海道銀行を離れ、複数の新スポンサーと共にリスタートを切ったが、日本選手権は4位と決して満足いく結果ではなかった。

 迎えた今季「チームを良くしていくためにはまずはコミュニケーションをしっかりとっていく」とスキップの吉村紗也香が語ったように、アイス内外でチームメイトと密にコミュニケーションをはかり、ミーティングでも談笑する姿が多く見られた。

 氷上では昨季加入した20歳の小林未奈をリードバイスに抜擢し、経験豊富な船山弓枝をコーチボックスに置く。フォルティウスの選手として初出場となった小林だが、彼女の石を掃くのはセカンド近江谷杏菜とサード小野寺佳歩という国内屈指のスイーパー陣だ。力強いスイープにも助けられ終始確実なショットを放ち、“どうクラ”初優勝に大きく貢献した。

 続く第2戦の“みどチャレ”も同様の布陣で挑み、無敗で決勝に進出する。ただ、小野寺が決勝戦の朝に風邪の症状を訴えたため、急遽、決勝では小林(V)ー近江谷ー船山ー吉村というオーダーを試すというアクシデントに見舞われた。

 しかし「久しぶりの試合だから助けてね、とチームにお願いしておいた」と言いながらも、船山は今季初の出場とは思えない安定感でチームに幾度も好形をもたらした。終わってみれば9-2の快勝でツアー2連勝。「ミスが出ても次のショットで挽回できた」と吉村は勝因を語った。

 小野寺の検査結果は陰性で新型コロナウイルスとは無縁だったが、大事をとって欠場するという決断をしたこと、その穴を船山がしっかりカバーしたこと、布陣としては新たなオプションを得たこと。結果としてチームの地力を証明し可能性を広げる、怪我の功名だったと言えるだろう。

 第3戦となるアルゴグラフィックスカップ以降も「チームとしていろいろなことを試しながらできることを増やしていく」と吉村。挑戦と収穫を繰り返す、充実の夏は続く。

船山(右から2人目)は抜群の安定感でタイトルに貢献。チームは同大会の初代王者として歴史に名を残した。 (C)稚内みどり CHALLENGE CUP
船山(右から2人目)は抜群の安定感でタイトルに貢献。チームは同大会の初代王者として歴史に名を残した。 (C)稚内みどり CHALLENGE CUP

 そのフォルティウスに札幌、稚内を通して唯一、黒星をつけたのが日本選手権準優勝の中部電力(Kitazawa)だ。今季からチーム最年長の松村千秋をコーチボックスに座らせて、石郷岡葉純ー鈴木みのりー中嶋星奈ー北澤育恵というオーダーで基本的には固定する。ショットの繋がりやラインコールが課題に挙がる一方で、ハマった時には圧倒的な強さで盤面を支配する。ポテンシャルは健在だ。フォルティウスに勝ちながらフィロシーク青森(Nakamura)やSTRAHL(Minami)のような新鋭チームに不覚を取るなど、不安定な試合展開が少なくなかっただけに、均整的な強さ、あるいは悪いなりに勝ち切る技術が求められるシーズンになりそうだ。チームは9月から渡航し強化の場をカナダに移す。

北澤(中央)の決定力を活かすため、フロントエンドの石郷岡、鈴木らでアドバンテージを作ることが鍵になる。 (C)どうぎんカーリングクラシック
北澤(中央)の決定力を活かすため、フロントエンドの石郷岡、鈴木らでアドバンテージを作ることが鍵になる。 (C)どうぎんカーリングクラシック

 既出のフィロシーク青森、STRAHLの他に成長著しいのがSC軽井沢クラブ(Kanai)やLOCOSTELLA(Sasaki)だ。

SC軽井沢クラブ。左から金井、江並、西室、両川。今季初の試合で存在感を示した。  (C)稚内みどり CHALLENGE CUP
SC軽井沢クラブ。左から金井、江並、西室、両川。今季初の試合で存在感を示した。 (C)稚内みどり CHALLENGE CUP

 SC軽井沢クラブは両川萌音ー西室淳子ー江並杏実ー金井亜翠香という陣容で稚内を戦った。一次リーグで日本選手権3位の北海道銀行を、準決勝で同準優勝の中部電力を退け、チームとしてツアー大会で初めてファイナルのアイスに立った。

 チームの強みを「どんな展開でもどの相手でも淡々とプレーに集中できる」とはスキップの金井だが、その言葉どおり4人が目の前の仕事を遂行し続けて勝利を手繰り寄せるというスタイルが持ち味だ。ショットの精度とアイスリーディングのスピードを上げて、残り2大会で初タイトル獲得を目指す。

左から4位の中部電力、準優勝のSC軽井沢クラブ、優勝のフォルティウス、3位のLOCOSTELLA。  (C)稚内みどり CHALLENGE CUP
左から4位の中部電力、準優勝のSC軽井沢クラブ、優勝のフォルティウス、3位のLOCOSTELLA。 (C)稚内みどり CHALLENGE CUP

 LOCOSTELLAは今季からスキップとして佐々木穂香を迎え、青木愛優凪ー林未来ー本橋麻里ー佐々木というオーダーで札幌と稚内の2大会に出場。国内外のトップチームを相手に7戦4勝という、まずまずの結果を残した。

「課題はまだまだあるけれど、少しずつチームのやりたいことはできるようになっている」とは本橋の言葉だ。アルゴグラフィックスカップでは2日目にLOCOSOLARE(Fujisawa)との姉妹対決も実現。練習試合でも一度も対戦したことがないというだけあって、注目度も高い。

「盗むべきところがたくさんあるチーム。みんなの胸を借りていいゲームにしたい」(本橋)

世界でもトップクラスの安定感を誇る鈴木夕湖(左)と吉田夕梨花(右)のフロントエンド。 (C)アルゴグラフィックスカップ
世界でもトップクラスの安定感を誇る鈴木夕湖(左)と吉田夕梨花(右)のフロントエンド。 (C)アルゴグラフィックスカップ

 そのLOCOSOLAREはツアー3戦目、地元での大会を今季の開幕試合に選んだ。

 初戦の北見工大(Ichinaka)戦はよく滑るアイスに対峙しながら我慢強くキーショットを決め、確実に勝利。「感覚的には(今季に)良く入れたと思います」とは藤澤五月の言葉だ。2戦目でまず姉貴分の貫禄を見せる勝利でクオリファイ(プレーオフ進出)を決めたい。

 国内大会2連勝中のフォルティウスとの対戦は、早ければ4日の準決勝だ。今大会についても「いい状態だと思う」というフォルティウス吉村は自信をのぞかせているだけに、シーズン序盤から好ゲームが期待できそうだ。

 また、ツアー4大会はいずれも北海道カーリングツアー2022のYouTubeチャンネルでライブ配信がされている。解説に阿部晋也や松村雄太、小穴桃里らトップ選手が起用されるなどカーリングの裾野を広げるべく奮闘中だ。今季の強化と同様にツアーの今後にも注目が集まる。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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